『青春18×2 君へと続く道』
藤井道人監督&清原果耶ちゃんの組合せ!観たい!!!ということで本日朝から『青春18×2 君へと続く道』を鑑賞してまいりました。
観終わって「君へと続く道」の前に「青春18×2」が付いている意味をしみじみ。
主人公ジミー(台湾人)の現在(36歳)と過去(18歳)の様子が交互に描かれたこの作品、少年から青年に移り変わる18歳という年齢の男の子をシュー・グァンハンさんがめっちゃ魅力的に演じられています。
調べてみたら実際のご年齢は33歳なんですね!どっからどう見ても18歳にしか見えず、しかもアミに仄かな恋心を抱く不器用で真っ直ぐで純粋なその姿に、年齢が18のダブルスコアならぬトリプルさえも越えている私が萌え転がりました。
そんなジミーを翻弄する魅力的な日本人の女の子に清原果耶ちゃん。おそらく設定ではジミーより数歳年上なのかな?彼女は”ある状況”を抱えているのですが、それは瞳が僅かに揺れる程度しか現れず、観ている私もずっと「世界を旅する天真爛漫な女の子」だと思っていました。
そんな2人が台湾の街で楽しそうに過ごす時間が温かく、キラキラと輝いていて。
それらはおそらく”18歳のジミーの心”を通して映し出されたもので、あの年代の感性と時間でしか味わえないことを知っている人間にとっては「かけがえのなさ」と「二度と触れられない切なさ」とが入り混じり、何ともいえない柔らかな痛みとして身体の中へ入ってきました。
さて、ここからはネタバレになります。
(知りたくない方は鑑賞されてからどうぞ)
おそらく物語慣れをしている人は途中からアミがどういう状況を抱えているかは気づいたんじゃないかな?よくある話、といえばそうかもしれません。
私は藤井監督の『余命10年』が大好きで4回も劇場に通ったので、いくつか設定が被る部分を感じました。
アミが病を抱えて余命が短いこと、それらを隠してジミー達と楽しいひとときを過ごすこと、自分の生きてきた証のように絵を描いていること、おそらくはジミーに託すために最期まで絵本を描いていること、残された男性が彼女の存在を胸に生きていくこと、(あと桜…)など。
でもそういう事情がわからないくらい、清原果耶ちゃん演じるアミは無邪気で小悪魔的で可愛らしくて、自由な女の子に見えました。
36歳のジミーが日本で旅をしている途中で出会う18歳の男の子、幸次(道枝駿佑くん)。えらく無邪気で人懐っこくて透明感があって子犬のように可愛らしいのですが(ミッチーの本領発揮!)アミの設定を知った後だと彼もまた、何らかの事情を抱えていたのかもしれないな、と思わせる存在です。
同じく旅の途中で出会う長岡のネカフェの店員・由紀子(黒木華さん)。彼女は一見ふつーのアルバイト店員に見えるんですが、ジミーが新潟のランタン祭のポスターを眺める横顔を見た瞬間に「あ、これは連れて行ってあげなくてはアカンやつ!」と決めた表情が只者ではない。やはりその人生を想像してしまいます。
アミが台湾でジミーやカラオケ店のメンバーと様々な思い出を刻んだように、ジミーもまた日本で その人生に跡がくっきりと残るような人々と出会い、短い時間を共有していきます。
この作品は恋愛映画というより(個人的には)”青春をもう一度味わう映画”のように感じました。
人生の岐路に立った36歳のジミーがそのタイミングでようやくあの頃を振り返り、日本のアミに会いに来る。
18歳×2の36歳でもあり、18年かけて来たアミへと続く旅路でもあり。
エンドロールは字幕付きのミスチルの音楽をぜひじっくりとお聴きください。
ジミーからアミへの ”今、このときの『Love Letter』” となっています。