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店舗ポーカーイベントの作り方(永久保存版)

こんにちはえりぞうです。

今回は業界関係者向けへの記事となりますが、プレイヤーの皆様からの視点でもこんな感じでイベントを作成しているんだ!という事がわかる内容になっているので是非目を通してみて下さい。

1.ポーカーイベントの構成について

日々のポーカーイベントは以下の内容によって構成されます。

(1).通常イベント

日々開催されているいわゆるデイリートーナメントですね。通常イベントと言っても種類がいくつかありますので後述します。

(2).特殊イベント

周年イベント・BDイベント・卒業イベントなどがあたります。特殊イベントは多岐に渡りますのでこちらも後述します。

(3).サテライト

JOPTなどに代表される大型イベントへのサテライトです。
店舗によってどの団体のサテライトをしているかは結構な違いがあります。JOPTやWPTはハンターサイト系(ポーカー連盟含む)、AJPC SUPERCUP、JPF、WGP PRIXなどはJCI系の運営になります。
両方の団体のサテライトを行っている店舗は業界と上手な付き合い方をしているという事になります。

(4).大型イベントのDAY1

上記の大型イベントのDAY1を店舗で開催する事があります。

2.通常イベントの内容について

毎日開催されているサテライト以外の通常イベントです。昨今は競合店舗も多い為、大都市圏だとプライズを多めに出さないと集客が難しい側面もあります。

(1).通常プライズ系

・マイル(マルチケ)オンリーの正統系
1位5万マイル 2位3万マイル 3位2万マイルなどコストがフルにかかるので、きちんとイベントをブランディングしないと費用対効果が悪く赤字になります。毎週〇曜日は『××』の日、みたいな形で平日の中でも特別感を出していくといいと思います。

・マイルに割引系を組み合わせたバスケット系
割引系も含まれるので単純なコストはマイルだけに比べて廉価に収まります。割引系のメリットは次への集客に繋げやすいという事。デメリットはイベントが正統派と比較するとチープに見られやすいという事です。

・ウィークリーパス、プライズマッチチケット中心のディスカウント系
ほとんどが割引系で占めます。3年くらい前までは通用していたが、現在は集客に繋がらず僕個人ではあまり採用していません。

(2).KOプライズ系

通常の順位プライズに加えて、KOにもプライズが加わったパターン。
当然ながらKOの方にプライズが分配されているので、通常プライズは従来のイベントよりも低めに設定されます。

・通常KO
1人飛ばすと〇〇〇マイルもらえるといった内容です。

・プログレッシブKO
バウンティチップが増える事にプライズが指数関数的に増加していく内容です。オンラインとは違って直感的にわかりづらいのであまり採用されていません。

・ミステリーバウンティ
2022年になって流行し始めた形式。KOプライズ額はくじ引きによって増減
するという点と、KOは最初から発生する訳ではないという点が特徴です。

(3).MIX系

テキサスホールデム以外のゲーム。比較的PLOが多く、他には7スタッド、バトゥギ、5カードオマハ、オマハハイロー、RAZZ、H.O.R.S.Eなどが挙げられます。好きな人は好きというジャンルなので、内容がちゃんとしていれば多少価格が高くてもあまり集客には影響しません。

(4).シットアンドゴー

通常イベントのレイトレジストが終わったあたりに開催します。
金額は1,000円などで気軽に参加できる形で、プライズは店舗イベントチケットが中心となります。メリットは客単価の増加、顧客満足度の増加、次回来店への動線などがあります。

(5).昼ポーカー

平日の夜イベントよりも早い時間に開催します。
13時開催や16時開催など店舗によって開催時間にばらつきがあります。
プライズはちょっとしたマイルや、夜イベント無料招待など。
主に夜イベントへの動線として活用します。

3.特殊イベントの内容について

特殊イベントはその内容や頻度によって店舗のブランディングに影響しますので積極的に行っていきましょう。SNSで多くの人の目に留まりやすいのも特徴です。

(1).生誕祭、BDイベント

最近は複数人のBDイベントを合同でやる事が多いです。
よっぽど人気のあるキャストなら単体でもいけますが、精神的なプレッシャーが大きいのでケアも必要となります。
当該キャストのやりたい事をヒアリングしてある程度は自由にやらせてあげた方がモチベーションは高くなりますが、奇抜すぎた時のクレームリスクは考慮しましょう。

(2).卒業イベント

やるかやらないかは本人の希望を尊重しましょう。無理にやらせても本人のモチベーションが続かず失敗する事が多いです。
『卒業する』という事自体が一大イベントなので凝った内容にしなくてもよく、その代わり告知の方に力を注いでいってください。

