Work|乃木坂しんの最新ポスト、冬瓜はきめの細かいスポンジ
毎週更新をしている乃木坂しんのnoteマガジンの最新ポストでは、夏なのに冬瓜な「冬瓜の煮物」のレシピを石田料理長のエッセイとともに公開しています。
煮炊き物は、noteのなかでも連載ものとして扱っていて、毎月その月の献立の炊き合わせや八寸などに入っている煮炊き物を1つ抜き出して、その食材にまつわる石田料理長の思い出(幼い頃や修業時代の)や食材の見極め、保存方法とともに、煮炊きのレシピを紹介しています。
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今回は、冬瓜です。写真から伝わるように、キラキラと透き通るような美しさに見とれてしまいます。こはく煮ともいわれるように、レシピでも冬瓜が淡く透き通るころ合いまで出汁で炊いていくのをポイントにしています。
皮面に入れた包丁目もまさに料理屋さんの仕事で、1ミリくらい格子状に皮の硬い部分に切れ目をいれあり、炊き上がったときにホロホロと口のなかで解けるように崩れていくんです。これが、ジュワっと出汁を含んでやわらかい部分とコントラストになっていて、リズミカルで楽しい、無限に食べられるポイントになっているように思います。
ひとつ一つ、切り出して同じ大きさに切りそろえていくのも美しいですよね。火の入りも均一になるので、炊きすぎだったり、炊きがあまいなんていうのもなくなりますから、ご家庭で再現する際は、大きさにも注意してみると、いいんじゃないかなと思います。
冬瓜、子どものころは、味がしなくておいしくないと思ってましたが、大人になるとこのしみじみと出汁をたっぷり含む身質がたまらないですよね。出汁を含んだ大根も蕪もおいしいですが、それよりもクセがなくて、ひたすら食感のある出汁を食べているような感じで、目の細かいスポンジのようです。なかまでしっかり出汁を含んで食べたときの繊維を断ち切る食感と、その間からジュワっとあふれ出る出汁が本当にたまりません。
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