☆農家の1日の中にある豊かさ〜イカ刺し、オロナミンC、たまにトキ☆


農家の娘が1年で唯一“農家の娘”らしいこと
をする実りの秋。

佐渡は9月から始まっていた稲刈りが終わり、
りんごやなし、そして柿の収穫最盛期を
迎えています。

わたしの実家は柿農家。

この時期(9月下旬〜11月中旬)は、
早朝から夜まで、
柿、柿、柿、柿…の柿づくめ、柿づくし、
柿まみれの1日を日々駆け抜けています。

前に書いた記事もよかったら↓
https://note.mu/erikokitazawa/n/n89315960c24f



柿をかごいっぱいにもいで
柿を選別してコンテナに詰めて
柿がお行儀よくきれいに並んだコンテナ(約23kg)を
運んで、積んで、出荷する。

一連の作業自体は単純作業。


だけど、柿もぎ作業は、
不安定な足場で三脚に乗って背伸びしたり、
重いかごを持ったまましゃがんだり、
枝が密集してる地帯に身体をよじらせ分け入ったり、
なっている柿を傷つけないよう(当たらないよう)
腰をかがめて歩いたり。

そこまで細心の注意を払っているのに、
予想外のところに張ってやがる
クモの巣に顔面が突っ込んでしまったときの
こんちくしょー!感。

やられた感が半端ない。笑


選別は選別でまた大変で、
同じ姿勢で黙々とより分ける。
(これがけっこう腰にも膝にもくる)

雨や朝露にあたってしまったら
柿さまのお顔をきれいに拭き拭きして、
汚れがあったら
これまた1個1個拭いてあげて、

コンテナいっぱいになると、
そのコンテナを積み上げたり、
トラックに運んだりするんだけど

ずっと、じっとして選別してた
固まっていた身体に
この超絶重いコンテナ運びは
ボディーブローのように響く、堪える。



何が言いたいかというと、
「柿もぎはこんなに大変なの!!」

…と言いたいわけではない。


相当な重労働ではあるのだけど、
わたしはこの柿もぎが大好きなのである。


こんな悠長なことは
これを毎日まいにちやっている両親に比べ、
手伝えるときだけ帰って参加する身分だからこそ、
言えるに違いない。



この歳になって思うことがある。


この重労働をずっと続けて
わたしたち姉妹を育ててくれた両親への感謝だったり、
すごさだったり。

昔は感じることができなかった、
農作業の中にある豊かさだったり。


ごくありふれた日常なんだろうけど、
これがどれほど豊かなことか。


そんな思いに至る瞬間が毎回あるんだけど、
きっと両親含め、そんな気づきは
誰も発信はしないと思われるので、
農家の娘(わたし)が代表して紹介したいと思ったわけです。


人によっては、これが“豊かだ”と感じない人もいるでしょう。
それはそれでいい。


いろんな価値観があるし、
それぞれの“豊かさ”を大切にしていけばいいんだから。

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柿もぎ最盛期のある1日


この日は朝から秋晴れの晴天!
最高の柿もぎ日和。

太陽の光を浴びて、背中もぽかぽか。
少し汗ばんだ身体。
爽やかな風が通り抜けるときの至福。

きれいに色づいた柿をテンポよくもげる楽しさ。

いつもは使わないところまで身体を動かし、
身体もなにやら張り切って喜んでる様子。

お手伝いに来てくれている
若いお兄ちゃん(やっぱり男の人の力はすごい)と
果物作りの名人のおじさんとの何気ない会話。

頭上を飛んでいる鳥の鳴き声。
遠くで聞こえる川の音。
どこかで聞こえるトラックの発進音。
風の音、葉が擦れる音、
柿のへたを切る音。

音楽もなければ、ラジオもない。
携帯は車の中。
柿もぎ手伝いに来てると1日触らない。



ちょっと身体が疲れてきたところで
10時のおやつタイム。

コンテナを逆さにしてイス代わり。

お菓子やバナナやパンを食べたり。
今日みたいに暑い日はお茶も2〜3杯は
あっという間に飲み干してしまう。

このおやつタイムが大好物。
(ちなみに3時のおやつもある)


