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STEAM教育プログラム「MUCHU-JIN Project」始動。

こんにちは、芳賀です。
2018年からSTEAM教育の研究をしてきた私ですが、この度、Code for Yokosukaの一員として、STEAM教育のプロジェクトを立ち上げました。

その名も「MUCHU-JIN Project」です。名前の由来は、ジョン・レノンの言葉にあります。

“Life is what happens to you while you’re busy making other plans.”
– John Lennon

「人生とは、人生以外のことを夢中で考えているときにある。」という言葉から、(人生以外の何かに)夢中になる+人と書いて、夢中人→MUCHU-JINと名付けました。

MUCHU-JIN Projectとは?

「MUCHU-JIN Project」は、学生が「自分らしさ」を見つけ、好きなことに夢中になり突き抜ける人になるためのサポートをする教育プログラムです。本プログラムは、21世紀を生き抜く力を育む「STEAM教育」の手法を取り入れた探求学習を通じて、ご参加いただく学生の皆さんが夢中になれるものに出会い、自分らしく生きるための道のヒントを得られるものとなっております。(2021年6月開講開始予定)

私が2018年から開発しているSTEAM教育の教育理論であり、教育手法である「ASEDAS CYCLE」を用いて、本プログラムは行います。

ASEDAS CYCLEとは?

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これは、Artが生まれるプロセスに着想を得た、新しいSTEAM教育の理論であり、教育手法です。ASEDASは、Art・Science・Engineering・Designの4つの要素を循環する教育手法を元に名付けました。

この4要素は、MIT Media Lab 教授でありデザイナーである、Neri Oxman氏の「Age of Entanglement」であり、そのベースとなった、John Maeda氏の「The Bermuda Quadrilateral 」にあります。

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Neri Oxman氏は「Age of Entanglement」の中で、時代の先端を行く個人あるいは組織において、
一つの肩書きでは説明できない時代になってきている。Art・Design・Engineering・Scienceの四象限の
境界を越える脱専門的(Antidisciplinary)態度がこれからの時代には必要だ、と唱えています。

この考え方は、21世紀を生き抜く力とされる「STEAM」に通づると私は考えました。「Age of Entanglement」の中「Krebs Cycle of Creativity」は、創造性を永続的に生み出すサイクルとして提唱されており、この理論を基盤に「ASEDAS CYCLE」というSTEAM教育の教育手法を開発しました。

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ここで、重要になるのは、STEAMにおける「Art」をどう定義づけるかということ。

ASEDAS CYCLEにおける、Artの定義

日本では一般的に「Art」をリベラルアーツとして定義づけることが多いです。2006年にGeorgette Yakman氏が「STEAM Pyramid」を提唱したことで、日本ではリベラルアーツの文脈で語られることが多いと理解しています。

一方で、ASEDAS CYCLEでは「Art・Design」という、自分の手で創造することと定義づけています。これは2008年、RISD(ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン)に、John Maeda氏が学長として就任した際に演説したスピーチに起因します。

“Art and design are poised to transform world economies in the 21st century just as science and technology did in the 20th century.”
– John Maeda ,2008

サイエンスとテクノロジーが20世紀の世界経済を変えたように、
アートとデザインは、21世紀の世界経済を変える。

私は3歳からアトリエでの創作活動を始め、後に横須賀総合高等学校という全国で受賞歴のある美術部に所属していました。高校の美術部では週7日の活動があり、美術漬けだったと言っても過言ではありません(笑)

そんな私の経験では、やはり「Art」において、アイディアや概念など形ないものを自分の手で具現化する力というのは、非常に重要な意味を持つと時間しています。なので、リベラルアーツに包括される哲学や倫理だけではなく、何かを生み出す力(創造性)が「Art」であると定義づけたのです。

「Krebs Cycle of Creativity」では、以下のように創造的エネルギー(Creative ATP)が循環をします。

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これを元に、ASEDAS CYCLEにおけるArtの役割を以下のように位置付けました。主に、DesignからArtにエネルギーが渡る時、ArtからScienceにえねるぎーが渡る時、それぞれのフェーズに役割があると考えます。

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DesignからArtにエネルギーが渡る時、利便性を追求し試行錯誤する中で「閃き」に近い進化(ジャンプ)によって価値の最大化が起きます。これを「イノベーションジャンプ」とします。

また、ArtからScienceにエネルギーが渡る時、これは自分の生み出したものを社会にアウトプットすることで問いを投げかけます。さまざまな社会のフィードバックを受けることで、自分の創造したものを客観視できます。つまり、このフェーズでは、自己言及と内省が起き、これが次のArt(自分起点の想い)に繋がることで循環すると考えます。それが、ASEDAS CYCLEであります。

ASEDAS CYCLEの特徴

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ASEDAS CYCLEの特徴は、思考の拡散と収束を繰り返すことにあります。

一般的に、論理的思考やデザイン思考、アート思考などを用いた教育法には以下のような傾向があります。

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論理的思考やデザイン思考は、どうしても共通の認識や共感に対して思考が収束しがちです。一方で、アート思考は、多様性への拡散が行われますが、広がったまま収束はしません。

ASEDAS CYCLEでは、この拡散と収束を繰り返すことで、拡散と収束、どちらの思考法も身につけることができます。

教育としての評価軸

評価軸には、多重知性理論ブルームの分類を用います。評価自体は、ルーブリック評価で行います。

簡単に先の二つの評価軸に触れると、多重知性理論は、ハワード・ガードナー氏が提唱した理論で、人間の知能は単一ではなく複数あるという考えを元に展開された理論で、現在は10個の知能ん分類できると定められています。また、ブルームの分類は、人間の発達段階と各段階における学習目標をしめしたもので、ピラミッド状になっており、最下層から上を目指して学びを深めていくというものです。

MUCHU-JIN Project 受講生等の募集

ご興味を持っていただけましたら、是非、Code for Yokosukaまでお問い合わせください。(担当:芳賀)

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2021年4月24日(土)16:00〜17:00で、開講記念セミナーの第1回目も開催されますので、合わせてご覧いただけましたら幸いです。(後日アーカイブも公開予定)

第1回目のセミナーは、STEAM領域で活躍するU-29の若者に、自分らしく生きるためのSTEAMとは何かをお聞きします。

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