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Story of eri Pancake(006)

前回からの続き(最初から読まないと話がわからないかも)です。そのひとはこう言いました。「えりちゃん、歌がうまくなったらつまらない。」どういう意味ですか?せっかく練習しているのに。そしてさらに、こう付け加えられました。「商業路線から大きくはずれるところが持ち味、そこが魂。」

うん、なんだかまるで、ここにこう書くことで、わたしの歌声についての免罪符というフラグを今、立てているような気もしないでもないんですけれど、でも、なんとなくその真意は、推し量れそうです。決してスタンダードじゃない、売れ筋のメインストリームじゃない何か、ってことですよね。

つまり型破りな音楽。でもね、型を破るためには、型を習得しないといけない。習得してからそれを破るから、型破り。それがないままだと、それはただの「型無し」です。なのでその日から、習得の日々がはじまりました。と言っても、勉強とか練習とかが大嫌いな性格です。

自分が好きな曲、心地よく、気持ちいい曲に合わせて、毎日お仕事中もそれ以外の時間も、YouTube Liveで生配信している時以外は常にと言っても良いほど、歌い続けました。ところがここでまた、ひとつ困ったことが。わたし作曲ができないんです。これは致命的。

歌と違って誤魔化しが効きません。音楽の基礎、コード進行、それなりに専門知識とか経験がないと、とても形になんてできません。ついにバイト中、お客様を放ったらかして、演奏や歌の練習をしていたわたしが、とうとう作曲の真似事みたいなことまではじめる始末です。

そして「ただ音程が上がったり下がったりしているだけで音楽とは言えない。」とか言われて、お客様にブチギレてフレ切ってブロックしたりしてました。ここ、笑うとこです。後日ちゃんと仲直りしてます。ちなみにわたし怒ってよくそういうことしますけど、みんな苦笑まじりにすぐまたフレ申請してくれます。

そんな様子を見かねて、手を差し伸べてくれたのが、後のバンドのバンマスなのでした。バンマスは、わたしの拙い歌詞と鼻歌をベースに、それをちゃんとした曲にしてくれたんです。これには本当に驚きました。魔法を見ているようでしたから。

まるで、鼻歌を録音したら曲になるアプリそのものです。わたしは密かに「これは便利!」と思いました。いま考えるととても失礼なんですけれど、でも必死でもあったわたしは、すがる思いでお願いしました。「わたしとバンド組んでください!いつか一緒にFNS歌謡祭に出たいです!」

そうして、この世界にはじめて、わたしの歌詞がメロディーに乗ったオリジナル曲と、その曲を演奏するバンドが生まれたのです。最初の曲は、気の合う友達数人で夢中になって遊んでいたシューティングゲームがテーマ。ついつい朝まで、1位を目指して、1位を獲るまで終われない、そんな曲です。

ただ、ここでまたさらに問題発生。サビのメロディーができないんです。全体のコード進行も、Aメロ、Bメロもできました。歌詞はできてます。サビの部分だけ空白の曲を何度も何度もリピートしながら、何度も何度も声を出し続けるわたし。バイト中に。次回に続きます♫

もなか♡えり

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