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”蘇りへの希望 生命を未来に託す”

2015年、脳腫瘍のために2歳で亡くなった女の子を冷凍保存したというニュースが世界中を駆け巡りました。
この映画は、その女の子の家族が、どうして娘を冷凍保存するという決断に至ったか、そして冷凍保存すると決断してからの家族それぞれの生き方を映したドキュメンタリーです。

最初、タイトルとあらすじだけ見た際には、正直、良い感情は抱きませんでした。親のエゴなのではないかと。
少なくとも、自分の娘が同じような状況であったら、娘に寂しい思いをさせないように、そして最期の時をどう過ごすかに重きを置いていたと思います。
仮に冷凍保存を提案されたとしても、とんでもない!と強く退けていたことでしょう。

当時のメディアやニュース記事では、女の子の家族を避難する言葉や、”藁にもすがる思いで娘を冷凍保存して未来に賭けた”と書かれているものもありましたが、
映画を見進めるうちに、世間のそうした意見に自分が違和感を感じ始め
女の子の家族の葛藤に共感し、同時に強い尊敬の念も生まれていました。



優秀な医療科学者である父親が、悩み抜いて出した決断。
輪廻転生を根本教義とする仏教徒でありながら、悩み抜いた末に父親の決断を受け入れた母親。
そして、最愛の妹を救うべく、父の意志を継いで科学者になる道を選んだ兄。

この家族の葛藤はこの先もずっと続くと思いますが、それぞれが自分の生きる意味を強く自覚していると感じましたし、それはこの世の中にあって、とても幸運なことではないかと思います。

この家族の決断は、知識と、愛と、宗教や世論などの固定観念と対立する勇気と、未来へ投資・期待する懐の大きさがなければできないことだと感じました。

映画の後半は、ずっと涙を流していたように思います。
物議を醸す内容だとは思いますが、私は見てよかったと思います。
自分も医師という科学者の端くれとして、勉強し続けなければならないと強く感じました。


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