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アップルパイの思い出

広島の五日市の石内ペノン内にあるANT BAKARY。

私の最近のお気に入りのパン屋さん。三次MUGIMUGI の系列店である。三次のものを使い地産地消で作られている。

ここのアップルパイはおいしい。ごろごろのりんごではなく、しっかり煮詰めてあり甘さも甘すぎずちょうど良い。

自称アップルパイが大好きな私。アップルパイと言っても色々な種類がある。カスタードクリームが入ったもの、りんごが丸ごとはいったもの、シャリっとした食感がのこっているもの、シナモンの風味が強いもの、さつまいものペーストが入ったもの。近頃は色々なバリエーションがある。どれも捨てがたいが、りんごを柔らかく煮てありシナモンの入っていない定番のものが私は1番好きだ。

アップルパイと言えば学生時代を思い出す。学生時代はお小遣いの範囲内でやりくり。ケーキ屋やパン屋に並ぶ1つ300〜400円もするアップルパイには手を出せない。話は少しそれるが、最近ではアップルパイといえど高級品。ケーキと比べても劣らないどころかそれよりも高い500円以上のものもあり少し驚く。

当時そのような高級品に手を出せない学生だった私のお気に入りは、もっぱら「ヤマザキのアップルパイ」であった。本当に大好きで2日に1回は食べていたのではないかと思う。1番仲の良かった友人はアップルパイが嫌いで、彼女にいつも「腐ったりんごが入っている」と言われていた。私は「腐ったりんごなんて食べたことないでしょ」と返すのがお決まりの会話であった。

この当時100円のアップルパイをどうやって美味しくたべるか色々と試してみた。そのまま食べる。オーブントースターで温める。アイスをのせる。冷やしてみる。色々と試した結果、袋を開けてそこに入ったまま少し出し手に持ってかぶりつくのがベストという結果になった。パイが床に落ちないし食べやすい。何より手間がかからないし、お腹が満たされる。学生時代は何もしていなくてもお腹が空いているからだ。お皿にのせてフォークで食べるなんてオシャレなことはしない学生だった。ヤマザキのアップルパイが1番美味しいと本気で思っていた。

今でもヤマザキのアップルパイを見るとその当時を思い出す。だが実際にそれを手にとり買って食べてみてもそれほどの感動はない。あら、こんな味だったかなと思ってしまう。大人になり舌が肥えることは喜びとともに悲しみも付き纏うことだ。自然とそれを食べることは減ってしまったけど友人との会話を思い出しあたたかい気持ちになる。思い出の味はプライスレスだ。


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