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読書ログ『アンクールな人生/弘中綾香』

読むのにかかった日数:1日
3時間ほど集中して読みました。ポップな文章と大胆なほどご自身の思いを隠さない正直さに心を打たれながら読みました。


『激レアさんを連れてきた。』『あざとくて何が悪いの?』などに出演するテレビ朝日女子アナウンサー・弘中綾香さんによる自伝です。
幼少期から中学、高校を経て、アナウンサーになるまでが綴られた一冊。
こちらを読もうと思ったきっかけは、先日読んだ福田萌さんの著書『「中田敦彦の妻」になってわかった、自分らしい生き方』がとても面白くて、芸能人のエッセイをもっと読んでみたい!と思ったからです。
その人の思いがたくさん詰まった文章からは、テレビで喋っている姿からだけでは感じられないその人足らしめる芯の部分が伝わってくるように感じます。

弘中ちゃんのこと、かなり好きです。
見た目はとても可愛らしいのに自分はこれと決めたらブレなさそうな軸の強さ、抜群に面白いフリートークの中から染み出る度胸と大胆さ。
随所に知性を感じる言葉遣い。
特にオードリーオールナイトニッポンにゲスト出演されていた時のトークが最高に面白く、飾らない性格と正直なお話の内容に一気にファンになりました。
どうやら萌ちゃんと言い弘中ちゃんと言い、可愛らしい見た目の中に大胆さとしなやかさを兼ね備えている女性に私はひかれるようです。

文章からはとにかく意志の強さと度胸を感じます。
普通だったら「こんなことを書くのは気が引ける」とか、「こんなことを書いたら印象が悪くないんじゃないか」とか気にしそうな内容でもバンバン書いてあります。
そしてそれが彼女の飾らない性格を表しているようで、とても痛快です。

私は今の自分の考え方というのは、大昔に誰かから言われた言葉や、自分以外の誰も覚えていないような、だけど深く深く印象に残っている出来事が複雑に絡み合って形成されていると感じています。
そんな根底に根付いた記憶をちょっとずつ解きほぐして言語化されていく様を見るたびに、つくづく私たちは芸能人を表面上だけで好きとか嫌いとか判断していたんだなと考えさせられます。
キラキラした芸能人と、そんな世界を微塵も知らない自分が、似たような経験をどこかでしていたり、逆にとてもとても自分にはできなかったような突飛な行動をしていたり。
過去に感じたことやその決断をするに至った思いを文章として読むたびに、その人の魅力を知るにはテレビはあまりにも情報が少ないなぁと思うのです。

特にこの書籍の中で印象に残ったエピソードは、弘中ちゃんの就活の時のエピソードです。
前述したオードリーのオールナイトニッポンゲスト回でも語られていますが、当初アナウンサー志望ではなかった弘中ちゃん。
そんな彼女がなぜマスコミ業界を志望したのか、アナウンサーの採用試験を受けようと思ったのか、そしてアナウンサーを志望する学生たちへのアドバイスが書かれています。
このアナウンサー志望の学生へのアドバイスがとても的確で、これから幾度となく人生に迷い、自己分析をしていく際にも重要なことのように思えました。
アナウンサーの先輩として、彼女は「アナウンサーになるためにやった方が良いこと」をよく聞かれるそうです。
これは学生の意見としてはとても積極的で良いことのようにも見えますが、「やった方が良いこと」のようにその場で聴いて近道が出来るような内容は所詮付け焼刃でしかなく、それよりもこれまで歩んできたひとつひとつの細かな経験に目を向けた方が良いというものでした。

私はこのエピソードを聞き、自分がただ会社に従事しているだけの『何者でもない存在であること』にひどく焦りを感じ、何か手っ取り早く自分でお金を作れることはないかと自己啓発本を読み漁っていた時を思い出しました。
結局付け焼刃で適当な副業をやってみたところで結果は変わらず、じっくりと自分の好きなことやこれまで積み重ねてきた細かな経験に目を向けた方が、成果は出たように感じます。
人に言えるようなカッコつけた経験じゃなくて、自分だけにしか言えないようなパーソナルな経験こそ、面接の場では伝えてほしい。
別に何かで1位になったとかどこかに留学したとか、そんなカッコいいエピソードじゃなくていい。
そんな彼女のアドバイスを体現するように、この書籍にはパーソナルな弘中ちゃんが詰まっているように感じました。
それこそこの書籍にある『アンクールな人生』なのかな、と感じたエピソードでもあります。


私はこの書籍を読んで、自分はつまらない、どこにでもいるただのOLだと思うことをやめようと思いました。
自分ではアンクールだと思っている経験や出来事も、その人の人間性を形作ったとても大切なものです。
それらから目を背けずに、自分にしかない武器を静かに磨いていこうと思います。



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