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料理は、多くの人を幸せにする

2019年10月1日にオープンした品川区立障害児者総合支援施設の1階には、就労継続支援B型の障がいのある少年少女たちが働くカフェ「みんなのテーブル」があります。

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就労継続支援B型とは、障害者総合支援法による指定障害福祉サービスで、通常の職場では、働くことが困難な障がいのある方に対し、働く機会を提供するというものです。もう少し知るには、下のマンガがわかりやすかったです。

障がい者も健常者も一緒に食べられるクリスマスランチ

その「みんなのテーブル」で、アメリカ・ニューヨークの三ツ星レストラン「ジャン・ジョルジュ」でスーシェフ(副料理長)を務め、同店の日本支店でもシェフを務めたThe Burnの米澤文雄さんと、こちらもフランスの三ツ星「ルカ・キャルトン」ほか、フランス国内の数々の星付きレストランで腕を磨き、帰国後は「エール・ガニェール・ア・東京」のシェフを務めたARBOR(アルボア)の入江誠さんの2人(ともに青山一丁目にお見せがあります)による12月12日(木)に1日限りのクリスマスランチ会が開かれました。

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品川区立障害児者総合支援施設が、障がいのある方の地域生活を支える拠点施設を目指していることもあって参加者は、施設がある品川区南品川の住民の方や、品川区立障害児者総合支援施設を利用している障がいのある方とそのご家族を中心に、およそ40名。

米澤さんが作った前菜の盛り合わせと、入江さんが作ったクリスマスらしい鶏肉のメイン料理とデザートのコースを、全員で一緒に食べます。

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障がいのある方とそのご家族にとっては、家族そろっての外食が難しいそうで、本当に楽しみなランチ会だったそうで、終始なごやかな会になりました。また、僕自身、障がいのある方と一緒になることがほとんどなく、またそういった方の実際の生活などはまったく知ることもなかったので、今回、ランチ会を取材させてもらったことで、さまざまなことを感じました。

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久松農園 有機人参のラペ 玉ねぎのキッシュ フランス産フォアグラのムース
(米澤さん)

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鶏肉のガランティーヌ
(入江さん)

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滑らかなイチゴ風味のパンナコッタ
(入江さん)

料理人とケアのプロによる「おいしい」への挑戦

好き嫌いが多くて鶏肉を食べない障がいがある方が、入江さんのガランティーヌを残さずに食べることができたとか、みんなのテーブルに来るのを楽しみにしてました、という話を聞くと、あたり前に思っていた、食事を通じてコミニュケーションをとれるレストランの素晴らしさ、を改めて実感することができました。

両手を使ってナイフとフォークで食べることができない方には、あらかじめ一口サイズに切ってお出しするのですが、その際も、できるだけ隣の方の料理と同じものにするように盛り付けたり、テーブルのセッティングも、その人が食べやすいように、テーブルに高さ30センチほど台を載せて、そこに料理を置くなど、障がいがある方を支える方々の知識と配慮についても、間近で知ることができて、自分にとっては大きな経験になりました。

また、嚥下が低下されている方には、誤飲しないように細かく切り刻んだものを出すのですが、たとえば細かく刻んだガランティーヌを入江さんは、提供直前にフライパンで加熱して味と香りを深めることをしたり、すべての人においしい料理を食べて欲しいという思いのもと、2つの分野のプロフェッショナルの連携しているキッチンは、クリエイティブさを感じずにはいられませんでした。 

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すべての人がみんなでテーブルを囲んで食事をできる。言葉にするのは簡単で、料理やケアのどちらかが不十分だったりしてしまうこともあるのかもしれないのですが、食の面からも、ケアの面からも質を担保したうえで真剣に実現しようとしているのが「みんなのテーブル」なのではないでしょうか。

これまでのレストランをすべて、誰でも楽しめるようにグローバルデザインしなきゃということではなくて、たとえば1日でもいいので、障がいがある方を招いた営業をしたり、今回のお2人のように、レストランを飛び出して支援をするなど、障がいがある方とそのご家族の選択肢が増えるような取り組みが増えたらいいのではないかと思いました。

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週に3日米澤さん監修のカレーも食べられます!

みんなのテーブルは、ふだんは一般にも開放されたカフェとして営業していて、メニューの一つに米澤さんの監修によるカレーを800円で食べることができます(火曜〜木曜の11時から、なくなり次第終了)。このメニュー、カレーの付け合わせが豊富だし、スープもついているので、めちゃめちゃお得です。

障がいのある方と支援する方で運営するカフェレストランですので、ほかのお店よりよりは少し時間がかかるかもしれませんが、かえってゆっくりと穏やかな時間を過ごせるのではないでしょうか。

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今回のランチ会は、プロデューサーの岡山慶子さんが代表を務める朝日エルさんが企画・運営されています。これからも料理人のスペシャルメニューでおもてなしする、みんなのテーブルの特別ランチ会は、米澤さんを中心に今後も開いていく予定です。

協力していただける料理人さんがいらしたらぜひご連絡いただきたいです!

みんなのテーブル(品川区立障害児者総合支援施設内)
住所:品川区南品川3ー7ー7 品川区立障害児者総合支援施設1階
営業時間:10:00〜15:30 (月〜金) ※カレーの提供は火〜木、11時から


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