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同人誌よつかど、今月の特集テーマは「思い出の味」

思い出の味といわれて思い出すのはばあちゃんの料理、という人は多いのではないでしょうか。私もそのうちの一人です。
生涯を小さな農村で暮らし、8年前に他界した、大好きだったばあちゃん。
ばあちゃんのくしゃくしゃなかわいい笑顔を思い出しながら、思い出の味ベスト3を紹介したいと思います。

第3位は、天ぷらです。
あのサクッとした衣の揚がり具合が、料亭の天ぷらのようでした。
普通よく見る天ぷらよりも、色が白っぽい衣だったのを覚えています。
作り方を聞くと、「ざっくざっくとやってちょーんとつけてじゃっとやるだけ」とまぁ、長嶋茂雄さんのような教え方で、ちっともできるようにならなかった私なのでした。

第2位は、手打ちうどんと冷ダレです。
手打ちうどんのあのもちもち感と塩気が大好きでした。時々太いのがお椀に入っていて、それがあると嬉しくて、またたまらなく美味しく感じたものです。
タレはエゴマ(じゅうねんと呼んでいました)を使ったタレでした。味噌と砂糖少々、あとは何が入っていたのか覚えていませんが、氷を入れた冷ダレでした。エゴマを擦る時、すり鉢を押さえるのが小さかった私のお手伝いでした。ああ、夏の太陽の光の中、エプロンをかけたばあちゃんの笑顔が見えます。

そして第1位は、あんこです!
手間暇かけて作ってくれたこしあん。甘味がちょうど良く、口の中に入れると幸せな甘さが広がっていくのでした。
私はばあちゃんが作るあんこが好き過ぎて、市販のあんこや、他の誰かが作ったあんこは全く受け付けませんでした。
そんな孫の私に、ばあちゃんはますます気を良くしてあんこを作って食べさせてくれたのでした。
ばあちゃんの味に近づきたくて、圧力鍋を買ってあんこを炊く練習をしました。私が作るのはつぶあんですが、他界する前にばあちゃんに食べてもらって「美味しくできてる」と言ってもらえたのは嬉しかったなぁ。今でもあんこ、大好きです。おはぎ、おしるこ、あんみつ、たまりません。ケーキより好きです。

思い出の味を思い出すと、味だけでなく、その時の情景や表情、匂いや湿度までが蘇ってくるのですね。素敵な機会になりました。
仏壇に手を合わせてきます。


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