お腹も身体も満たされて、
また柿もぎ再開。

おやつパワーでまた力がみなぎっているのがわかる。

おやつは大事だ。



もぎもぎしていると突如、11時半に特大のサイレンが鳴る。
町中に響き渡る大音量。

災害でも緊急事態でも何でもなく、
「もうすぐお昼ですよ」
を知らせる農家さんへの優しさサイレン。

ちなみに、12時にも別のサイレンが鳴る。
これは「お昼ですよ」の合図。

12時きっかりにお手伝いさんにはお昼休憩に
入ってもらう。

お手伝いさんが休憩に入られると、
コンテナをまとめて、積んで、運んで、
午後の準備をして、
両親もわたしもお昼休憩に入る。



この日のメニューは、
佐渡産コシヒカリのごはん、味噌汁、
母のお友達(漬物名人)の方のカブの味噌漬け、
できたてほやほや熱々の卵焼き、

そしてメインディッシュは、
ヤリイカのお刺身。

このヤリイカは、
父のお友達(漁師さん?)が
朝、水揚げしてまだ生きたままのピチピチだったイカくん。

それを父がさばいて、
母が刺身にしてくれた。

当たり前だけど、鮮度抜群!!
超絶うまい。

唯一切ないのは、
この贅沢な朝食を早食いしないといけないこと。

10分で完食。


食器を洗って、歯磨きして、
午後のおやつの準備して…
時計を見たら「もう出なくちゃ!」の時間。

13時から午後の部再開だけど、
お手伝いのお兄ちゃんとおじさんは
もうすでに13時前に来てくれてる。



午後も、もいで、もいで、もいで。


途中で、どこかのおばさんが
オロナミンCを差し入れしてくれる。

両親に聞くと、
先日”ハネ柿“(出荷できない傷あり柿)を
そのおばさんにあげたらしい。

そのお返しでオロナミンCをくれたそう。

物々交換が当たり前に展開される、
田舎の日常。


3時のおやつを食べてると
青空の中、美しく優しいピンク色の羽を見せ
トキが舞って飛んでいく。

「あ、トキだ!」
「トキはきれいだなぁ〜」
と、みんなで見上げる。


さぁここからは追い込み。
日暮れが早くなった秋は、
あっという間に暗くなる。

もいで、もいで、もいで。


だんだん手元が暗く、柿の色が見えにくくなったなと感じる頃に
17時を告げるサイレン。

「今日もおつかれさまでした」
の終わりの合図。

このサイレンとともに柿もぎは終了。


ここからはまだまだ選別や出荷の作業は続くけれど、
舞台を野外から電気のある屋内へ移す。

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こういう1日を過ごすと、
身体はくたびれた〜ってなるんだけど、
心はすごく満たされているから不思議。

自然の中で身体を動かす。
自然とともに働く。
自然に合わせて暮らす。

きっと、この辺にその秘密があるんだろう。


自然と離れれば離れるほど
人は“豊かさ”から遠ざかるのかもしれない。


ま、一度離れまくるのも経験。
そうすることで価値に気づくことができるから。



過去最強、最大の被害をもたらした台風19号。

今なお、復旧復興はままならず、
不安な日々を送られている方がたくさんいる。

普通に電気もガスも水道も使える、
住める家があることのありがたさ。


被災された方々が多くいる中
こんなことを言うのは不謹慎かもしれないけれど、

すべてのことは必要があって起きている。


起こった出来事に対して、
わたしたちがどう考え、
そこからどう行動をシフトしていくか。

それがとても大事なんじゃないかと。


東日本大震災のときも
目を疑うような光景、目を覆いたくなるような現実
が生まれた。

けれど、この大震災をきっかけに
生き方や考え方、働き方が
大きくシフトした人が増えた
ことも事実。


ほんとうに大切なものはなんだろう?
ほんとうに価値あるものはなんだろう?
ここまで便利にする必要はあるのだろうか?


そんな問いが一人一人の中に湧き上がり、
移住を含め、人生の舵を方向転換した人も多い。

それくらい、ものすごいインパクトを与えたのが
東日本大震災だったように思う。



今回の台風19号を受けて、
ほんとうに見直さなければならないのは、
考え方や生き方のような気がしてならない。


地球環境が変わり、
ここ数年台風の進路も変化している。

考えたくはないけれど、
この規模の台風が今回のような進路で
日本を通過することは
想定外ではなく想定内になってくる。


そうなったときに、
自分はどこで、どう生きたいのか。



もう一つ。
農家の娘てきな観点として、
日本の農業システムにも一言言いたい。

美しすぎる野菜や果物だけを
出荷の基準にするのはもうやめてほしいなと。

美しさを生み出すために使われる農薬。
美しくなれなかったために捨てられてしまう農作物。

おかしくないかい?


海外では、不揃いの野菜も
傷がある果物もスーパーに並んでる。

それが自然。

均一であることよりも
自然(オーガニック)の姿である方に
消費者も意識と価値を向ける。



今回の台風でも出荷直前の農作物が
大被害を受けて、
被害総額は図り知れないという。

1年かけて大事に大事に育ててきた農作物が
一夜にして奪い去られる。

農家の方の1年の収入とともに。


野菜だって、お米だって、柿だって、
曲がってても、欠けてても、傷があっても
味は変わらない。

綺麗で美しい基準から外れてしまった
愛嬌のある農作物を
消費システムの中に循環させてあげられたら、

不作で高騰しまくる野菜の値が
わずかでも落ち着くんじゃないだろうか。

なんて、思ってしまうわけです。



とはいえ、偉そうなことは言えない。
ついついスーパーで器量好しの野菜を
選んでしまうわたし…。

まずは、自分の意識から変えていかないとだ。


柿が大好きなあなたへ
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https://www.kaki-jahamochi.com/

種がなく、甘みが強いのが佐渡のおけさ柿の特徴。
昔から”医者いらず”と言われるほど栄養豊富な柿を
ぜひご賞味あれ〜。


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