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世界一平和なテレビ


私には、何年も前から毎週録画しているテレビ番組がいくつかある。

今や、TVerやHuluなどといった「便利極まりない時代だねコンテンツ」が軒を連ねており、レコーダーの必要性がだいぶ薄らいでいるのは理解している。

当時、最先端だったBlu-rayレコーダーを意を決して購入したのに、今となってはBlu-rayという言葉すら死語に思える。
それでも、私にはずっと前から慣習的に録画を続けている番組があるのだ。
なんだか、Blu-rayレコーダーを愛してやまない人みたいになっているが、ただ、ずっと前からの設定がそのままになっているだけだったりする。
だがしかし!!
そこはあえて無視する。
経緯はどうであれ、せっかく録画できているので、次の日予定の無い前日の夜にお酒を飲みながらとか、休みの日、一通り掃除洗濯終わった午後なんかに、ダラダラしながらイッキ見するのが好きだ。

まず、「アメトーーーーク」と「にけつっ!!」この2番組は先の「便利極まりない時代だねコンテンツ」で無料配信されていない番組なので、レコーダーで録画する事に大いに意味があると思っている。

そして「サザエさん」だ。
これはもう、いつからなのかわからないくらい果てしなく昔から毎週録画している。
大好きな番組のひとつだ。
なんと言っても平和なのが良い。
こんな平和で誰も傷つかない番組は世界中でサザエさんだけだと確信している。
はるか昔より、日曜の夕方6時半はサザエさんで決まりなのだ。
サザエさんは日曜夕方6時半で、日曜夕方6時半はサザエさんなのだ。ここは完全にイコールで結んで良い。
正解だ。
受験生は絶対に覚えておくべきだし、過去問でも何度となく出題されてきたはずだ。

なので、私は自分の休日の夜に敢えて録画したサザエさんを観たりする。
「明日からまた月曜日。仕事頑張らなくちゃ」感を、サザエさんによって演出するのだ。
そして、休日は終わりですよ!明日から仕事ですよ!と自分に認識させる。それが実際何曜日であろうと、サザエさんを見る事でその日は日曜日になり、翌日は月曜日となり、仕事が始まるのだ。
今の時代に観る、サザエさんの時代錯誤感は否めないが、やはり観るとほっこりするし、古き良き日本の生活をしみじみ感じて幸せな気分になれる。
サザエさん一家は、日本の四季折々の風物詩や季節ごとのイベントを、こよなく愛し大切にしている。


何年も前から観ていると、時々すごく辛辣なストーリーの時がある。制作の人達の、過酷な制作スケジュールをこなして頑張ってきたけど、これって意味あるのかな?私って幸せなのかな?私の人生ってなに?みたいなモードに陥った時の、自暴自棄になったテンションで作ったんじゃないかと思えるようなストーリーだ。
それはそれで面白い。
作っている人たちの葛藤を、サザエさんの作品を通して表現しているのだ。


これはもしかすると、サザエさんの新しいカタチなのかも知れない。
するとどうだ、瞬く間にジャーナリストたちはこぞってサザエさんを雑誌に取り上げ、芸術家たちは自分の才能を疑い苦悩し始める。

いわゆるオーソドックスなサザエさんが好きな人達からは、なかなか受け入れられないだろう。
だが、初めこそ受け入れられなくても、その内賛成派・反対派ができ、意見をぶつけ合うようになり、あちこちで新・サザエさん派と旧・サザエさん派のいざこざが後を立たなくなる。

テレビでは、連日サザエ論争が繰り広げられ、コメンテーターは、さも核心的な事を言っている風味に保身100%のコメントを発言し、視聴者からネットで叩かれる。実はサザエさんは、海外のとある軍事国家によって情報操作されているとかいう都市伝説まで浮上する。あのエンディングの果物から登場する様子も核シェルターを意味しているとかいないとか。

その後、さらにいざこざはエスカレートし、火炎瓶を投げ合ったり、機動隊が出動せざるを得ないような抗争にまで発展していく。
これは、のちにサザエ革命として教科書に載ることになる。
これも受験生は絶対に覚えておくべきだろう。
試験必修科目だ。


世界一平和なテレビだったはずが、些細なきっかけで世界一混沌としたテレビになるという、この滑稽な世界。
世の中は不条理に満ちている。



ていう、サザエさんを見た後、私の頭の中で飛躍していった妄想でした。


また来週!

じゃんけん、ぽん!!✊✌️🖐

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