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#4 『かいじゅうたちのいるところ』 モーリス・センダックさく/じんぐう てるおやく(冨山房1975年)

どうも自分の心の中の「暴れん坊」をなだめきれていない1月も後半。いっそのこと大冒険に出てしまいたい…!そんな衝動にも駆られる日々、子どもの世界で思う存分遊べる1冊を絵本棚に並べます。

#4 『かいじゅうたちのいるところ』 モーリス・センダックさく/じんぐう てるおやく(冨山房1975年)

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マックスはおおかみのぬいぐるみをきて大暴れ。「この かいじゅう!」お母さんに怒られても、「おまえを たべちゃうぞ!」とバリバリの反抗心。とうとう夕飯ぬきで部屋に閉じ込められます。すると、にょきりにょきりと木が生えて、あたりはすっかり森の中。打ち寄せる波に運ばれてきた船に乗り込んで、長い時間をかけて航海すると、とうとう「かいじゅうたちの いるところ」にたどりついて…。

大冒険に出るものの、お母さんが恋しくなってしまうマックスの「行って帰りし物語」。見事な色使い、細やかな描写、余白を巧みに操って、マックの心のうちを表現するかのよう。マックスが大暴れしていた時には三日月だったお月さまが、大冒険から戻りおいしい夕飯にありつけた時には満月に…まずは手にとってじっくり絵を眺めてほしい1冊です。

絵を存楽しみながら、「ことば」も味わってほしい…!
「1しゅうかんすぎ、2しゅうかんすぎ、ひとつき ふたつき ひがたって 1ねんと1にちこうかいすると」は大人のわたしでもついつい口ずさみたくなってしまう心地よさ。

(少しばかり余談になりますが)原書だと冒険の始まりの旅路はこう表現されています。

”... he sailed off through night and day and in and out of weeks and almost over a year to where the wild things are”

一方で帰りの航海はというと…

 “... and sailed back over a year, and in and out of weeks through a day, and into a night of his very own room.”

神宮輝夫さんは「1しゅうかんすぎ、2しゅうかんすぎ〜」と同じリズムで訳されていることが面白い!

#3 『ちいさいおうち』でご紹介したコールデコット賞。もちろん『かいじゅうたちのいるところ』 も1964年に獲得していますよ。

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