薬との戦い
古河バーさん逆ギレ劇場でも触れたが今のおばあさんが一番戦っているもの、最大にして最強の相手、それは「薬」。
おばあさんは朝、夜一日二回薬を飲んでいます。
おばあさんが薬を飲むのを忘れない様にとおばあさんの長女(私にとってはオバサンですがこれからはマダムと呼ばせてください)がお手製の薬キットを毎日作ってくれています。
一日、一食ずつ分けて飲むべき薬も小さなジップロックに入れて。そこまで細かく、しかも毎日。この薬を管理しているマダムには頭が上がりません。
ここまでして管理している薬ですが、おばあさんは不安なのでしょう。私の朝はおばあさんの薬の確認から始まります。
朝起床して、二階から一階に降りる時、いや階段から降りる音が聞こえた瞬間、お婆さんはこう言います。
「えーりちゃーん。お願いします」
最初は何をお願いされているかわからなかったんです。
お願い??なんか大変なことが起きてしまった???もしかして火の消し方を認知できなくなった??とりあえず大変なことが起きてしまったのではないかと思った私は眠い目を擦りながら階段を駆け降りました。
するとおばあさんは笑顔で薬の紙を見せてきたのです。
「これであっているよね??」
「うん。合っているよ」
そうか、確認しないと安心できないのか。
今のおばあさんに必要なのは薬の管理はもちろんなのですが、薬を飲んだことを毎食確認してくれる人の存在だと思い知らされました。
薬の管理も徹底されていて、自分で薬の確認も入念にするおばあさん。薬の飲み忘れなんて起きないと思いますよね!!でも起きてしまうんです。
薬を飲むことがそんなに大変なら…と一回薬を飲まなくてもいいよと言ってしまった時があるのですが、私は薬がおばあさんの脳味噌にとってどれくらいの役割をになっているのか、その時に思い知らされるのです。
とある日の朝のことのことです。
「えりちゃん、おばあさん何が何だか訳わからなくなってしまって朝ごはん食べていないのよ」
体がゾワっとする朝でした。
おばあさんが朝ごはんを食べられていない=朝ごはんが何か認知できなくなった??
朝ごはんを食べられていない=薬を飲めていない
薬を飲めていない=どうなるんだ??
脳内で様々なはてなが生まれながらとりあえずご飯を用意し、次薬!と思いながらおばあさんの薬の紙を見ているとおばあさんがこんなことを言い出しました。
「今日は薬いいよね」
薬が飲むことが大変なら、1日の朝だけならいいよね。
そう思って
「いいよ。飲まなくても死ぬ訳じゃないよ」
その日はおばあさんの調子は…大変なことになっておりました。
薬の偉大さを思い知らされたのです。
幸い、朝ごはんがわからなくなったのはこの日だけでした。
私はおばあさんと暮らしていたのは教習所に通っている間だけのことだったので完全に一人暮らしに戻った今、ちゃんとできているのか少し心配になる朝があります。
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