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第55章 生まれてきてくれてありがとう

長年の不妊治療、やっと授かった我が子。
22週で出血し、救急外来ではいつ産まれても不思議ではないと言われた。
入院し、ベッドに寝たきり生活を1週間。
安静にしているのに出血とお腹の張りを繰り返し、ベビちゃんの生命が危険と言われながら迎えた23週。
死産の可能性が高いと説明されながらも、緊急帝王切開をすれば助かる可能性があると聞き、すぐに帝王切開を決めたのは23週と3日目のこと。

決断後の説明の主な内容。
私の出産は帝王切開。
通常の帝王切開は腰椎麻酔という腰から下のみ麻酔がかかる方法で行われる。
私の場合はベビちゃんにストレスを与えないようにと、母体の私もリラックスする必要があった。
そこで選択されたのが全身麻酔での帝王切開。
全身麻酔ということは、眠っている間に出産が終わる。
この先 経験できるか分からない出産。
生まれた瞬間を味わえない事だけが心残りだと思っていた。

ところが、全身麻酔の手術中に不思議な体験をした。
夢を見ていた。
帝王切開で生まれた我が子を抱きかかえた主治医(手術をしてくれた医師)が私にベビちゃんを見せながら
"おめでとうね”
と言ってくれている夢。

"ありがとうございます"と返した瞬間、肩を叩かれて麻酔から醒めた。

本当に不思議な体験。
麻酔中に目を覚ますことは治療的?処置的?には考え難い。

神様から私へのプレゼントだと思っている。


希望の光に向かって生まれてきてくれた我が子。

ちいさく生まれたのは、我が子が頑張った証。
だから mamaはごめんね は言わない。


"生まれてきてくれてありがとう”


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