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『Chapter II』の4人の答えは、寂しさを抱えたまま進むということ

時間がめちゃくちゃ経ってしまったが、毎年読み返すと面白いので、未来の私のために書き残そうと思う。初のドームコンは確かに楽しく満足だったはずなのに、感情というものはどうしてもナマモノで、やはり文字に残さないと鮮明に思い出せないと悟った。(ドームコンは仕方ないと思いたい。だっていとしい天使が旅立ったんだもの)
目次は以下の通り。


セットリスト

今回参戦できたのは(諸々の都合もあり)横アリと大阪のみなので、レツミュは省きます。レツミュがライブ定番曲になっているの意外だけど、すごくいい歌だよね。いつものごとく、章ごとに分けて解説していこう。

★①OP映像

BUMP
Freak your body
極東DANCE
NOT FOUND
Take A New Step

★②中間映像

Make You Mine
せめて夢の中でだけは君を抱きしめて眠りたい

中間映像

雨に唄えば
My World
Trust Me, Trust You.
再開の合図
ぎゅっと

MC

★③長電話

Cream
Turbulence
ROSSO

★④ダンス

Purple Rain
本音と建前【横浜公演から追加】
Try This One More Time【横浜公演から追加】
ROCK THE TOWN
High! High! People
Sad World

アンコール
Naturally
MELODY【横浜公演から追加】
Stolen Heart

★⑤ダブルアンコール【8月24日の夜公演のみ】RUN
トリプルアンコール【8月24日の夜公演のみ】Sexy Zone

はじめに

Sexy Zoneが単純に「凄い!」って思わせてくれるところは、そこはもうライブに詰め込まれている。私はなまのものが好きだから、それこそ他ジャニーズのライブ、舞台、ミュージカル、フェス。同年代の平均よりは赴いている自信がある。それでも贔屓目なしに彼らのつくる世界は群を抜いているし(実際私もライブで好きになった)、最近ではそこもピックアップされるようになって嬉しい。
彼らのライブの素晴らしいところは、ストーリーが組み込まれているところ。私はそれを「演劇法」と呼んでいる。特にリペコンからその色は強くなっていったように思う。そして昨年の「ザ・ハイライト」ツアーは、その魅力が最大に引き出されている。
では今回の「ストーリー」は?…実は、これが迷った。前略を全部否定するようだけど、今回はそのコンセプト(ストーリー)が思いつかない!ぶっちゃけ、初参戦時(横アリ)ではそう思った。でも安心してほしい。私だけの答えは、もう明確に導き出されたから。
様々なインタビューを振り返ると、今回のライブは

〇4人体制になって初めてのツアー
〇オシャレな曲ばかりをメンバー(健人くん、勝利くん、聡ちゃん)が選ぶけど、それじゃ盛り上がらないから悩んだ(By風磨くん)
〇今回のツアーの裏テーマは、「いかに観客が声を出すか」(コロナ明け、初めて堂々とした歓声が許された)
〇衝撃を受けた映画は「ちょっと思い出しただけ」(By風磨くん)

ライブつくる中心が風磨くんなので、風磨くん目線が多めでごめんなさい。でも重要な要素が多かったのでピックアップ。

★①OP映像~Take A New Step

OP映像、最っっっ高でしたね…。これX(恥ずっ!)でも結構好評だったのが印象的。映像が始まる前、舞台上には何かを追いかけている男たち。でもそれはメンバーではない。4人のメンバーがソロで各々映るが、どうやらメンバーは誰かに追いかけられている模様。かっこいい映像がテンポよく始まり、観客のボルテージが最高潮に上がったところで、メインステージより4人がド派手に登場!
そこから始まる『BUMP』は、まさに「Comin’ now!」と声高に叫ぶように、追いかけてくる「ナニカ」をものともしない。
『Freak your body』『極東DANCE』と続くのもいいね。観客が盛り上がりやすい曲が立て続けに続き、そしてバクステに移動して『NOT FOUND』へ。この曲は5人で出した、最後のシングル曲だ。
次はアルバム曲の『Take A New Step』。『BUMP』もそうだけど、「離しはしない」「もっと行こう」と、あくまで「私たち」を離さないという強い意志が感じられる。彼らはなにかに逃げている途中だけど、どこまでも私たちを離すつもりは毛頭ないみたいだ。悪い男たちに捕まってしまいましたね、全国のセクラバさん…。