(3).祝勝イベント

最近は大型イベントのサイドイベントが多くなってきた為、昔と比較して優勝の価値が相対的に低下してしまったので難しくなってきました。やるのであればメインイベント優勝クラスか、2人以上のセットで開催したい所です。

(4).周年イベント

1週間ぐらいのロングシリーズの開催をしている店舗もありますが、東京においてはこの競合具合だと熱量が続かず難しいと思います。
オーソドックスでいくなら土日2日間か金土日の3日間、長くても4日間ぐらいでいいと思います。
周年を祝ってあげたいという事がプレイヤーの目的なので、2DAYイベントのようなおおがかりなものまではセットアップしないで構いません。
(周年DAY1A,B,C,Dみたいな2DAYイベントを組んでいる所もありますが、その店舗はかなりのブランディング力があります。下手に真似をすると大やけどしますのでご注意下さい。)

(5).キャスト企画

MIX系、カジノ系、サイキックポーカー、チャイポなどになります。
毎回違うキャストをアサインするよりは、この企画は誰々といった形で固定してしまってブランディングしていった方がわかりやすいです。
URAMIX、ゆな8などが具体例になります。

(6).常連企画

常連のお客様のBDイベント、転勤お別れ会、対決イベントなどになります。
開催するメリットはお客様と店舗の結びつきが強くなることですが、デメリットは身内感が出てしまって新規顧客が来なくなることです。
開催頻度についてはバランスが大事です。

(7).プライズマッチ

ここでは15,000円以上クラスのイベントの事を上級プライズマッチと定義します。8,000円~12,000円の価格帯は普通のプライズマッチです。
実は上級プライズマッチを定期開催している店舗は思っているよりも少ないです。というのも、6テーブル以上置けるような中型店舗ではない限り上級プライズマッチを開催しても50万以上のプライズを用意できない為に規模感で他に勝てないからです。
上級プライズマッチはただ単純にプライズを多く出していますというやり方だと集客が頭打ちします。ブランディングが非常に重要な為、強いプレイヤーが多く参戦しているなどの見せ方をして優勝した時の承認欲求度を高めていく必要があります。
上級プライズマッチならずとも、どの価格帯が一番自店舗の客層にフィットするかは、色々なイベントで反応を試してみてください。

(8).高オッズサテ

新宿デポのJOPT VIPサテ、他店舗の1卓限定2枠サテなど高い価格で高い通過率を実現した特別なサテライトです。
JOPTは1/3を超える通過率のサテライトは開催してはいけないルールになっているのでそこは気を付けましょう。
(人が全然入らず結果として1/3よりも通過率が良くなってしまうケースは大丈夫みたいです)

(9).KO

通常イベントのKOとは違い、特定のプレイヤーのみにKOバウンティを設定するといった内容。祝勝系・BD系・卒業系とセットで設定されます。
KOバウンティのプライズは強くしすぎるとゲームバランスが壊れるので注意してください。内容によっては、該当プレイヤーのチップをカバーしている状態だと全てオールインをかぶせる事がベストプレーになってしまいゲーム性が破壊されてしまいます。なので原則的にはそのプレイヤーに関わるノベルティ(記念品)などでいいと思います。

(10).初心者系

・ROOKIES、未勝利戦、Rising Starsなど
プレイ歴による限定戦です。プレイ歴1年未満、1年半未満などいくつかの区分けが存在します。初心者の人が安心してトナメに参加してもらうという狙いがあります。

(11).年齢限定戦

・UNDER29,OVER40など
年齢による限定戦です。世代を集中させる事によって特別感を出したりコミュニティの結束を高めたりする狙いがあります。

(12).季節モノ

年末年始のおみくじ系、クリスマス系(コスプレとセット)、お盆系(浴衣とセット)、ハロウィン系(仮装とセット)など季節のイベントにコスプレを併せて開催する事が多いです。この時は通常ではやらない特殊ルールを採用するのもイベント感があっていいです。

(13).コスプレモノ

上記季節モノ以外では、バニー、チャイナ、ナース、アラビアンなどカジノエリアのイベントと一緒に行う事が多いです。
イベント自体は特殊なルールを採用してもいいですし、通常ルールでも特に構いません。

(14).酒系

アルコールが多くでるような取り組みのイベントです。
酒系はそもそもその店舗の客層の属性にあっているかの適正が問われる内容なので、店舗によっては全く行わない方がいい場合もあります。
イベントにそれほど強く絡ませない場合にはアルコール飲み放題プランを付与したり、絡ませる場合にはPOTが取れなかった時にショット1杯飲み干すなど様々な方法があります。プレイヤーが泥酔する可能性もあるので運用と治安には注意してください。

