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手元に残る宝物

徳島新聞 ちょっとええ話 2022/03/31掲載

 本年度も終盤になり、卒業や卒園など区切りを迎える子を持つ保護者たちは、さまざまな思いで式典に臨んだことだろう。私もその中の一人である。
 大好きな保育所に別れを告げ、立派に成長し巣立っていくわが子を、目頭を熱くして見届けた。行事の縮小や中止などがあり、楽しみにしていた最後の遠足もかなわなかったが、安全に努めながら保育所を運営してきた先生方には感謝の気持ちでいっぱいだ。
 保護者同士で話す機会もあまり持てなかったので、最後に何かできることはないかと考え、文集作りをした。子どもへのインタビュー欄、出産や育児エピソード、先生への手紙、好きな写真を貼れるフリーページなどを設けて気持ちを文字に表してもらった。
 心のこもった手作りの1ページは、温かい母の愛情や感謝にあふれ、めくるたびに笑みがこぼれた。このご時世だからこその思いつきは、手元に残る大切な宝物になった。


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