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Amed空港に缶詰め 難曲に挑戦 Nîmokê Canê

15時のレッスンのために、朝9時の便でAmedからイスタンブールへとんぼ返り。一泊のみの慌ただしい滞在だった。

搭乗して即座に落ちていたらしく、隣の青年からトントンとされてハッと目を覚ます。飛行機から降りないと行けないような様子だ。トラブルか?

「問題があったの?」
「そうみたい」

搭乗カウンターがカオスだったので、しばらくして落ち着いた頃に説明を求めにいくと、機体のトラブルで、いつ復旧するかはわからないとのこと。

レッスンなのに困ったなぁ。

なんとか間に合いそうな時間のデッドライン2時間が過ぎてしまったので、Aliにメッセージする。

「残念ながら時間に間に合わないんですが、1時間でも30分でもレッスン受けられると嬉しいです。もちろん2時間分支払います」

すると

「全く問題ないよ!時間を変更しよう。20時からレッスンがあるから、18〜20時はどう?」

ありがたすぎる!太陽神Ali Tekbaş。毎日拝みます。

時間に余裕ができ気持ちも落ち着いたが、何しろ非常に疲れている。どうせ空港には特段娯楽もないので、予習をすることに。難曲に挑戦するので、ひたすら聴きまくり、自筆の歌詞にニュアンスをどんどん書き込んでいく。

途中ケバブラップとアイランが支給される。が、ケバブラップが全く美味しくなくてまたマイナスポイントがたまっていく。



ようやく搭乗時間が告げられる。結局4時間遅れだ。アサインされた席に向かうと、おばさんが座っていたので、「そこ私の席です」とチケットを見せた。

トルコ語で何か言ってきたが理解できなかったので、「私の席だし、ものすっごく疲れているから、こんな風にして(壁にもたれる身振り)で寝たいんです」クルド語で言ってみる。すると、なぜか逆ギレっぽく「私だって疲れてるのよ!」とトルコ語で返してきた。

後ろの席の青年が、笑いながら「この国には日本みたいに禁止事項はないから」と言ってきた。お邪魔している立場なので、普段なら何でも寛容に受け止められるのに、疲れすぎて青年のその感じも癪に障った。

が、たった2時間そこそこのフライトの座席など取るに足らないどうでも良いことなので、黙っておばさんの隣の席に座った。そしてまたすぐに落ちた。

今回は新空港ではなく、アジア側のサビハギョクチェン空港に到着。バスでスタジオ近くまで向かう。間に合った。

18時にスタジオに着くと、太陽神が太陽のような笑顔で迎えてくれた。その時点で疲れがほとんど吹き飛んだ。

今日から取り組むのは、”Nîmokê Canê”という曲。


-----曲についてのメモ-----
作詞作曲: 不明
出典: Mela Tahir COLEYÎ
地域: Colemêrg
形式: Lawje

“Lawje”は、Colemêrgで広く採用されるリズム自由の形式。
この形式では、クルド音楽の発声方法において特徴的な喉の使い方をする。Dengbêjの技術でもある。
Lawjeで描かれるのは、成就しなかった恋人たちの物語や死後に歌われるエレジー。
Nîmokê Canêは結実しなかった愛の物語。
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最初は歌詞を読むことから始める。細かく発音を修正。次に一定の早いテンポで読んでいく。LawjeやDengbêjの歌では言葉を超高速で語り出すので、当然ながら歌う以前に「早く読む」ことが必要不可欠だ。日本語でも早口言葉は難しいのに、発音が複雑な外国語なのでより舌が絡んで口の中で事故が多発する。

次に実際に節をつけて歌っていく。Aliが歌うのを何度も聴く。喉の使い方が特殊なので、それぞれ取り出してやってみる。が、全くできない。イメージできていてもできない。このいくつかの基本の技術を会得しないとクルドの歌は「クルドの歌」にはならない。

これだ!と思う感触をつかむまで練習する以外にない。明日は家にこもってひたすら練習する。

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