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朝顔市と花咲蟹

今月7日の朝顔市で買ってきた朝顔が、なかなか花を咲かせてくれません。毎朝、「今日は咲いているか?」と水をやりにいくたびに、期待を裏切られていました。朝顔市の日から、日中は晴れるものの、朝は前夜の雷雨の名残で雨が残っていたり、くもり空だったり、夏の真っ青な空が広がる朝ではないから、きっと咲くスイッチがはいらないのでしょう。

朝顔市には、2019年に行きそびれ、その後3年間お祭りが中止となり、やっと尋ねることができました。
朝6時には、よしずばりの店が入谷の言問い通り沿いに、軒を連ねていました。『朝顔市』と染めぬいた半被をはおった威勢のいいお兄さんが、「4色植えだよ~」「お気に入りの色を探しますよ~」などと声をあげています。真源寺でお参りした後、さっそくお店をのぞきました。
 どの店にも行灯につくられた朝顔が整然と並んでいます。一番人気の朝顔はなんといっても『団十郎』です。江戸時代の人気歌舞伎役者二代目市川團十郎が好んで着た衣装の柿渋色の朝顔です。人気なだけあって、次から次へと「團十郎ください」と売れていきます。
また、今年希少性が高いのは、白い朝顔です。高温のせいで、白い朝顔は作るのが難しいそうです。どの店でも、確かに白い朝顔はあまりみかけません。
團十郎と白い朝顔が入った鉢を買うことに決め、一軒一軒さがしてようやく、柿渋色と白い朝顔の鉢をみつけました。きっと毎朝目を楽しませてくれるでしょうと、竹の生垣近くに鉢を置きました。

ところが、なかなか花を開いてくれません。近所の庭先の朝顔は色とりどりの花を咲かせています。念入りに探して探して、やっと探し当てた一鉢だったのに、どうもはずれの株だったようです。時間をかけて選んだだけに、拍子抜けをしてしまいました。頭の中に描いていた、渋い色の大輪の朝顔と白いさわやかな朝顔が咲き乱れる我が家の庭が、はかなく消えていきました。なかなか思うようにいかないものです。


7月も半ばを過ぎたころ、友人から、花咲蟹を食べる会に誘われ、藤沢まで出かけました。女将が北海道産の花咲蟹を茹でて、身をすべて取り出し、甲羅に詰めて供されました。蟹の身を自分でほぐす手間をかけずにいただけるのは、ありがたいものです。誘ってくれた齋藤さんは、SNSのグループで知り合った友達です。このグループは、まだSNSを始めて間もない頃、一番初めに参加したグループで、投稿される写真はどれも美しい鎌倉の景色でした。齋藤さんは元は官庁にお務めで、SNSがなければ出会えなかったはずです。齋藤さんを通じて交流が広がった輪はいつか大事な友達になっていました。

慎重に選んでも期待した結果が得られないこともあれば、その逆に、いきあたりばったりが、かけがえのないものになることもあるようです。

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