🍎HIGざっくりまとめ Foundations編 vol. 6 インクルージョン

2022年11月22日 18:23

　2022年6月7日、AppleのHuman Interface Guidelinesが改訂されました。これを期にしっかり読み込み、個人的視点からのざっくりなまとめを記していきます。

※私はブラウザで動くWEBアプリーケーションのUIをデザインしています。その視点から大切だと思った点を残してくので、対象外のデバイスや各プラットフォームの細やかな話は端折っています。

Inclusion（インクルージョン）

インクルーシブなアプリは、敬意あるコミュニケーションを優先し、誰もがアクセスし理解できる方法でコンテンツや機能を提供することで、人々を第一に考えています。

インクルージョンとは
「インクルーシブ」は、「ソーシャル・インクルージョン」（社会的包摂）という言葉から来ており、これは「あらゆる人が孤立したり、排除されたりしないよう援護し、社会の構成員として包み、支え合う」という社会政策の理念を表します。
「仲間はずれにしない」、「みんないっしょに」という意味です。

英語で「エクスクルージョン（exclusion）」＝「排除」の反対語が「インクルージョン（inclusion）」。つまり、「排除しない」ってこと。

インクルーシブ・バイ・デザイン

シンプルで直感的な体験は、優れたデザインのアプリの核心です。直感的な体験をデザインするためには、まず、人々のゴールや考え方を調査し、彼らに共感（empathy）してもらえるようなコンテンツを提示することから始めます。

各人の視点は、以下のような誰もが共有する人間の特性や体験から生まれます。

年齢
性別・性自認
人種・民族
セクシュアリティ
物理的属性
認知属性
永久障害、一時障害、状況的障害
言語・文化
宗教
教育
政治的または哲学的な意見
社会・経済的背景

インクルージョンに焦点を当てることで、不快感を与える可能性のあるコンテンツを避けることができ、また誰もが楽しめる快適な体験を作り出すことができます。

共感（empathy）について
Sympathyという似た意味の単語がありますが両者の違いは？
他人の不幸をかわいそうに思うのが sympathy、
他人の感情を理解して分かち合うのが empathy です。

ウェルカムランゲージ（温かい言葉）

アプリ内の文章を注意深く見直し、あなたの口調や言葉が人を排除していないことを確認しましょう。直接的でわかりやすく、包括的なテキスト（コピー）を書くためのヒントをいくつか紹介します。

コピーのトーンをさまざまな角度から検討する。
例えば、アカデミックな文体では、高学歴の人しか使えないアプリと思われてしまう可能性があります。自分のアプリに合ったスタイルを模索しながら、明確で率直、そして敬意を払うことに重点を置いてください。
人の呼び方に注意する。
人を直接呼ぶ場合は、youや yourを使うとうまくいきます。ユーザーやユーザーと間接的に呼ぶと、アプリがよそよそしくなり、歓迎されないように感じられることがあります。
専門用語や技術用語を定義せずに使用することは避けましょう。
専門用語や技術用語を使うと、文章が簡潔になりますが、その用語の意味を知らない人を排除することになります。どうしても使いたい場合は、その用語の定義を明確にし、簡単に調べられるようにしましょう。
口語的な表現を平易な言葉に置き換える。
口語表現は翻訳するのが難しい場合があります。中には、あなたが知らないうちに排除的な意味を持つものがあります。排他的な意味がない場合でも、それを理解しない人を排除してしまうことがあります。
ユーモアを含む前に慎重に検討してください。
ユーモアは非常に主観的で、口語的な表現と同様に、ある文化から別の文化に翻訳するのが困難です。ユーモアを盛り込むと、それを理解できない人を混乱させたり、繰り返し遭遇して疲れる人をイライラさせたり、異なる解釈をする人を侮辱するリスクがあります。

親しみやすいこと

親しみやすいアプリは、使う前に特別なスキルや知識を必要とせず、時間をかけて理解を深めていく道筋を明確にします。

明確でわかりやすいインターフェイスを提示する。
アプリの使い方を学ぶための方法を組み込む。
新規ユーザーには段階的なアプローチを、経験豊富なユーザーには必要なコンテンツに直接アクセスできるような、初回起動時のエクスペリエンスを設計することを検討してください。

性自認

特定の性別への不要な言及を避けることで、誰もがあなたのアプリに歓迎されていると感じることができます。

性別にとらわれない名詞、代名詞を使う
性別にとらわれないアバター、絵文字、グリフ（男や女ではなく人間を表すもの）

人物と設定

人間の多様性を表現しよう。アプリやその関連資料の中に自分と同じような人がいれば、排除されたと感じる可能性は低くなります。

人を表現するコピーや画像を作成する際には、さまざまな人の特徴や活動を描くようにしましょう。
一般的な職業を表現する必要がある場合は、男性の医師や女性の看護師だけといったステレオタイプな表現は避けましょう。
表示する設定やオブジェクトも見直してください。多くの人にとって身近で親しみやすい場所、家、活動、アイテムを表示することをおすすめします。（例えば、"裕福な生活イメージ"は特定のシナリオ以外では歓迎されないかも）

ステレオタイプを避ける

誰もが偏見や固定観念を持ち、それはしばしば無意識のうちに行われるものです。

例）将来的な本人確認のために回答可能なセキュリティ質問の選択肢
・大学時代に一番好きだった科目は何ですか？
・初めて買った車のメーカーを教えてください。
・初めて虹を見たとき、どのように感じましたか？

ある視点から見れば、これらの質問はありふれた出来事を指していますが、いずれも誰もが持って経験とは限りません。その経験を持たない人にとっては無意味であり、事実上排除されます。
上記の文化や能力に特化した質問の代わりを作るには、次のような、より普遍的な人間の経験を参照するとよいでしょう。

・趣味は何ですか？
・初めての友達の名前は？
・あなたを最もよく表している品質は何ですか？

ステレオタイプや仮定に基づいてデザインを決定すると、一般論は人間の多様な視点を反映することができないため、必然的に排除につながります。思い込みを避け、インクルージョンを重視することで、すべての人にとって有益な体験を創造することができます。

アクセシビリティ

障がいがあるからといって、そのアプリを使いたくないと決めつけないことも重要です。このような思い込みは、アプリの潜在的な利用者を制限するようなデザインになりかねません。これに対して、アプリの各体験をアクセシブルにすることに注力すれば、すべての人が自分に合った方法でアプリから恩恵を受ける機会を得ることができます。

障害者を排除するような画像や表現は避けてください。
障害者について書く場合、人間性優先のアプローチを取ってください。
シンプルで知覚しやすいことを優先する。

言語

人々は、テキストの言語を選択し、日付、時間、金銭などの値の書式設定を行う地域を選択して、自分のデバイスをカスタマイズすることを期待しています。世界中のユーザーを受け入れるには、まず、アプリが自国以外の言語や地域を扱えるように準備します。

インクルージョンに注目することは、ローカライズの準備に役立ちます。
アプリのグリフにSFシンボルを使用することも、ローカライズの効率化に役立ちます。
アプリや関連コンテンツをローカライズする際には、色の使い方も意識してください。

感想

自分が持ってるバイアスには自分でなかなか気づかないかも。経験や所属してる国や文化など。
すべてのデザインと同様に、インクルーシブ・アプリのデザインは反復プロセス。最初から完璧な包括性を求めるのではく、プロセスを持続することが大事。
UXライティング的な内容も書かれてました
「セキュリティ質問の選択肢」などは確かになるほどでした。ローカライズも視野に入れるとさらに固定観念に注意が必要そう。

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