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人生にはバーが必要だ
本当に久しぶりに、大好きなバーを訪れた。
銀座の名門「毛利BAR」が、2020年にオープンしたMORI BAR GRAN。東京タワーとスカイツリーが両方見える素敵なバー。
カウンターに座ると、和な乾き物と共に、透き通ったコンソメスープが出てくる。
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あー、このスープはなんだか落ち着く。ほっとする。飲む前に胃を守る役目もありそう。
さあ今日は何にしよう。メニュー代わりの本をめくると、真っ白なジン・フィズが目に留まる。え、白いジン・フィズ?
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白い理由を、バーテンダーが説明してくれる。
「時は第二次世界大戦後。GHQのアメリカ人たちが仕事で利用していた東京會舘で、朝昼からお酒を飲みたい時に、まるで牛乳を飲んでいるように見えるお酒を!とオーダーしてできたカクテルなんです。」
それでは、ジン・フィズで。
バーテンダーの美しい所作を見ながら、静かに待つ。そして、目の前に真っ白なカクテルが置かれる。予想以上に、しろい。まっしろだ。確かにこれは牛乳に見える。
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ヨーグルトのような酸味が心地よく飲みやすく。味わいも見た目も爽やかで心洗われるような一杯。飲み干すには時間はかからず。やるな、GHQのアメリカ人たち。
(「毛利隆雄の別格カクテル」より)ジン・フィズ レシピ
ドライジン 70ml
レモンジュース 10ml
シュガーシロップ 15ml
牛乳 30ml
ソーダ 適量
さあ。2杯目だ。
今週は結構疲れたからなあ、なんて思いながら本をめくると、Dr.M(ドクターエム)が目に入る。お客様から「体に良いカクテルを」と頼まれつくったというカクテルだ。材料はすべて薬用酒。これは今日の私にピッタリ。
では、ドクターエムを。
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おお、これは体によさそうな色。グラスに顔を近づけると、もういろんな薬用酒の香りが、うわーっと鼻に入ってきて、鼻づまりまで治ってしまいそうな勢い。口に含むと、はい、もう喉から食道入って胃まで、すーっと沁みわたっていく、デトックスしたような気分になれる一杯。
(「毛利隆雄の別格カクテル」より)ドクターエム レシピ
イエーガー・マイスター 20ml
アメール・ピコン 10ml
チナール 10ml
ウンダーベルグ 10ml
ライムジュース 10ml
心も胃も洗われたところで、この季節に飲むべきカクテル「雪国」を迷うことなく、最後の一杯に決める。
「雪国」は、サントリーの前身、壽屋が1959年に主催したカクテルコンクールで優勝した作品で、昨年亡くなられた山形県酒田市の名バーテンダー、井山計一氏が生み出したカクテルだ。
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きれいな色のカクテルに心躍らせる。まずは目からカクテルを十分に堪能したい。そして、こぼさないようゆっくりと自分の顔に近づける。スノースタイルの見た目の可愛さとはうってかわって、このカクテルは強い。ちびちびと、山形、青森の大好きな雪国の情景を想いながら、スノースタイルのお砂糖と一緒に味わっていく。
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(「毛利隆雄の別格カクテル」より)雪国 レシピ
ウォッカ 40ml
コアントロー 15ml
ライムジュース 10ml
ライムシロップ 1tsp
マラスキーノ・チェリー(緑) 1個
今日の3杯、どれも素晴らしい物語と味わい。この3杯を選んだ自分、やるじゃん! な自己満的達成感を感じるとともに、今年が年男という若きバーテンダーの素晴らしい技とサービスに感謝。
やっぱり、バーはいい。バーでは多くの会話はいらない。その空間に佇み、バーテンダーに身を委ねることがバーの醍醐味だ。だからこそ、コロナ渦でも負けずに頑張ってほしいと心から思う。人生にはバーが必要だ。
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