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ZEROBASEONE、サスティナブルアイドルの道をひた走れーーアイドル社会学①異性愛規範に捉われない愛と恋


アイドルを通して社会を考えるシリーズ、始めます。

その①〜異性愛規範に捉われない愛と恋〜


ゆらゆら-運命の花-で日本デビュー、
ゼベワンことゼロベースワン、おめでとう!

「ゼベワンってサスティナブルアイドルだ。
 その道をこのままひた走れ。」

今という時代のど真ん中を生きるアイドルグループが、「その表現」を選択していることは、未来への希望であると思う。

「その表現」とは、
「異性愛規範に捉われない恋と愛」だ。

私はその表現を選択するZEROBASEONEは、サスティナブルな存在であると思う。

サスティナブル(SDGs)とはなにか?
言葉の解説を以下に引用する。

SDGsは、 2016年から2030年の15年間で達成すべき“世界共通の目標"として、貧困・健康と衛生・エネルギー・環境・平和など17種類の目標が提示され、2015年9月に国連で開催された持続可能な開発サミットで国連に加盟している全193カ国によって採択されました。

https://sdgs.media/

これからの未来に向けて、世界中で取り組むべき課題とされていることのひとつに、ジェンダー平等が掲げられている。

ジェンダーとは、性自認(己の性をなんと認識するか、またその性に基づく様々な考えや行動)を示す言葉である。
このジェンダー平等とは、セクシャリティ(性的指向)平等も内包している。なぜならば、ジェンダーにおけるバイアス(偏見や凝り固まった価値観のこと)はセクシャリティにおけるバイアスも生み出しているからだ。

わかりやすく言うと、
男性は女性が好きで恋をする。
女性は男性が好きで恋をする。

というのがバイアスであり、当たり前のように幼い頃から社会に植え付けられてきた常識「異性愛規範」である。

実際は、
男性が好きな男性もいる。
女性が好きな女性もいる。
男性と女性のどっちも好きになる男性もいる。
どっちも好きにならない男性もいる。
心が男性のまま、女性を好きになる男性もいれば、
心は女性で、女性を好きになる男性もいる。

書き始めたらキリが無い。
このように、

「自分の体もしくは心の性の在り方」
である"ジェンダー"の多様性と、

「どんな対象に性愛感情を抱くか」
という"セクシャリティ"の多様性、

「どんな対象に恋愛感情を抱くか」
という"ロマンティック"の多様性は様々で、掛け合わせると数え切れない種類になる。

この数えきれない「人によって様々な個人の事情」を「全て無視」する形で、社会は作られている。

「心が男性の男性が、女性を好きになる」
「心が女性の女性が、男性を好きになる」

このふたつのケース以外はないものとして扱われ、またあるとわかると差別を受ける。それが古今東西、ジェンダーとセクシャリティ・ロマンティックへのバイアスと不平等、当たり前や一般常識とされている「異性愛規範」だ。

その見えない不平等は、芸術作品においてもしばしばどころかほとんどその前提になっている。ラブストーリーもラブソングも、ほとんどが男女のものである。

この世に生み出されるポップスのほとんどが、みんなそんなに恋愛してるの?というくらい、ラブストーリーばかりだ。そしてそのほとんどのそれらの歌詞、MVにおける演出は、異性愛規範に基づいてつくられている。

ゼベワンのMVは、愛や恋を連想させる歌を歌っていても、異性愛規範前提で描かれるものではない。

見る人がどんな個人の事情、尊厳を抱えていても見ることができる。
「男女」というケースに限定されない。

しかも今回の曲は学校が舞台、制服が衣装だ。
背景には生徒、男女どちらも出演している。

甘酸っぱい恋愛、切ない恋愛、などとくれば、グループのメンバーではない異性が恋愛感情の矛先として出演し、その役割を演出されるMVは、数えきれないほど多い。

女性を出演させているのに、男女の恋愛という演出をしない。
見ている側のジェンダーとセクシャリティがなんであれ、メンバーへの感情を思うままに歌詞に共感して楽しむことができるし、メンバーから見ている側への恋、としても楽しむことができる。

その選択は、異性愛規範で表現しないという、プロデュース(作品製作)側の明確な意思であるように思う。なぜならば、かなり強く意識しなければ、恋愛感情を表現するときに、自然と異性愛表現になってしまうのが、「一般的な感覚」であるからだ。

ゼベワンは、世界中のLGBT界隈で非常に人気の高いグループである。(その背景はまた別の機会に記す)この人気を汲んでいるのか、それとも昨今のクィアプライドの潮流を受けた意識かはわからないが、様々なラブソングの歌詞やMVを見るたびに「また男女前提か」とうんざりしてきたクィア当事者の私は、作り手側のその意思と配慮、そして演者であるメンバーたちを讃えると同時に、次もこうであってほしいと願う。

当たり前の規範の中で、傷ついてきた人たちがいる。世界中で若い世代から、気づき始めている。

エンターテイメントを通して社会に気づきを与える、もしくは気づかせるに至らないまでも、新しい規範を浸透させる立役者のひとりになるのではないか。そんな期待が生まれるグループだ。

ゼベワンってサスティナブルアイドルだ。
その道をどうかこのままひた走ってほしい。

桜の季節とモチーフで勝負をかけてくるのも、日本へのプライドと覚悟と敬意を感じる。

日本デビュー、おめでとう。

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