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ひみつクレープ

電車で、ある駅を通過しながら

ここの駅にあったあのクレープ

おいしかったなぁとふと思い出す

茶色い素朴な味の生地に

きび砂糖とシナモン、バターの香り

手作りで溢れたミニマムな店内

柔らかな接客で心地よい記憶が蘇り

クレープを食べてもいないのに

電車に揺られながら

しあわせな気持ちになっている自分に気づく

そんな風にして思い出せるものがあることって

なんて心強いのだろう


あのコーヒー屋さん

あの音楽

好きな香り 雲の形

昨日おいしくできた作り置きのおかず

出がけにかばんに潜ませた本

こっそり履いてるお気に入りの靴下


ささやかだけれども

たまらなく好きなものを

心の中にたくさんもっていることが

わたしの心を支えてくれていることに気づく


さみしくなったら

心細くなったら

小さな自信の灯火が

消えてしまいそうになったら

自分の意思でいつでも駆け込むことができる

いつでもそこにある安心が

例え今すぐにはそこに辿り着けなくても

その心地よさを思い出すだけで

もう一歩を踏み出させてくれる気がする


別の角度から見ると

気持ちを立て直すことを

選択することができた

自分に出会うことでもある


いつもそこにいてくれるひとや、もの、空間に

居てくれてありがとうの気持ちと

ちゃんと助けを求められたわたし、えらいって

思えることが

また歩いて行く力になってゆく


電車に揺られながらそんなことを考えた日曜日


あのクレープ屋さん

わたしのひみつのクレープ屋さんに

また行きたいな

でも今度は心だけじゃなくて

やっぱりお腹も満たされたいのだ^^



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