生きて記憶に残らないことと、死んで記憶に残ること。
生きている私は忘れ、死んだ妹については覚えていた同級生がいる。
小学3年生。小さな学校で、少人数学級。転校して友だちが出来ない寂しさから、仲の良かった同級生に、数ヶ月ぶりに連絡をとった。何度も一緒に遊んで、家にも遊びに来てくれた私の中では大事な友だち。当時は電話か手紙が主流で、その時は電話。名前を伝えても一緒に遊んだこと、ほかの同級の名前を伝えてみても、私を思い出せないという。家の場所を伝えたら分かるかなと、自分の家の住所を教える。すると、電話口の後ろで
「その住所なら、あの子が死んだ家じゃない?」
という言葉が聞こえた。あの子とは私の妹の事。「ああ!あの可愛かった子!でも、私と同じ年だっけ?」
頭が真っ白になった。私はすぐ後に、担任だった先生に私は元気だと伝えてくれと言い、電話を切った。
この時に思った。
ひとは死んだ方が生きてる人の記憶に残りやすいんだ。
怖かった。寂しさに拍車がかかった。
私には生きて生まれてこなかった姉もいる。姉についても、何かある事に母に聞かされていた。「あなたは生きているのだから」そりゃそうだ。産んだ子どものうちの半分が死んでる母だ。誰かに何か言わなきゃやってられないだろう。
私は、誰かの記憶に残る人間になりたいと思いはじめた。さっさと死ぬか、それとも何かとんでもないことをやるか。
そこから、自分でもコントロール出来ない自分が時々現れるようになった気がする。
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