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『あの日、選ばれなかった君へ』読書感想文 息子編

小学3年生で剣道を始めた息子。
彼以外は全員小学1年生。
全員と言っても息子を含め6人。
1年が9割を占めるのは珍しいということだった。

息子の頭ひとつぶん背低いの同期と稽古に励む。
手足の連動が苦手な息子にとって
足さばき腕さばきが重要になってくる剣道は
かなり難易度が高く四苦八苦しているようだ。

お試し期間がすぎた時に「やめる」と言うだろうと
思っていたわたしの予想に反し、続行を選んだ。
それならば協力しないとな、と覚悟を決めた
が……
水、金、土の1時間半のお稽古が週3日。
親は子どものサポートのために正座で見守る。

わたしにとって苦痛でしかない時間で、
ずっと座って息子を見てるしかない。
正座がキツイし、買いたてのジーンズに
膝のあとがつくのイヤやなとか、
「イヤな時間」としか思えない。


阿部さんは著書の中で
育児に奮闘する様をこのように綴っている。

自分たちの色メガネを「おもしろメガネ」にアップデートして装着する。赤ちゃんと向き合う日々を、おもしろく捉えられないか考えるようになった。

『あの日、選ばれなかった君へ』

ホントそうだなって思った。
イヤな時間としか捉えてなかったけど
オモシロさを見つけてみようかって気持ちに
切り替わった。

今日の稽古ではどんな収穫があるだろう。
稽古後の息子はなんとなく気落ちしてる感があるから、笑わせられるようなネタを仕入れよう。
なにがウケるだろう…先生のモノマネ?


そう、稽古後は気落ちしてる息子。
1人背が高いからか、不器用だからなのか、
マジメに取り組んでるのに空回りしてるからなのか、先生からの指導が他の子に比べ長い。

「オレ下手なんやな」  「オレうまくできへん」
ネガティブ発言で帰路につく。
わたしとしては、初心者なんだし上手くできなくて当たり前。この時期にたくさん指導してもらうことで正しい型を身につけることができると
思っているのだが…息子には伝わらない。

3年であるオレが1年生よりできてない
この事実に打ちのめされてるよう。
息子ー!聞いて!1年の子たちは兄や姉の稽古を
見てきているから何となく感覚を掴むのが
早いだけなんだって。
息子は全くの初めてやーんって言うのだけど
受け入れられない。

だが、やめないって言う。
強くなりたいって言う。
日本刀や武具が好きな息子にとって剣道は
その世界に触れられる唯一のものなのかも。

たやすく叶う夢を追いかけてもつまらないじゃないか。いいじゃん下手くそでさ。簡単に書けたら、逆に困るよ。これからの自分を信じてあげられるのは自分しかいないんだぞ、

『あの日、選ばれなかった君へ』

「いいじゃん下手くそでさ」
息子に言ってあげたい言葉だと思った。
下手な今があるから上にいこうってもがけるんだ。
自分を信じて稽古するのみ。
大丈夫、息子だから。

もう少し長文が読めるようになって
もう少し年齢を重ねたら
息子に渡そうと思う本がある。
『あの日、選ばれなかった君へ』
親の励ましよりも効くと思うんだ。

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