(15).タッグ戦

2人チームや3人チームなどが主流で、アクション毎でハンドを消化したり、時間で交代したり、2人が1ハンドを相談しながら決めたりなど様々な形式があります。
お祭り的な要素が多いのであまりルールの穴を突かれたりその事によるクレームが来る事はあまりないのですが、ソフトプレイなどの不正が起きる可能性はあるのでそこは留意する必要があります。

(16).特殊ルール系

パイナップル、クレイジーパイナップル、6枚目があるオーシャンなど上記では説明しきれなかったものが該当します。
原則的にはキャストのイベントにあわせたりするのが定石です。
なぜならそういったマニアックなルールを遊びたいという層が少ないからです。ただのマニアック化は差別化とはならないので気を付けて下さい。

(17).インフルエンサーイベント

インフルエンサーを起用したイベントです。
ほとんどのケースでイベント名称にインフルエンサーの冠名が付く事になります。
まずはインフルエンサーがやりたい事をヒアリングする事から始まります。
但しそれらを100%叶えようとしてもルール的な問題や興行的な問題で無理な事がほとんどなのでこちらの方で修正する必要があります。
なるべくインフルエンサーの希望を実現しつつイベントとして成立させないといけないので折衝的な要素も含まれてきます。
また、属人的な要素しかないので集客予想が本当に難しいです。
僕がやっていて本当に難易度が高いと感じているので、自信がなければイベント名称だけ変えて中身はただの通常イベントみたいな形でも全然いいと思います。深入りしすぎると思わぬやけどをする事があります。

4.マーケティングについて

通常イベント、特殊イベントについて説明しましたが、では具体的に金額やプライズ感を決定するのにどのような観点からアプローチすればいいかについて軽く紹介します。

(1).店舗のコンセプト

店舗のコンセプトとして客単価の低いコンセプトにして沢山集客するのか、客単価の高いコンセプトにしてそれなりに集客するのかを設定、トーナメントイベントについてもその客単価を考慮する必要があります。
参加費の高いイベントはブランディングをがんばるかプライズも多く出す必要があるので注意してください。

(2).競合店のリサーチ

同じ商圏内にある競合店のイベントをリサーチします。
1週間のイベントスケジュールをリサーチして、金額やプライズなどをまとめていきます。それによってその店舗で想定されている客単価がわかります。また、どのくらいの人数が集客されているかも調べてその商圏にどのぐらいの市場規模があるかもリサーチしておいた方がいいです。
トーナメントの人数については、ポーカーファンズで調べる事が可能です。
カジノやリングゲームについてはWEBから判断できるものがSNSにUPされる写真ぐらいしかないので何回か通った方がいいと思います。

(3).上を行くのか差別化するのか

リサーチが終わった後に行うのは、競合店と自店舗との力関係を客観的に判断するという事です。
自店舗よりも強い店舗のイベントに同様のイベントを被せても確実に失敗しますので、その場合は違うアプローチでの差別化が必要になります。
逆に自店舗よりも弱い店舗のイベントについてはいいものがあったら積極的に取り込んでいって構いません。
新規出店する際は、フランチャイズ出店のように既に屋号にブランド力のあるものを除いてはゼロからのブランディングとなるので必然的に差別化の方を選択する事が多いです。

(4).ブラッシュアップ

イベントについては定期的なフィードバックを行い、集客の悪いイベントについては改善するか違うイベントに差し替えます。その場合は集客のいいイベントのアレンジで対応できないか、他店舗で好評のイベントを真似できないか、昔のイベントをリバイバルできないかなどで考えていきます。

上記マーケティングはまだまださわりの部分です。プレイヤーがどのようなイベントを欲しているか(これが一番難しいです)、店舗のブランディングの価値を客観的に評価してどのように価格に反映していくのかなど考慮すべき点は多いです。

5.さいごに

ここに記載した内容で全国の全イベントの95%以上は網羅できていると思いますので是非参考にして頂ければと思います。

僕の感覚では東京のアミューズメントカジノの多くが赤字で運営になっているのではないかと感じております。それだけ厳しい戦いを強いられるフィールドですので、常にアンテナを張って周りの状況を把握してながらイベント設計をするように心がけていってください。

この記事がお役に立てたなら本望です、それではまた。


よければこの記事もどうぞ。沢山の方にご好評頂いております。



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