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やっぱりトットちゃんのお母さんのマインドになりたい。


不朽の名作、『窓ぎわのトットちゃん』。

続編が出たということで、前作を改めて読み直してみた。


トモエ学園を私財で開いた小林先生。ヨーロッパで学んだリトミックを取り入れ、食育、自然との触れ合い、ハンディキャップのある子への配慮、誰もが主役になれる学園作り。勉強は自分のペースで。

読めば読む程、教育方針が素晴らしく、子ども達1人ひとりに「ありのままでいいんだよ。」とメッセージを送られていたことが伝わってくる。

学園出身の中にはたくさんの著名人がいるらしい。Wikipediaで出てくる方も。今でいう、発達障害、グレーゾーン、身体障がい児にギフテッド…。明記されてはいないが、きっと一般の公立小学校で何らかの通いづらさを抱えた子ども達。

色んな子がいて、みんながお互いを認め合い、助け合って共存できる、優しい世界。そんな学園で学んだ子ども達は、優しくて、強い。絆も強い。

『窓ぎわのトットちゃん』は、学校に居づらさを感じる子にも、「環境が違えば君はきっと大丈夫なんだよ」、と語りかけてくれる。

前に読んだのは独身の時だった。現在、あまり学校が好きではない息子(小2)育ての真っ最中なので、深いところまで感じることが出来た気がした。今こそ、トモエ学園が必要な時代だよなあと、改めて思った。



そして、続編を読み進めた(ネタバレ含みます)。

やっぱり素敵な、いわさきちひろさんのイラスト。


前編『窓ぎわのトットちゃん』では、戦時中に疎開する所で終わるのだが、続編『続 窓ぎわのトットちゃん』では、その後のトットちゃんの人生が書かれている。

前半には、戦争中、戦後を逞しく生きるトットちゃん一家が描かれている。私は読み進めながら、トットちゃんのお母さんの魅力に釘付けになった。

前作では、小学校を退学になったトットちゃんにトモエ学園を見つけてくれたお母さん。洋服を毎日ビリビリ破いてきても咎めることはせず、修繕してくれたお母さん。トットちゃんのありのままを愛し、個性を潰さず育ててくれたお母さん。

印象としては、優しくて、おおらかで、柔軟な考え方ができる方なんだ、くらいに思っていた。

実際、私は、息子のことで臨床発達心理士の先生に「トットちゃんのお母さんになりましょう。」と言われた時、そのイメージで賛同したという過去がある。


でも、続編を読んで、そのイメージは大幅にアップデートされた。

北海道の滝川(かなりの豪雪地帯)ご出身のお母さん。お父様(トットちゃんのおじい様)は開業医。お母様(トットちゃんのおばあ様)は生粋のお嬢様 で、1度もお米を炊いたことがない(お手伝いさんがいた)。間違いなく、トットちゃんのお母さんもお嬢様だった。それは、トットちゃんの小さな頃の生活からも垣間見える。

それなのに、ご主人不在(戦後もシベリアに抑留されていた)の間にトットちゃん達(子ども3人)を守り、育てる姿は、ものすごく逞しかったし、間違いなく優秀な実業家だった。焼けてしまった自宅も、自分で稼いだお金で建て直した。

ただのお嬢様、優しいお母さんではない。とんでもなくクレバーで、実行力もコミュニケーション能力もずば抜けた方。それでいて、どんな時でもお洒落やユーモアを忘れない。きっとたくさんの苦悩があられたと思うけれど、強くてしなやかな竹のような方だと思った。

前作のあとがきで黒柳さんが書かれていたお母さんとのお別れのシーンがあるのだが、「じゃね」と眠りにつき、そのままお亡くなりになったのだとか。最後までかっこよ過ぎです、お母さん。


後半のトットちゃんの女学生時代やNHK時代のエピソードも、ものすごく面白かった。紅白歌合戦や、朝ドラ「ブギウギ」にも通じる場面もあり、とても興味深く、一気に読ませていただいた。



前編、続編全てを読み終えた時、やっぱりトットちゃんの根っこにあるのは、お母さんと、トモエ学園の存在なんだなあと、深く感じた。


トットちゃんはどこに行っても、大人になってもやっぱりトットちゃんで、その個性の強さから、周りから色々言われることもあった。悔しかったり悲しかったりした場面もあった。

でも、いつも真剣で素直。そして人に対しては親切で。根っこがしっかりしているから、多少のことではブレないのだ。少しずつ、でも確実に理解者、味方が増え、たくさんのご友人とも出会えた。そして、今現在でも、個性を発揮して輝き続けていらっしゃるって本当にすごい。

これは、黒柳徹子さんにしか書けない物語。でも、誰もがトットちゃんになれるヒントが詰まっていたし、私達がトットちゃんのお母さんのマインドでいられるポイントもたくさんあった。

・子どもの可能性を信じること
・ユーモアを忘れないこと
・フットワークは軽くすること
・「世間の常識」にこだわらないこと
・本当に大切なことは真剣に伝えること
・やりたいことを見つけた時には、必ず味方でいること

私なりに感じたトットちゃんのお母さんのマインド。


子ども時代の経験、出会いは本当に大切だと思う。その後の人生にも大きく関わっていく。大人の1年と、子どもの1年は貴重の度合いが全く違う。だから私も、今の子ども達の時期を本当に大切にしたいと思った。


トットちゃんのお母さんには足元にも及ばないけれど、そのマインドを見習っていけたらいいなあと思う。



間違いなく、『続 窓ぎわのトットちゃん』も名作です。

内容紹介

国民的ベストセラー、42年ぶり、待望の続編!
国内で800万部、全世界で2500万部を突破した『窓ぎわのトットちゃん』。
世界中で愛されている、あのトットちゃんが帰ってくる!
泣いたり、笑ったり……トットの青春記。

【本書の内容】
・東京大空襲の数日後、青森を目指して、ひとり夜行列車に乗ったトットを待ち受けていた試練とは?
・「おめえのジンジョッコ、描いてみろ」。疎開先の学校で、みんなとなかよくなりたいトットが、考えついた方法とは?
・「咲くはわが身のつとめなり」の言葉を胸に、トットが通った女学校や音楽学校の思い出は、映画、オペラ、ラーメン、それから?
・「そのままでいいんです」。NHKの専属女優になりたての、トットが救われた一言とは?
・アルバムからお借りした写真や、いわさきちひろさんの絵もたっぷり。

【黒柳徹子さんからのメッセージ】
私は、どう考えても『窓ぎわのトットちゃん』よりおもしろいことは書けない、と思っていました。私の人生でトモエ学園時代ほど、毎日が楽しいことはなかったから。だけど、私のようなものの「それから」を知りたいと思ってくださる方が多いのなら、書いてみようかなと、だんだん思うようになったのです。よし!と思うまで、なんと42年もかかってしまったけど、書きはじめると、笑っちゃうこと、泣いちゃうこと、それから戦争のことも次々に思い出されて……。

講談社BOOK倶楽部より


***

最後までお読みいただきありがとうございました。


絶対泣くの分かっていますが、映画も近々観たいと思います。


あいみょんの主題歌も素敵ですね。


あと、私が書いたトットちゃんに関連する過去記事です。よろしければ。

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