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note|修家大雄 /レストラン ラ・フェさんのnoteを読んだ

週末を中心に更新している個人のマガジン「note」では、1週間で読んだnoteのなかから心に残ったものを紹介しています。今回は、修家大雄 /レストラン ラ・フェさんの「【シノワ】裏ごしこそ、かけるべき手間」です。

漉す」という調理工程について、それほど深く考えたことがなかったのdせうが、修家さんのnoteを読んで、この工程はオートキュイジーヌの系譜を受け継ぐフランス料理ではとても独特のものかもと思いました。

フランス語では「パッセ(パセ、passer)」という「漉す」という作業は修家さんがnoteで紹介しているようにシノワという漉し器を使って行います。

僕が手元に置いて原稿の資料にしている『フランス料理ハンドブック』(辻調グループ 辻静雄料理教育研究所 編著、柴田書店)には、パッセについて説明されている箇所は一カ所です。

パセ passer 漉す

これのみで、巻末の索引にも掲載されていません。当たり前すぎることなので書く必要ないというところなのでしょうかね。

フランス料理、とくにソースのように液状のものを作る際に、何度もこのシノワを使ってパッセします。今、「シェフレピ」というミールキットサービスの編集をしており、その動画撮影の際にも、フランス料理人の方の取材では何度もシノワで漉す作業がでてきます。

もちろんその他の国の料理でも漉すことはありますが、それは目の粗いザルで漉す程度で「ざっくり固体と液体にわけておこう」という目的で使われていることが多いように思います。

フランス料理でも、とくにソースにおけるパッセは繰り返し施されていて、たとえば「シェフレピ」で販売したことがある日比谷のTOYO Tokyoの大森雄哉シェフ「牛ホホ肉の赤ワイン煮込み」ではソースを作るまでに2度を行っています。

①赤ワインで煮込んだ野菜とホホ肉をザルで漉してから、茶漉しで漉す。
②漉した煮汁に、ブールマニエを加えてとろみをつけたあとさらに漉す。

①で十分に漉してもなお、ブールマニエを加えたことで口にあたるものがるかということで、最後に再び漉す作業を入れています。ちなみに①はシノワが家庭にはないだろうということで、代替作業としてやったもので、通常はシノワで漉す方法をとるそうです。

たしかに、ソースにざらざらとしたり、口にあたる異物があると途端にがっかりするのが、思い浮かべただけでも感じてしまうので、この漉すことでうまれる滑らかさは、高級料理に必須の作業なのだろう。

もちろん、修家さんがいうとうにわざとざらついた食感にして素材感を楽しむ方法もありますが、パッセは、できる限り素材のエッセンスを抽出し、純化を目指すフランス料理を象徴する調理工程のひとつのように思うのです。

じっさい、フランス料理を食べるときに、なめらかな食感はかなりの場面で使われていて、そのなめらかさにちょっとした異物が入っていたらものすごく不快です。それはアクセントといって肯定することはできない、受け入れない異物感があります。

そう思うと「漉す」という工程は、フランス料理を象徴する作業なのではないでしょうか。

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明日はClubuhoueの振り返りです。

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