見出し画像

clubhouse|『フランス料理の歴史』中世●君臨するタイユヴァン

2/21(日)の朝7時から、料理家で作家の樋口直哉さんと『フランス料理の歴史』(角川ソフィア文庫)についてお話をする企画があります。

画像2

フランス料理の歴史をもう一度学んでおきたいという自分なりの興味に、樋口さんにお付き合いをしてもらうというものです。最初ということもあって、手始めにといった感があるのですが、最初の章「中世●君臨するタイユヴァン」についていろいろと意見交換ができたらと思っております。

樋口さんの貴重なお時間をいただくので、しっかり予習をしておきたいなと思い、明日のあんちょことしても使えるようにnoteにまとめておこうと思います。

中世とは何か?

中世という歴史区分は、西洋史のものです。古代と中世、近代という大きく分けられていて、大雑把にいうと以下のような時代でわけられています。

古代 古代ギリシア・ローマ時代(~5世紀)
中世 神聖ローマ帝国時代(5~14世紀)
近代 国家の形成・君主制時代(15~19世紀)

年代については、くっきりと分かれるものでもないので、グラデーションなのです。今回、『ヴィヤンディエ』(1380年、タイユヴァン70歳)をまとめたとされるタイユヴァンの時代は、中世と近代のグラデーションの部分。神聖ローマ帝国のヨーロッパ支配、つまり教会主導の社会の仕組みによって支配されていた時代から、地方貴族たちが力を持ち始めて、それぞれの領地を統治していく時代に向かう時期のお話です。

一般的には貿易や手工業の発達によって、都市が力を持つようになり、資本主義経済の萌芽が起こりはじめる時代といえます。

本にも書かれていますが、そういった新しい貴族のニーズとして料理人の存在がクローズアップされてきたわけです。

ちなみに、タイユヴァン(本名:ギヨーム・ティレル、1310~1395年)の同時代人としては、《受胎告知》(1333年頃、下の絵)を描いたシモーネ・マルティーニが画家としては知られています。

画像1

14世紀のフランスとヨーロッパの歴史

1315年~1321年頃 ヨーロッパで激しい飢饉(小氷期)。
1328年 フランスでカペー朝本家が断絶。分家のフィリップ6世が即位しヴァロワ朝が始まる。→タイユヴァンが料理長に(「特別の恩寵により、我が寵愛する料理人と呼ぶ」と記される)
1337年 イングランドとフランスの間で百年戦争が始まる(~1453年)。→女性騎士ジャンヌ・ダルク
1347年 ヨーロッパでペスト大流行。ペストの感染は南イタリアからアルプスを超えて全域に拡大、ヨーロッパや北アフリカの人口が激減(~1351年)。

戦争とペスト、飢饉という辛い世紀ではありましたが、そうした混乱がかえって中央集権的国家の形成が加速したといわれています。

ちなみに、14世紀は日本では、 1336年に足利尊氏が室町幕府を開いたころです。足利義満が1368年に第3代将軍(~1394年)になっています。

北山文化(1358年~1408年)、金閣寺創建(応永4年、1397年)。観阿弥・世阿弥を義満は奨励し、日本特有の死生観による芸術が育まれました。

騎士社会とヨーロッパ

デクパージュのルーツに騎士の剣が存在しているのは、とてもおもしろい発見でした。「騎士」については、ヨーロッパにおける階級として非常に高貴な存在であることは知っているが、もう少し勉強しないとわからないというのが正直なところ。

ひとつ思い出したのがイギリスの「国家の剣」。イギリス王家に代々伝わる連合王国の戴冠宝器のひとつで、新国王の戴冠式などに国を象徴する存在として参列されます。

日本でも三種の神器のひとつが鉾だったりしますので、武器というのが国家をも象徴する存在だったことがわかります。

そうした武器を披露する場としての貴族の食事があったことはとても興味深いです。

ーーーーーー

というようなことをベースに明日は、樋口さんとお話します!

ーーーーーー

明日こそは、、、。しつこいか。


料理人付き編集者の活動などにご賛同いただけたら、サポートいただけるとうれしいです!