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声優・役者と心理カウンセラー。2つの道で梅田慧子さんが学んだこととは

この記事は宣伝会議編集・ライター養成講座の課題として提出したものを投稿しております。また、ご本人に許可をいただき掲載しております。

本業とは別に第2、第3のキャリアを並列で築く「パラレルキャリア」。自分らしい生き方が実現できる新しい働き方として、近年注目を集めている。今回は、声優・役者と心理カウンセラーという2つのキャリアを両立させている梅田慧子さんに話を伺った。

声優の世界では、自分は何にでもなれる

「中学生の時、ブラックジャックを演じる大塚明夫さんの声に衝撃を受けたことがきっかけで、声優という仕事を知りました。それから色々なアニメの声優さんを調べるようになって。同じ声優さんでも全くキャラクターの違う役をやっていることにまた衝撃を受けました。声優の世界では、現実では自分がなれない存在になることができる。自分もやってみたい!と強く思うようになりました」

中学生の時の経験をきっかけに、声優を目指すようになった梅田さん。高校を卒業した後は声優の専門学校へ進学した。

「専門学校に入ってすぐは、芝居の基礎を学ぶために舞台演技を勉強しました。そこで人前で体全体を使って表現する、舞台役者の面白さを知りました」

役者としての活動も活発に行い、「鴇色珊瑚物語」、「たたずむ その場所で」など数多くの舞台に出演する梅田さん。様々な役を演じる中で、役作りはどうやって行っているのだろうか。

「私の場合は、まず自分が演じる役のプロフィールを徹底的に紙に書きます。すでに決まっている設定はもちろん、どういう学生時代だったかなど、その役のことを勝手に想像して履歴書を作るんです。舞台の期間中は役の人生を生きていますね。本番が終わると奥に引っ込むんですが、私の中には今まで演じてきた役が全員存在しています」

相談する立場から相談される立場へ

声優・役者としての道を歩みながら、心理カウンセラーとしての仕事も行う梅田さん。実は当初は自分がカウンセリングに通う側だったと言う。

「専門学校を卒業した後は声優事務所に所属して仕事をしていたのですが、プライベートで色々なことがあってメンタルダウンしてしまい、芝居ができなくなった時期があったんです。その時に事務所を辞め、仕事を休んでカウンセリングに通っていました」

もともと悩みがちな性格だったという梅田さん。どうやって改善し、なぜ相談を受ける側にまでなったのだろうか。

「カウンセリングしてもらっていた先生が、悩みの根本の原因についてアドラー心理学をもとに分析し、理論的に説明してくれる方で。私はその先生と話して自分の悩みを分析し、その内容をインスタライブでアウトプットするということを行っていました。それを繰り返すうちに、感情論ではなくロジカルに考えるようになったんですよね。昔だったら嫌なことがあった時、ただ落ち込むだけだったんですが、今は『なんで嫌だったんだろう?』と自分の感情を分析するようになりました。思考の方法が変わったという感じですね」

自分の感情を分析し、アウトプットするという循環を作ることで、自分を整えていったという梅田さん。今は心理カウンセラーとして月に何件もの相談に乗っていると言う。

「心理カウンセラーになったのは、相談に乗ってもらっていた先生に、一緒に働かないかと声をかけてもらえたのがきっかけです。自分のように悩んでいる人の力になれればいいなと思い始めました。恋愛相談をメインに担当しているんですけど、掘り下げていくと別の話に発展することが多いんですよ。例えば『彼氏の携帯をつい見てしまう』という悩みがあったとして、理由を聞くと『自信がないから』。なぜ自信がないのか聞くと、根本的な理由は幼い頃の家庭環境に繋がったりとか。自分に経験がない内容の相談だったとしても、そうやってとにかく深堀りして話を聞くようにしていますね」

全く異なる2つの仕事を行う上で気づいたこと

声優・役者、心理カウンセラー。2つの仕事は全く異なるように見えて、実は共通していることがあるのだと言う。

「どちらも人の感情や心をピックアップしているんですよね。声優・役者はもちろん役の感情を表現しないといけないし、心理カウンセラーとしても相談者の方の心や感情を理解しないといけない。また、どちらも人と密なコミュニケーションをとらないとできない仕事だなと。特に心理カウンセラーとしては、初めて会う人がほとんどなので、安心感を与える話し方を心がけています。その影響で友達や恋人など、私生活でのコミュニケーションも気をつけるようになりました。仕事で学んだことは私生活で活かせているし、私生活で学んだことは仕事で活かせている。良い循環ができていますね」

2つの仕事を行う上での共通点、それは仕事のやりがいについて伺った話からも感じることができた。

「役者として活動する上では、『泣きました』『感動しました』と言われると嬉しいですね。人の心を動かせたと感じた時が何よりも嬉しいです。心理カウンセラーとしては、相談者の方から『話せてスッキリした』『声聞くと元気もらえる』なんて言ってもらえた時にやりがいを感じます」

そう笑顔で語る梅田さん。自分の言葉や表現が誰かの心に良い影響を与えた時、彼女はやりがいを感じるのではないだろうか。

再び声優の世界へ

役者として様々な舞台に出演する梅田さんだが、将来は声優と心理カウンセラーの2本柱で生活をするのが夢だと言う。役者ではなく声優にこだわる理由とは何なのか。

「やっぱり役者だと外見も含めての配役になるので、私だったら30代位の女性、といった形で役の幅がある程度決まってきちゃうんです。声優はそれがなくて、男性の役だったり、おばあちゃんの役だったり、演じる対象に制限がないのが魅力的だなと思っています。将来的には自分が好きなコンテンツに声優として出演するのが夢ですね。今年の4月からは、また声優事務所に入って再びレッスンやオーディションを受けようと思っています。心理カウンセラーとしては、資格を3つ取ることを今年の目標にしていて。色で心理を分析するカラー心理学や、スクールカウンセラーの資格を取りたいと思っています」

人生はもっと楽しめる

最後に、梅田さんが2つの仕事を通じて伝えたいことについて伺った。

「私は学生時代いじめられていたし、大人になってからも辛いことが多くて、死にたいと思うことも度々ありました。でもそんな時、自分の好きなアニメやゲーム、カウンセリングに救われてここまで来られたと思っています。なので、昔の自分のように今しんどさや生きづらさを抱えている人に対して、『人生はもっと楽しめる』ということを伝えていきたいです。アニメやゲームなど自分の好きなコンテンツを見つけて没頭してもいいし、誰かに話を聞いてもらうでもいい。死のうと思う前に、どうやったら人生楽しめるか、それを考えてみてほしいし、わからなかったら私みたいなカウンセラーに頼ってほしいなと思います。そして、いつか自分の出演する作品で、誰かを元気づけることができたらいいなと思っています」

辛い経験の中でも諦めず学び続け、自身のスタイルを確立してきた梅田さん。そんな彼女だからこそ生み出せる作品や言葉がある。そしてそれはきっと誰かの心を救うはずだ。生きづらさを感じる人が多い今、彼女のように自分らしい生き方を実現できる働き方を見つけて、少しずつでも前に進んでいってほしい。

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