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知らずのうちにMiradを裏切っていた@Amed

羊子(Berîvan)のお母さんは民謡の歌い手で、お父さんはDengbêjだ。2人とも朝からたくさんの歌を歌ってくれて、彼らの村界隈のGovend(伝統的な踊り)を教えてくれた。

「遠い日本からお客さんがきた〜」お父さんが私のための歌を歌ってくれた。
お母さんが踊りも教えてくれた

人口=歌い手、なんじゃないかと思うほど、誰も彼もが歌を歌う。

羊子がシャワーをしている間、お父さんと2人になった時に、「HesenとAso」という有名な民話を語ってくれたのだけれど、お父さんは早口で、その言い回しも私には難しくて理解が追いつかなかった。お話、歌、お話、歌、お話、という風に進められていくその語りは見事で、これまでにも繰り返し繰り返し語ってきたのだな、ということがよくわかる語りだった。

さて、今日も今日とて旧市街へ行く用があったので、羊子に遣いを頼まれた。Botan Internationalへ行って、借りていたボイスレコーダーを返却してほしいと。

Botan InternationalはMirad Bayramという人が設立した会社で、多言語(クルド語・英語・トルコ語)でニュースを配信したり、映画を制作したり、クルド語の教育を行ったりしていて、その事業は多岐に渡っている。

食い倒れ太郎を1000倍明るくしたような顔だちの社長Miradは、非常にエネルギッシュで、話していると自然と活力がみなぎってくる。

訪ねていくと、太郎は変わらぬビッグスマイルとビッグハグで迎えてくれた。

が、次の一言によって私は心中ガーン!となった。

「去年来てくれたとき、一緒に番組を作ろうって言っていたのに、ここには来んとGernasの方へ行ってもうたやんな。ボクの心はあの時めちゃめちゃ傷ついたんやで」

まさか!!私は約束を破ったつもりは全くなかったのだ。太郎とGernasは一緒に仕事をしていることも多いので、Gernasから番組出演を持ちかけられた時、太郎との話も実現できる、と思い込んでいたのだ。

さらに、「あれやろう、これやろう」という言葉がこちらでは「約束」ではなくて「その日その時に思いついたこと」のようなニュアンスで、実現しない率が99%なので、あらゆる提案を社交辞令だと考える癖がついていた。

その二つの要因により、私は太郎に連絡することなく、Gernasの番組に出演した。そのことが太郎への裏切りとなってしまっていたとは。「日本人」相手なら起こらなかった事態に、私は自分の態度を見直さなければならないと反省した。

「しかも、Gernasはボクの弟子やからな、弟子に盗まれたようなもんやで」

オフィスには太郎以外にも5〜6人の同僚がいて、みんなとても歓迎してくれたのだけど、誰かが挨拶に来てくれるたびに太郎が私の裏切り行為についていちいち説明するので、途中からはいじられている感じになった。

めちゃめちゃ謝って弁解もしたので、さすがに、もうええわ!となり、

「太郎よ、20回ぐらいそれ言うてるやん。もうええわ!私どうしたらええのん?」「コンサートやろうや。エリカと、あとセルダルも呼んでさ」
「それええやん!じゃあ6月にやろうよ」
「ええよ。でも次は約束忘れたらあかんで」

しつこいわ!

というわけで、6月にAmedでコンサートをやる!絶対やる!裏切りの過去を塗り替える!

かれこれ3時間ほどBotan Internationalで過ごた。途中ご飯まで食べさせてもらった。

太郎と仲間たち

今日こそ「Dengbêjの家」に行こうと思っていたのに、また閉店の時間をすぎてしまった。去年も行ったし、まあいいか、とあっさり諦めた。

Amedの城塞
城塞

羊子の家に帰ると、羊子の友達が次々集まってきて、夕食は女子会のような感じになった。

私がクルドの歌を歌っている、という話から、1人ずつ順番に歌を歌って行こうというノリになった。

驚くことに、みんながみんな、素晴らしい声を持っていて、素晴らしい表現者だった。

幼い頃から歌い、表現してきているのだろう。

血の通った、素晴らしい歌をたくさん聴くことができてとても嬉しい夜になった。

みんなでたくさんの歌を歌った

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