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【ドラマ感想】ヒーローか、悪人か『殺人者のパラドックス』
毎週配信のドラマなのかと思っていたら、一気に配信されていた。全8話。面白かった。『調査官ク・ギョンイ』が好きな人は好きだろうな…音楽とか美術とか。
この先、ネタバレしたくない方はご注意を。
好き度:★★★★☆
気に入ったところ
1、会話のテンポ
最初の家族の会話がリアルでよかった。実際の会話って話し終わるのを待たないし、それぞれ好き勝手に喋る感じが本当の会話っぽくてよかった。
2、演出
画面の切り替えが面白い。同じような構図で別の人、過去に戻ったりする。
やってることとBGMのアンマッチさが恐ろしさを引き立てている。新しい登場人物も回を追うごとに増えていくから飽きない。ただの追いかけっこにならないのが好きだった。
3、俳優陣
チェウシクさん、ソンソックさん、元から好きだけどさらに好きになった。ウシクって童顔だからか、『その年、私たちは』みたいなこじらせ系のかわいい感じが似合うし、私もそれがとても好きなのだけど、こういう役は新鮮でとても好きだった。ソンソックオッパは言わずもがなかっこいい。
パラドックス
タイトルの「パラドックス」についてずっと考えていた。悪人を殺していくのは、果たして正義だろうか。
1. 誤って人を殺した
2. なぜか証拠が消えた
3. 死んだのは極悪非道な犯罪者だった
パラドックス(paradox)とは、正しそうな前提と、妥当に思える推論から、受け入れがたい結論が得られる事を指す言葉である。逆説、背理、逆理とも言われる。
この場合、「殺人は悪、許されないこと」という正しそうな前提から、3で「本当に悪いことか?」という受け入れがたい結論が導かれるということだ。正義とはなにか、正しさはどうやって決めるんだっけ?とわからなくなった。
生きる意味
誰しもちょっとしたきっかけで、被害者にも加害者にもなり得る。人生を生きる意味がなかったイタンは、理由を与えられて、「それは才能だ」と言われて自分の生きる意味を見出していく。
偶然や運に助けられること、それは確かに才能なのかもしれないが、そうして過ごす彼の目は、時間が経つごとに暗くなっていく。意味なんてあってもなくても良いが、人から与えられたものだけでは幸せにはなれないんじゃないのか、なんてことを思った。