★②中間映像~ぎゅっと

(いつものごとく)前略が長すぎたので、ここからはスピードアップしていこう。
中間映像は、ガンバレルーヤのおふたりが登場。いつものことだけど、こういう映像に普段からお世話になっている人たちを登場させるのは、義理堅くて人間らしいなと思う。
中間映像ではギャグ10割で、私たちを楽しませてくれる。しかしストーリーは続いていて、どうやら4人は先ほどからなにかに追いかけられており、ガンバレルーヤ2人が経営するスナックにかくまってほしい様子。あの手この手尽くすが、そこで見つけた答えは変装すること!回ごとに色んなコスプレが見られるのはファンとしてもありがたいね。まあ私は全部バブリースタイルでいいと思ったのですが………(ほか、マツケンサンバや火星人、スギちゃん、女子高生など)
『Make You Mine』『せめて夢の中でだけは君を抱きしめて眠りたい』ではその変装姿で歌い、映像で指名が入った勝利くん⇒風磨くんでソロ曲が入る(声出演はシソンヌ長谷川さん)。久しぶりのソロ曲は、やはり会場のペンライトが一色になってとてもいいね。東京ドームで青だったり赤だったり染まるのが楽しみで仕方ない。
『再会の合図』では、前半はリフトに乗ってスタンド席の近くでラップ披露。後半はセンターステージへ移動するのだけど、合流したふまけんが「眩しいくらいに真っ直ぐにただひた走る少年だった 今は?」とラップするのが本当にたまらない。コンビ売りに正直彼らはどう思っているのか分からないけれど、悔しいくらいに、眩しいんだ。そして最後は『ぎゅっと』でフリもコールも完璧にしめる。

★③長電話~ROSSO

楽しいMCが終わり、健人くんの「大切な誰かを想った歌」と紹介されつつ、『長電話』を披露。クリープハイプの尾崎世界観さん提供の楽曲で、風磨くんは「ちょっと思い出しただけ」の楽曲をえらく気に入っていたから、提供をお願いしたんじゃないかなって推測。『泡』『Cream』『Turbulence』『ROSSO』と、ソロ曲含む少ししっとりめのアルバムナンバーを披露。

