Old
義父が引っ越した。
妻(私にとっての義母)をとつぜん亡くして3年、
私達の家から車で20分ほどの場所で
一人暮らしをしていたのだが
体調を崩して入退院を繰り返していた。
その間、コロナ禍の時期とも重なり
何もかもシンプルにはいかなかった。
このまま一人暮らしを続けるのが
難しくなった時、
娘(私の義妹)宅近くのケア付きマンションに
空きができ
急遽引っ越すことになったのだった。
ケア付きマンションに移った義父は
同年代の隣人達とのコミュニケーションもでき
メキメキ元気を取り戻したようで
安心している。
一方90代まで一人暮らしを長年続け
亡くなる数ヶ月前だけ病院とホームで過ごした
夫の祖母マミーのアパルトマンも
今月末、人手に渡ることになった。
小さな浴室と
明るいダイニングキッチンの間には
海の見えるサンルームがあった。
昔は修道院だった古い建物で
何世代もの家族の思い出が詰まっている。
アパルトマンに最後のお別れを言いに行くと
そこここにマミーの不在を感じて
また悲しくなった。
思わず涙が込み上げたのは
引き出しの奥に
広告で一緒に作った折り紙のチリ箱を見つけた時だ。
10年以上前、日本に行った時に覚えて
これいいわね、と言っていた甲高い声を思い出す。
マミー、こんなもの、大切に取っておいたんだ。。。
私達が南仏に移住した15年前、
義父母も夫の祖母もまだ元気で
若かった私達の新生活を
いろいろと手伝ってくれた。
それからうちにも義妹のところにも
新しい命が誕生し、成長し、
家族の形はどんどん変わっていっている。
私が多感な時期を一緒に暮らした
日本の祖父も逝ってしまった。
そういうことをいろいろ考えている時に
ちょうど観た映画 Oldは
直球で胸に突き刺さった。
インド系アメリカ人
M・ナイト・シャマラン監督の新作だ。
時間の経過に問題が起き
急速に老化する人々を描いている。
子供は急成長し
大人は老いと向き合う。
真っ新だった体には、
使い続けた機械のように
故障が出てきて
そこに精神がついていかない。
パニックになる人、
反対にどんどん穏やかになる人‥
経済力も美貌も関係なく
時間は誰もが平等に持っている。
あまりにリアルなシーンには目を覆いたくなるけれど
そこにはとてもシンプルなメッセージを感じた。
イマココを大切にすること。
そして
変化を受け入れること。
静かに戦いながら。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?