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micro:bitのススメ(5)〜初めて扱うデジタル回路の変遷

前回はデジタルとアナログの話を書きました。今回はデジタル回路について、黎明期から大きく様変わりしている様子を外観してみます。

筆者が論理回路に興味を持った中学生時代、一番手に入れやすい論理回路はTTL、テキサスインスツルメンツの74シリーズでした。そこに至る計算機前史と言うべき時代は研究対象として面白いのですが詳しいことはググってもらうとして端折ります。キーワードだけ挙げておきますと、手回し式、リレー式、真空管、パラメトロン、トランジスタ、等々でしょう。

この時代に74シリーズでコンピュータを作る記事を見たことがあります。筆者はその後大型計算機をNAND回路とD-FFだけで作るような仕事をしていましたからこの頃興味を持ったことは大いに役立ちました。

また中学生時代、NHK教育で今は亡き森口繁一東大教授のコンピュータ講座をうちの親父が毎週一生懸命メモを取りながら視聴していたのを記憶しています。今にして思えばコンピュータの設計をするでもない一般人がコンピュータの内部構造の講義を聞いて意味あるんだろうか?と疑問に持つような内容でしたが。

中学から高校生時代に入った頃でしたか、米インテル社がコンピュータを一個の半導体の上に実現した、と話題になりました。現在につながる、4004に始まる半導体コンピュータの始まりです。確かポラロイドカメラの心臓部に使われたと言う記事を見たことがあります。

要するにCPUを組み合わせ回路と順序回路を使って各々のアーキテクチャで自作していた時代が終わったわけです。つまりTTLの74シリーズのような部品を普及させるのではなく、「命令セット」が共通言語になり、これを普及させるのが市場を制覇するための必須条件となったわけです。

その後インテルの8080が爆発的にヒットし、今に至ります。

CPUのもう一つの流れとして、インテル系のCISCと呼ばれる、命令セットが複雑なものを大幅に削減し、少ない命令数でクロック周波数を高めることで性能を上げようと言う(RISCと称する)動きがあって、ARMや現在普及の兆しを見せているRISC-Vの流れにつながります。

そして次の動きが、CPUのみならず周辺回路まで全部載った基板+無償の開発環境が幕を開け、花開いて行きます。

つまり4004/8080のような、CPUを半導体チップで買って来てマニアがボードを設計してプログラミング言語で動くような環境を整えて、、、と言う開発スタイルは廃れつつあり、Arduino, Raspberry Pi, そしてmicro:bitのような、既に基板に載っているものを買って来て、既に整っているプログラミング環境を使っていきなりプログラミングから始める、のが、電子工作やプログラミング初学者が最初に取り掛かるスタイルになって来ています。

話があちこちブレましたが、今回の要旨は

・CPU(とそのアーキテクチャ)を各自が好き勝手に自作していた時代は遠い過去の歴史になった

・CPUと周辺回路が一体に載っている安価な基板を入手し、プログラミング開発環境は無償ですぐ使える、のがスタンダードになった

と言うわけで、良い時代になりました。が、こんな状況も10年もすれば気づかぬうちに廃れて過去のものになっていることでしょう。その頃どんなスタイルで初学者が勉強を始めることになるのか予想がつきません。

今回はここまで


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