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「調査しても、女性のインサイト、結局発見できないんです」は、なぜ起きるのか?

ここ最近、商談の場や各クライアントさんたちから連日、次のようなご質問を頂いているので、他の企業の方々も知りたいトピックではと思い、noteで取り上げることにしました。

「調査・リサーチをしても、インサイトを発見できない/ありきたりの調査結果しか出てこない。どうすれば発見できるのか?ウーマンズさんは、どうやって女性トレンドや女性の消費傾向の潮流を見つけているのか?」

ということで、一つの参考としてご覧ください。

56%のマーケターが「新しい発見を得られなかった」と回答

先日開催された、電通×トレンダーズ×当社ウーマンズの共同女性マーケティング講座で、電通さんが参加企業さんに、こんな質問をされてました。

「調査やリサーチをやってみて、うまくいかなかったことを教えてください」

この質問の回答1位は「新しい発見が得られなかった。そりゃそうだよね、としか言いようがない当たり前のデータしか出なかった」で、56%でした。やはり、多くの企業さんにとって、ここは課題のようです。

新たな事象を発見するコツは「質問力」

では、どうすれば、「新しい発見を得られるのか?」。

ヘルスケア市場の女性生活者のリサーチ・分析を専業としている当社ウーマンズが考える解、にはなりますが、それは「質問力」かなぁと思います。これは、女性生活者への質問設計・調査結果の収集・分析を日々ずーーーーっと行い続けている当社メンバーが断言していて、かつ、その分析結果は企業の皆さんに「毎回発見が多い」とご満足いただいてるので、割と確度高い解だと思います。

「質問力」の高低は何で決まる?

となると。「質問力」の高低って何で決まるのか?ってことになりますが、それは質問設計者側の知識の質と量と幅(=周辺領域)に関係してくるのではと思います(それは質問設計者が人間であっても、デジタルツールであっても、あてはまります。デジタルツールも結局は、人間の知識によって設計されているため)。分かりやすいケースで考えてみます。

<調査方法>
女性の食行動を探る調査を通して●●を発見することを目的に、食事日記をモニターA子さんに書いてもらう。その後、その内容をもとに必要に応じて追加質問を実施する。

<調査結果>
戻ってきた調査結果を見たら、パン、パスタ、チャーハン、どんぶりなど、糖質を中心とした食行動が目立っていた

上記の結果を、どう読み解くか?さらには、読み解いた後にどんな質問をするか?で新たな発見の有無につながってきます。上記の調査結果に対する次のアクションとして、質問設計者2名の比較を以下で見てみます。

<質問設計者Wさん>
うーん…。パンにパスタにチャーハンにどんぶりか…。なーんか普通だなぁ。A子さんは糖質好きなんだな。特にA子さんからは何も発見がなかったから、特に深堀質問しなくていっか。やっぱりこういう調査って毎回、ありきたりの答えしか出ないよなー(調査終了)。



<質問設計者Yさん>
随分と糖質に偏った食事をしてるなぁ。考えられる理由は以下のどれかかもしれない。
①経済的理由? 
┗低所得者ほど、主食オンリーの食に偏る傾向が強い
➁月経前の一時的な食欲増加のタイミングだった?
┗月経前は食欲が増加し、普段はヘルシーな食事をしている女性でも生理前のみ普段とは全く異なる食事をするのは、女性にはよくあること
③血糖値の乱高下のサイクルから抜け出せなくなっているのでは?
┗糖質中心の食生活で血糖値の変動が激しいと、空腹になりやすい。このサイクルから抜け出せなくなっているのでは?
④時間的制約?
┗ゆっくり食事をする時間がない程忙しい過ごし方をしている人の場合、短時間ですぐに空腹を満たせる、糖質メインの単品物系を意図的に摂取する傾向がある
etc.

ふむふむ。A子さんの食行動を決定づける背景が何かしらありそうだぞ。こういった背景が、A子さんの食行動に影響を与えているとしたら、もう少し深堀りして質問してみよう(調査はまだまだ続く。やがて新たな発見につながる)。

新たな事象を発見するには、対象者そのものや、調査事項(今回だと、食と所得の関係、食欲と月経の関係、食と生活環境の背景etc.)に関する専門的な知識の質と量と幅(=周辺領域)が要になってきます。

私自身、女性生活者のことや女性マーケテイングのこと、女性ヘルスケア市場のことに関しては(それを専業としてるので当たり前ですが)、幅広く情報を持ってるものの、例えば「鉄鋼業界について調査をしてくれ」って言われたら、鉄鋼業界のことを何も知らないので何についてリサーチをすればいいかも全く分かりません。リサーチして仮に様々な情報が集まってきたところで、どの情報をもっと深堀すべきか、追加で何をリサーチする必要があるのかすらも全く判断つかないわけです。

つまり、よく分からない領域においては「何について分からないのかが、分からない状態」なので、当然「何を質問すれば良いのか?」も分からない上に「かえってきた調査結果を見ても、読み解きができない。どう活用すれば良いか分からない」状態になってしまいます。

(ちなみに、既述の電通さんの調査では第2位が「きっと何かに使えそうなデータだけど、どう使えばいいか分からないデータが集まってしまった」で、44%でした。確かにこちらも、あるあるかなと思います。)

知識の質、量、幅は十分か

もちろん、調査設計をする担当者は(あるいは外注企業)、知識は当然おありだと思うのですが、もし調査結果を見ても「うーん…汗」、と毎回なってしまっているとしたら、既述の通り「対象者そのものや、調査事項に関する専門的な知識の質と量と幅」が不十分な可能性が考えられます。

調査結果をどんな視点で見てるか?で導きだせる結論も変わる

そしてもう一つは、調査結果を意識的に見てるかどうか?どんな前提や視点、仮説を持って見るか?も関係しているものです。りんごが木から落ちるのを見て万有引力の法則を発見しちゃう人(=ニュートン)もいれば、りんごが落ちることに何も感じない人もいれば、りんごが落ちたことすら気がつかない人もいます。

リサーチは新たな発見の宝庫

そもそも、ウーマンズでは日頃から女性のインサイト発見のために自主調査を積極的に行っていますが、毎回調査結果は、新たな発見の宝庫です。調査結果を見るたびに、社内では「へ~」「面白い(笑)」「なるほどね~」「これは気づかなかったなぁ」という声が頻繁に出てきます。

女性生活者の分析をし続け、女性生活者を熟知しているはずの私たちですら新たな発見がいつもあるので、「調査しても何の発見がない」という言葉を聞くと、逆に「どんな質問設計をしたら、そうなるんだ??」と、毎回不思議に思うのが正直なところです。

ということで、表題の解。貴社で調査を実施される場合、質・量・幅を意識していただくと良いのかなーと思います。(それでも、やっぱり女性のインサイト発見がちっともできない、新しい発見がないよー!、という場合は、いつでもウーマンズにご相談くださいませm(__)m!新たな発見の宝庫を、お届けします~)

※追伸※
11月18日に「【ヘルスケア行動日記調査】365日超多忙の働くママ、一体いつ&どんな健康・美容行動してる?」をリリースしました。働くママはどんな商品・サービスを求めているのか?早速、様々な発見がありましたので、良かったらぜひご利用くださいませm(__)m



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