オーディションに行ってきた。
オーディションに行ってきた。
人生でもう何度目かわからないけれど、
オーディションに行った日の帰り道は毎度特別だ。
達成感やら敗北感やら、後悔やら懺悔やら。
いつも色んな感情が毎度違う比率で胸に渦巻いている。
いつだって足取りが軽いとは限らない。
ああ、こういうやり方があったか
どうしてあんな声色になったんだろう
あの人すごく素敵だったな
自分にも他人にもとめどない感想が溢れつつ、素知らぬ顔して乗り慣れない駅に辿り着く。
それでも近頃は反省が少なくなった。
増えたのは関心と疑問と、不思議なホクホク感。
失敗を細かく思い出す代わりに
次のワークでやってみたいことをメモしてる。
あの芝居は真似できそうだ
あのやり方は初めて見たな
私だったらこうしてみようか
芸術なんて好き勝手だ。
値の張らない人生を渡して全てを捧げているつもりでも見返りなんてほとんどない。
お金にならない、ましてや生活が苦しくなる一方の事をどうしてここまで続けてしまうのだろうと思う夜は多々あれど、オーディションに行くと芝居への愛を自覚してしまうのだから。なんて一方通行な恋だろう。
あんたなんかに付き合えるの私くらいのもんだわ
そんな捨て台詞を自覚しつつ
オーディションの日々は続いていく。
いつかきっと、両想いになる日を夢見てる。
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