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なぜ「エール」は私にヒットしたのか?

2020.11.28。

例年より2か月遅れで連続テレビ小説「エール」が最終回を迎えました。

初回放送は3月30日。前日には小山田耕三役の志村けんさんが死去、そして、撮影の中断、それに伴う再放送(出演者による豪華な副音声付き)、話数カットと、主人公同様、何かと翻弄された作品だったようです。

沢山の人が未知のウイルスに翻弄された時期の放送だったため、おそらく沢山の方の心にエールを届ける存在となっただろう作品。かく言う私も、夢中になった1人です。

なので、一般論ではなく、「私が」エールに惹かれた理由を分析してみると共に、8か月間、私の心にエールを送ってくださったこの作品に感謝の気持ちを送りたいと思います。

1.圧倒的視聴率

朝ドラの放送は平日8時から。朝よりのシフトが多い私は、以前からお休みの日や遅いシフトの日に単発で見ていました。

たまたまですが、この「エール」の初回は遅番だったため、初回から見ることができていました。(たまたま前作の「スカーレット」の最終回も見てます)

そして、4月8日からの緊急事態宣言に伴う店舗休業。ここから営業再開前日の5月18日まで、ほぼ毎日、好きだった回は昼の再放送も見ていました。物語の序盤、主人公の周りの関係性が構築されていく過程を見続けたことにより、作品の世界に引き込まれていったことは大きいと思います。

営業再開された後も、見れる日は毎回視聴しました。仕事の日は、TwitterやInstagramの記事を追って展開を見ていました。SNSが普及している今だからこそ楽しめた見方だと思っています。

また、撮影中止を余儀なくされたことにより、私達視聴者は、途中まで2回同じ物語を見ることになります。これが、1回目では気がつかなかったことを発見したり、登場人物達への愛着を深めるきっかけとなりました。

2.古山家への共感

「エール」の物語の主人公は古山裕一(窪田正孝さん)。大正時代の福島県の老舗呉服屋の息子で学校ではいじめられがち。しかし、音楽と出会うことで世界は変わり、やがて日本を代表する作曲家になります。作曲家として成功していくまでには親族の反対、売れない時期など紆余曲折あり、その後も戦争に翻弄され、作曲に向き合えなくなる時期を乗り越え、様々なヒット曲を生み出していくのです。その、天才と呼ばれる才能と、一方で自分が作りたい音楽や時代との葛藤の姿に私も一緒に一喜一憂しました。

そして、裕一が家族の反対を押し切って上京したことにより、福島に残って家業を継ぐことになった弟、浩二(佐久本宝さん)との確執がありました。我が家に例えると、私は、どちらかと言うと上京して好きなことをしている裕一タイプ。5歳下の妹は、その姉の好き放題を見つつ、大学卒業後に地元に戻ったため、立場は違えど浩二のような思いは少なからずしていたかという気づきを与えてくれた場面でもありました。

3.音への憧れ

ヒロインは音(二階堂ふみさん)。豊橋の馬具制作所の次女で歌手を夢見る中で、同年代の裕一の活躍を知り、文通を通じて恋に落ちて結婚。音大に入学後、主役の座を射止めるも妊娠して降板。そして、裕一の妻として、娘、華の母親として、古山家を支えていきます。

音ちゃんの行動力が凄いのです!結婚に至るまで、そして結婚してからは裕一の作品をレコード会社に売り込み、役を掴むために社交場で働いてみたり、その行動力に私は勇気づけられました。

そんな音ちゃんの人生も一筋縄ではいかず、ヒロインの座を掴んだと同時に妊娠して降板、また、その後復活した際には「裕一の妻」という実力ではない起用もありました(こちらも音ちゃんが自ら降板してます)。

そんな、ともすれば挫折とも取れる出来事も、裕一が支え、自らで折り合いをつけて、前に進んでいった音ちゃんへの憧れがあります。

4.愛らしい登場人物

裕一、音の他の登場人物も素敵な人ばかりです。

私が気になっていた登場人物をご紹介。

吟ちゃん

松井玲奈さん演じる音ちゃんの姉、吟ちゃん。梅ちゃん(森七菜さん)含め仲のよい3姉妹。戦時中、辛い思いをしながらも、東京で暮らす音との関係が変化していくのが印象的でした。結婚を音ちゃんに先を越された時の落胆感はおもしろかった。

ミュージックティーチャー御手洗

音がお世話になるミュージックティーチャーこと御手洗清太郎(古川雄大さん)。一癖ある雰囲気とは裏腹に、以前受けた差別の話もあり、愛すべき存在でした。再放送中の副音声の癖の強さや、久志(山崎育三郎さん)との発声対決も好きでした。

華ちゃん

裕一と音の娘、華(古川琴音さん)。思春期、やりたいことが見つからず悩んでいた頃、有名なお父さんのことばかり話題に出されて塞ぎ気味になる姿を自分と重ねていました。その後、看護師という生きがいを見つけ、アキラという夫を手に入れた華ちゃんの姿は、同年代だった音ちゃんの姿と重なり、また、華を見守る音は、母、光子さん(薬師丸ひろ子さん)に重なって見えました。

他にも魅力的な人物が沢山いた作品でした。どの登場人物も苦手だと感じる面があっても、違う面も描かれて愛すべきキャラクターとして存在している、そんな作品だったと思います。

5.衣装が好き

私はあまり衣装にこだわりを持って作品を見ることは少ないのですが、今回は、衣装や小道具、色使いが気になった場面がいくつかありました。特に、裕一と音の衣装が好きでした。音ちゃんの服は女性目線の好みとして、裕一の衣装は何故好きだったのかを考えたところ、大好きだったおじいちゃんの服装に通じる部分がありました。

元々、私は、ラフな服装よりもシャツやジャケットといったちょっとかっちりした服装が好きです。私のおじいちゃんも裕一も大正生まれ。そして、いつもかっちりめの服装や、帽子を被ったりしてました。裕一の服装が、おじいちゃんと重なって、愛着に繋がったのかもしれません。

最後に

文章を書き始めたのは、放送が終わった11月28日。書き終えたのは12月7日。少し時間が経ってしまいましたが、新しい朝ドラが始まっても休みの日の朝は裕一さんや音ちゃんを探しているエールロスです。こんなに素敵な作品に出会えたことに感謝して、長い文章を閉じます。

朝ドラは、実家に住むおばあちゃんの毎朝の日課。私にも、その遺伝子は引き継がれたようです。

この文章を更新する最後に読んで納得しました。

併せて読んでいただけたら「エール」への理解が深まるかと思います。



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