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#3 『ちいさいおうち』 バージニア・リー・バートン 文・絵 / 石井 桃子 訳(岩波書店 1965年)

2022年が始まり、早くも1月の半分が過ぎました。どうも落ち着かない日々を過ごしているわたし。日常の小さなしあわせを思い起こさせてくれる大切な1冊をerikiの絵本棚に並べたいと思います。

#3 『ちいさいおうち』 バージニア・リー・バートン 文・絵 / 石井 桃子 訳(岩波書店 1965年)

アートボード 1
田舎にたつピンクの「ちいさいおうち」。”彼女”は(そう、”おうち”が主人公なのです!)陽が昇っては沈む丘、四季折々に花が咲き小鳥が果実をついばむ庭、おうちに暮らす人々が子どもから大人に成長していく様子を見守り、しあせな時間を過ごしていました。
しかし、時がたつにつれて開発が進むと、このちいさいおうちのまわりにも道路ができ、電車が通り、ビルが建って大都会に。ビルの谷間に埋もれて、星空も見えなくなり悲しみにくれます。
長い年月が流れ、おうちをたてた家族の子孫に発見されます。そして、町を出ていなかの丘の上に「お引越し」。再びしあわせな時間を取り戻します。

リー・バートンの絵が大好きです。特に、太陽が昇り沈むことで一日、月の満ち欠けで一か月、四季折々で一年。この「時の流れ」を表現する絵がとても美しい…

繊細な絵、よーく表紙を眺めてみてください。(今回は英語版を選んだヒミツです)
(少しみづらいですが)おうちの玄関のところ、”HER-STORY”と書かれているんです。リーバートンの描く絵本の主人公はいつも女性!これには”History”という歴史の概念は、男性だけが歴史をつくる”HIS-STORY”ではなくて、女性もまた歴史の主人公だよというリーバートンからのメッセージが記されています。

すでにご紹介した #1『よあけ』#2『もりのなか』に比べると少し長めの物語。

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ちょっぴり余談:表紙の右下の金のシール、コールデコット賞(Caldecott Medal)のこと

コールデコット賞は、1937年にアメリカ図書館協会によって創設された権威ある絵本賞のひとつです。19世紀のイギリスのイラストレーター、ランドルフ・J・コールデコットにちなんで命名され、アメリカ合衆国で出版された絵本の中から、最も優れた作品を描いた画家に対して、年に一度授与されます。メダルは銅製で、コールデコットが『ジョン・ギルピンのゆかいなお話』で描いた、暴走する馬にまたがっているギルピンがデザインされています。
(引用:https://enbooks.jp/caldecott-medal/

『ちいさいおうち』は1943年にこのコールデコット賞を受賞。
(ちなみに、#2『もりのなか』は1945年受賞作品です)

絵本ナビさんでは、コールデコット賞受賞作品をまとめてくださったページもあります。

どれも名作揃い!ぜひ、絵本選びの参考にしてみてくださいね。

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