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note|みきてぃーさんのnoteを読んだ

毎週土曜日に更新しているマガジン「note」では、1週間で読んだnoteのなかから心に残ったものを紹介しています。今日は、みきてっぃーさんの「元高校教員の私がnoteをはじめてみた理由。」です。

本当の意味で価値を生み出す仕事をしている人

スペインはビルバオに滞在しながらオンラインでヨーロッパの大学院に通っているというみきてぃーさん。ビルバオは、スペイン・バスク州の都市で、料理好きにとっては「美食の街・バスク」がすぐに思い浮かぶ憧れの街です。日本にもなじみ深いシェフ、エネコ・アチャ・アルスメンディさんの三ツ星レストラン「アスルメンディ」があることでも知られています。

このnoteが初めての投稿になるみきてぃーさんは、美食をさんざん利用した政治が、コロナ禍で手のひらを返したような対応をしていたことをnoteを始めた理由にあげていらっしゃいました。

1月に日本からこちらに戻ってきたときにはバル・レストランは完全クローズド、居住地以外の街へは行けないという厳しいものでした。飲食店連合組合がバスク州の飲食店営業停止命令について裁判所に訴えた結果、バスク州にそれを命じる権限はないとの判断で、営業再開ができるようになったとのことです。

バスク地方はスペインの中でも特にユニークな地域で、近年サンセバスチャンが「美食の街」として有名になったように、バルやレストランは、人々の生活の一部になっています。公のトップの判断を裁判所が覆すというのは、なかなか自分の感覚だと考えられないものでしたが、ある意味権力の分立が成立しているのだとも感じています。普段「ガストロノミー」と謳って観光等で宣伝しているのに、コロナで最も経営的に辛い時に自分でどうにかしろと言われても、飲食店側としてもたまったものではないですもんね。(本文より引用)

スペインのコロナ対策の実情はあまり知らなかったので、美食の街といってもコロナ禍においては優先順位が下がっているのかと思いました。続けて、日本の「Cool Japan」を例にあげて、日本のcultureに対する政府の対応にも触れています。

コロナの中においても、本当の意味で価値を生み出す仕事をしている人(医療従事者に限らず、飲食や清掃消毒、配送に携わる方などなど)が大切にされていないのでは、と憤りや不甲斐ない気持ちが溢れてきます。(本文より引用)

日本でも多くの地域が「バスク化計画」をすすめるほどに美食の街として世界的に知られていても、その文化を守るような政策ができないというのは、とても残念なことです。美食に対する本質的な価値をどこまで理解していたのかという疑問は、外から見た僕でも感じるんですから、実際に地域で暮らす飲食店の人にとっては相当のショックだったのではないでしょうか。

何も生み出していない人が仕組みだけうまく活用してお金を稼ぐ、ということが色々な分野や形で起きているような気がします。(本文より引用)

いつだって間借りさせてもらっている

そうしたコロナ禍における人間の営みに対する本質的な保護がなされない状況のなかでみきてぃーさんはnoteを書くことを決めたそうです。

考えてみれば、教員時代も生徒に教えていた内容は、先人たちが積み上げてきてくれたものだったし、noteに書く内容一つとっても、得た知識や経験を元に自分の考えを加えて再構成しているものでしかなくて、日々自分の未熟さを痛感させられるばかりです。

だからこそ、出会えた知識や経験などは、決して自分が生み出したものではなく、まして自分だけのものでもなくて、ご縁によってもたらされた「借り物」なんだろうな、と。(本文より引用)

借り物」。じつは、編集者としての自分も「借り物」で仕事をしている寄生虫のような存在だと思ったりします。

著者がいるので自分自身で文章を書くわけでもなく、写真もフォトグラファーが撮るし、デザインはデザイナー、印刷にはプリンティングディレクターがいて、そういった方の力を借りなければ本ができない。そんなことを考えていました。

The Burnでリモートワークを定期的にする「MAGARI」という活動も、もちろんお店の一部を間借りするという意味から付けたのですが、そこにはもうひとつ進めて、自分自身がいつまでも誰かの力を借り仕事をしているという気持ちを忘れないようにという思いがあります。じっさい、このMAGARIは屋号にも使っていますし、メールアドレスにも使ったりしている、自分にとって大事な言葉です。

ちなみに「MAGARI」はイタリア語にもあって「マガーリ」と発音するんですが、「そうだったらいいね」みたいな意味もあるそうで、それも気に入っています。

みきてぃーさんのnoteにも言われているように、本質的にゼロから何かを作るということは不可能で、必ずどこかで先人の知恵や経験、残された有形無形の財産のうえにクリエイティブな成果が生まれていると僕も思っています。

いつだって間借りさせてもらっている。そんな気持ちを常にもちながら、真摯に、ときに大胆に、刺激的な仕事をしていきたい。そんなことを考えさせてもらいました。

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明日は、1週間のClubhouseでお話した過去のnoteのまとめです。

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