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「音楽デジタルマーケティングの教科書 −ポストSNS時代のヒットの作り方−」

日々、新しいものが生まれ、めまぐるしく変化する世の中に置いてけぼりを食らわないためには、マーケティングを活用することが非常に大事。顧客ニーズを把握し、顧客から選ばれる存在にならなければ、ビジネスを成功に導くことはむずかしくなりました。

音楽業界では(業界内の一部なのだと思いますが)、まだまだマーケティングの認知度の低さが目立ち、勘や経験をもとに業務を行っていて、時代と逆行していることが多いなと感じています。

音楽ビジネスでマーケティングを活用するには、どうすればいいんだろう。

マーケティングについて書籍やインターネットで調べてみても、音楽に関する明確な記載がなく、どうすれば音楽の仕事を拡大していけるのかをずっと考えていました。

もんもんとした状態が続きまくった末、2年前に離職をして半分フリーランスに。引き続き考えあぐねていたときに出会ったのは、書籍「音楽デジタルマーケティングの教科書 −ポストSNS時代のヒットの作り方−」でした。

日本で初めて音楽デジタルマーケティングに特化した書籍で、著者は日本の音楽デジタルマーケティングを牽引する山口哲一氏と脇田敬氏。日本初の実戦型音楽マーケター育成プログラム「音楽マーケティングブートキャンプ」を主催されているお2人です。

本書には、SpotifyなどのサブスクリプションやTikTok、Instagram、XなどのSNSの特徴や活用法、デジタル時代の音楽のヒットの法則など、現代における音楽ビジネスの基本が記されています。

ほかにも音楽業界で活躍する人たちにインタビューし、リアルな現場の声も掲載。RIP SLYMEのILMARI氏のインタビューでは、RIP SLYMEとTERIYAKI BOYZ®の楽曲が、どのようにしてサブスクリプションやSNSで人気が高まっていったかを知ることができます。さらに、リスナーの反応についても、感覚で分析していたアナログとデータをもとに分析できるデジタルの違いについて、ILMARI氏の実体験をもとに説明されており、非常に理解しやすいのがうれしい。

サブスクリプションが主戦場になった世界と比べ、日本の音楽ビジネスまだまだ昔ながらのCD等のフィジカルを重んじる傾向が残っています。アーティスト個人でも活動できるになった時代、音楽プロダクションやレーベルの必要性に疑問を持つ人が増加しつつも、何をどうすればよいのか分からない状況が続いていたと思います。でも本書を読んで、世界の市場に参入するには音楽デジタルマーケターを育成していくことが不可欠だと知り、これまで抱いてきたもやもやに、幾ばくかの光が差し込みました。

私の仕事(約10年ぶりにリトライ中)は文章で音楽を広めていくもので、アーティストの楽曲制作やプロモーションに直接的に関わるものではありません。でも、以前と比べると、音楽ライターにも「分析力」が求められることが増えてきたと感じています。

音楽デジタルマーケティングの知識のある音楽ライター。これからの音楽ライターに求められるスキルのひとつになったのではないでしょうか。

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