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人の行動を変えるには、まず強化子のリサーチから┃ABA(応用行動分析学)の活用❶

割引あり

こんにちは!最近、ABA(応用行動分析学)に夢中なERIKOです。

皆さんは、誰かの行動を変えたい!と思ったことはありますか?
子供の困った行動に苦労している…
パートナーのとある行動が許せない…
仲間や部下の問題行動をどうにかしたい…など
人付き合いをしていれば、何かしら思ったことがありますよね。

とは言え、いくら身近な人であっても、それぞれの意思を持つ他人。そう簡単に変えることはできません。
結果的に自分を抑制して相手に全て合わせてしまったり、逆に自分の意思を押し付けて相手を抑制してしまったりと、どちらかがストレスを抱える事でなんとか関係を保っているケースは少なくはないでしょう。価値観の異なる他人と付き合っていく上では、仕方のないことかもしれません。

しかし、その困った行動を変える事で、本人と自分自身の双方にとって良い結果が得られるなら、積極的に行動を変えていくべき。
お互いの未来にポジティブな変化を求めるなら、ABAを活用したアプローチが有効です。

行動は、変えられるのです。

本記事は、そのABAの導入として最初に読んで欲しい内容となっております。皆さんの未来を変えるきっかけの一つとなれば嬉しいです!是非最後まで、読んでみてくださいね。


ABAとは

まず、ABAというものを知らない方もいらっしゃるでしょう。
ABAの活用現場は多肢に渡りますが、特に日本では、発達に遅れのあるお子さんをお持ちの親御さんや、仕事として関わっている職員スタッフなどによく知られているかと思います。

ABAとは「Applied Behavior Analysis」の略で、日本語では「応用行動分析学」と呼ばれています。

応用行動分析学は、アメリカの心理学者バラス・スキナーが創始した「行動分析学」の一領域になっています。

行動分析学では、「人間や動物などの行動には、法則がある」と考えます。
行動を分析し、法則を明らかにすることが行動分析学の目的です。

そこで分かった知見をもとに、社会の中での問題となる行動を解決する領域が応用行動分析学です。

応用行動分析学は教育や福祉、医療、企業、スポーツなどの分野で活用されて成果をあげています

LITALICOジュニア┃ABA(応用行動分析学)とは? より引用

論文等で最も多くの有効性が示されているのが、療育が必要なお子さんに対する現場なのですが、この学問のベースとなる”行動の原理”は、すべての人に共通しています。
他人と関りながら生きているすべての人において応用が可能であり、あらゆる問題を解決に導く方法であると言えるでしょう。

三項随伴性

人間の行動の原理は、三項随伴性で成り立っています。

  1. 先行条件(どのような状況で)

  2. 行動(どのような行動が起こり)

  3. 結果(そのような結果になったか)

どのような行動にも、必ず前後の状態が関係しており、行動を変えるにはそこに介入していく必要があります。

何十時間も勉強してるのであまり簡単には言いたくないですが、簡単に言うとこんな感じ⇩(言うんかい)

  1. 先行条件:お腹が空いた時

  2. 行動:冷蔵庫を開けて食べ物を探した

  3. ケーキを見つけて食べたらお腹が満たされた

この流れを経験をした場合、次にお腹がすいた時も、冷蔵庫を開けて食べ物を探す確率は高くなりますよね。

行動のあとに、良いことがあると、その行動は増える。
逆に、行動のあとに嫌なことがあれば、その行動は減る。

良い行動を増やしたいなら、行動のあとに良いことを与え(強化)悪い行動を減らしたいなら、行動のあとに嫌なことを与える(弱化)。このようにして、人の行動を変えたい現場に応用していきます。これが、ABAの基本なのです。

ちなみに後者の「嫌なことを与える(弱化)」については、後に大きな弊害を生む可能性があるので、実践していく場合の注意や工夫が必要不可欠であり、「嫌なことを与えるのではなく別の行動に置き換えて、良いことを与え、その行動を増やしていく方法(弱化ではなく、消去+強化)」が適切と言われています。これについては、また別の記事で説明しますが

行動を増やすにしても減らすにしても、行動に対していかに適切な強化をするかが重要なポイントとなりますので、その人にとって強化につながる”良いこと”を熟知しておく必要があります。

強化子

強化につながる”良いこと”は、その人が受け取って嬉しいと思うモノやコトであり、ABAにおいては”強化子”と呼びます。
良い行動を増やすために与える強化子ですが、良くない行動のあとに与えることで、良くない行動すら増やす強化子。
行動を増減させる影響力を持つ強化子ですが、毎回同じ強化子では効果が薄れてしまう可能性があり、環境によっては、使える強化子が制限される場合もあります。

状況に合わせて適切な強化子を与えられるようにするには、強化子にバラエティを持たせる必要がありますので、この強化子を探る工程はとっても重要です。
強化子は、”受け取って嬉しいと思うモノやコト”なのですから、その人にとっての”好き(好子)”を沢山見つけることが、引き出しを増やす近道となります。そしてこれが、行動を変えるための第一歩となるのです。

様々な好子の例

  • 好きな食べ物

  • 好きなおもちゃ

  • 好きなキャラクター

  • 好きな番組

  • 好きな遊び

  • 好きなお店 

”好き”の種類は様々ですから、できれば色んな種類・ジャンルからそれぞれ複数の”好き”をリサーチしておきましょう。そうすることで、
例えば外出先では、鞄に入れておけばすぐに出せるお菓子や小さめのおもちゃを…
何も持ち合わせていない時には、道具のいらない遊びを…
とっておきの強化子として、滅多に行けないお店へ…など。
状況に合わせた対応が可能になります。

トークン

ABAを活用して介入する場合、その行動が起こる回数が多いほど強化子を与える機会が増えるということになりますが、1日に何度もご褒美を与えるのが現実的ではない場合もありますよね。そんな時には、トークンを用いた強化がおすすめです。

トークンとは、簡単に言うとポイントカードのようなもの。「ポイントが5つ溜まったらご褒美ね」というように、ご褒美を与えるまでにステップを踏む必要があり、ステップを踏んでいくことが強化に繋がります。

子育て経験のある方は、お子さんのトイレトレーニングで既に用いたことがあるかもしれません。他にもあらゆる場面でポイントカードが使われていますから、日頃から私たちは、何者かに行動を操作されているのです(笑)


応用しやすいトークンですが、ステップを踏まなければご褒美が与えられないという部分で、効果が薄れてしまう可能性もあります。
特に幼児や知的に遅れのある人には、そのルールを理解することが難しいかもしれませんし、あまりにご褒美までの道のりが長い場合には、誰もがモチベーションの維持に苦労することでしょう。
その人に合ったトークンの内容を設定するためには、その人の事をよく理解しておく事が必要不可欠です。

ネガティブに作用する強化子

さて、ここまでの内容は「なんだそんなことか。そりゃそうだよね」と、すっと納得できる内容だったかと思います。

しかし皆さん、覚えてますか?

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