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デンマーク文化論

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デンマーク滞在中に感じたことを書いていきます
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#フォルケホイスコーレ

北欧の暮らしに学んだ、冬をできるだけ幸せに過ごすために買ってよかったもの

コロナの影響で家で過ごす時間が多かった2020年。家を快適に、長時間過ごすのに耐えうる空間にしなくてはという問題に直面した人も多かったのでは。 でも、過ごしやすい家って一体どんなものなんだろう? 波乱に満ちた2020年の半分近くをデンマークで過ごす中、私はヒントは北欧の人々の暮らしの中にあるのではないか?と思い至った。 なぜ北欧の家は快適なのか私の目から見て、デンマーク人は殆ど全員もれなく部屋を快適にすることに命をかけていて、そして全員もれなくセンスが良い。私の少ないデ

32歳、無職、海外在住になって思う、自由と働くということ

「32歳、無職、デンマーク在住」 2020年秋、私をごく簡単に表現するならこういう肩書きだった。 SNSではフリーランスの編集者と名乗り続けていた。けれど知らない土地での暮らしに慣れるまではと、お仕事はお断りさせて頂いてこのパンデミックのさなか、遠く知らない土地に単身渡ってきた。 デンマークに来てから最初の3ヶ月は、フォルケホイスコーレという18歳以上なら誰でも通える全寮制の学校に滞在していた。少し変わったこの学校はテストも評価もなく、授業を受けなくっても怒られたりしない

デンマークへの長い旅、はじまりの物語

「あんた、仕事は大丈夫。あとねぇ…海外行くわよ。海外!!」 大学4年生の春。 就職する前にいっちょ運勢でも占おうと、横浜中華街の雑踏の中にこぢんまりと佇む手相占い所に親友と行った時に言われた言葉だ。 期待で胸をいっぱいに膨らませた新社会人に、気さくな占い師さんは恋の話から健康の話までたくさん喋ってくれたのに、そんな話は今やひとつも覚えていない。私の脳裏に数年経っても強く焼き付いているのは、雑に言い切られた「仕事は大丈夫」と、力強く言い切られた「海外行くわよ」のたったのふた

よその国に来て想う、美しき日本への回帰思考

いま私は海外にいるのに、不思議と「日本」について考えさせられることが多い。ものを考える時には必ずキッカケがあるわけで、そのキッカケを探してみると「日本人としてのラベル」「北欧と日本に通ずる美意識」という2つのキーワードが浮かんでくる。 どうしてそんなキーワードに辿り着いたのか、すこし整理してみたいと思う。 日本人としてのラベルデンマークでの私は、まだ何者でもなくって。ここで出会う様々な人にとって一番わかりやすい私のラベルが「日本」ということになる。 今までは「リクルート

言語と思考の蜜月な関係

フォルケホイスコーレの理念のひとつにラテン語ではなくデンマーク語で「生きた言葉で学ぶ」というものがある。 デンマーク人のほとんどは英語が喋れるし、学校にはデンマーク語を喋れない外国人が1割程度います。それでも、頑なに…本当に頑なに…!!朝の会や先生から全生徒へのアナウンスはデンマーク語で行われるのがフォルケホイスコーレ。 フォルケ在籍外国人が1度は思うであろう「英語喋れるなら、全部英語にしてくれよ…!!!」という願いは、叶わない(と思う)。 けど、この願いと同時に痛感す

デンマークから学ぶ、コミュニケーションにおける風通し

私は今、デンマークの田舎の学校に通っています。 通っているのは大学ではなく、不思議なデンマークの学校「Folke hojskole(フォルケホイスコーレ)」。ちょうど高校と大学の間のような存在の、大人のための教育機関で、下は18歳から上は50歳、デンマーク人やアメリカ人、イギリス人、日本人、中国人と学んでいます。 現在、学校が始まってから2週間。私は、ある種デンマーク人の強さのようなものを毎日ひしひしと感じながら過ごしています。 仕事のキャリアも全部中断して、こんなご時