★④ダンス~Sad World

ここからはもう一気に!(※いつも解説にアンコールは省いています)
健人くんソロ『ROSSO』終わり、照明は少し暗くなり、ダンサーさんたちのダンスブレイクが始まる。そして徐に出てくるメンバーたち。ストーリーは続いていて、ダンサーさんたちに追われ続ける4人。でも逃げるのはもう終わりで、彼らは立ち向かってゆく。時に激しく、時に挑発しながら。そして打ち勝つメンバーたち。
ここで始まるのが、アルバムのリード曲『Purple Rain』だ!
この演出には見覚えがある。そう、去年のザ・ハイライト。これも「もしもアイドルがいなくなったら」の暗い映像のあと、ぱっと照明が明るくなり、去年のリード曲『Forever Gold』が披露された。
これは特にジャニーズでは、アルバムのリード曲をオープニングで使うのが主流だから、なんだか珍しいこと。中盤に持ってくるだなんて。—――でもそれこそ、彼らが見せたかった/伝えたかったことなのではないか。
『Purple Rain』のMVは、今回の舞台美術とよく似ている。80-90年代の夜の東京をイメージ。あとは2021年に発売されたベスト盤リード曲『RIGHT NEXT TO YOU』にも似ている。振付師が一緒だということはもちろん、歌詞も『Purple Rain』には「Will you be right next to me?」とあり、前述したライネクを彷彿させる。
「僕のそばにいてくれる?」そんな少し弱いところを見せながらも、「気がつけば君へと走らした Romeo」で、「全て投げ出してでも」私たちのもとへ来てくれる。
ここで私は考えた。OP映像から始まった、彼ら4人の逃走劇。逃げていた「なにか」って、彼らの不安そのものなんじゃないかな。最後の挨拶で、風磨くんはしきりに「夢だった東京ドーム公演も叶って、どこか、燃え尽きてしまうんじゃないかなって、不安だった」と言ってくれていた。それだけじゃない。彼らの取り巻く環境は、あまりにも変わった。マリウスの卒業が一番大きいとは思うが、仲が良い他グループの相次ぐ脱退。後輩グループの躍進。健人くんもよく「世界中にアイドルはたくさんいる」と言っている。そんな漠然とした不安から、彼らは逃げていたんじゃないかな。
そしてもう一つは、彼らの「見栄」もあったと思う。①OP映像~②ぎゅっとまで、あまりにも明るく楽しすぎたから(もちろん裏テーマの「観客に声を出させる」という意図はあったとしても)。
「東京ドーム!夢叶ったよ!!」—――それだけで終わらないことは、彼らも、私たちも、よく知っている。でも見ないふりをしていたのかもしれない。「東京ドーム、おめでとう!」「マリちゃん、卒業は悲しいけど、夢に向かって頑張って!」もちろんどれも本音だ。でも、どこか不安だったし、そして何より寂しかった。でもそんなの、言えるわけないじゃないか。風磨くんは最後の5人旅のとき、「寂しいよ。でもそんなの言えるわけない。ここで俺らが倒れちゃったら、誰もついてきてくれない」涙を流しながらか細い声で紡いでくれた言葉は、私たちファンも同じだった。
同じだったよ。寂しかったよ。ううん、今でも寂しい。5人の映像を見るたび、音楽を聴くたび、笑顔を思い出すたび、あの時間が戻ってきてくれないかなあ、なんて、思ったりもするんだよ。
そこで出した彼らと私たちの答え。それは、「寂しいまま第二章へと進む」ということ。本当は、体制に区切りを付けられたとしても、こころに区切りなんてつけられない。でもそれを、良しとして彼らは肯定してくれている。いや、彼らも同じ気持ちなのかもしれない。
明るい曲調とかっこいいダンスのまま、「Purple Rain」の振り付けは、一筋の涙を表している。それがこのコンサートの、ひとつのエンディングだろう。
そこからは観客のボルテージもうなぎ登り!新曲の『本音と建前』はYOASOBI『アイドル』も顔負けの究極のアイドルソング。同じく新曲の『Try This One More Time』も、コールもできて楽しかった。『High! High! People』はアリトロで可愛くお手振り。合いの手の「Yes!」がそのままマリちゃんの声で、とても可愛い。静岡公演ではマリちゃんも観客席で合いの手を入れていたらしいから、それも見たかったなあ、なんて。
そして最後、挨拶後に会場のペンライトは一斉にオレンジになる。そこで流れる最後の曲は、『Sad World』。本当にね、去年の『Dream』と同じく、ライブの最後にこんなに悲しい歌をうたうのはセクゾだけだよ!(笑)でもこの歌こそ、彼らの心情を歌っているのだと思って。

「It’s a sad sad world oh 今も願ってる この世界に溢れてくLoveとTruth Pains are stacking inside our heart 夜は長いけど 朝日を見るため 走る With u」

悲しい世界(毎日)だけど、あの子が幸せなことを願っている。痛みはまだ私たちの心にあるけど、そしてそれを癒す夜は長いかもしれないけど、乗り越えるために一緒に走り抜けていこう。
でも、

But I’ll miss you

「それでもあなたに会いたい。」
これが、彼らの、私たちの、本音なんだろうね。
彼ら5人が本当の最後に残した楽曲『timeless』の最後にも、こうつづっている。
「ごめん、やっぱあなたが好きでした」
あんなに、前を向こう、頑張ろう、なんて言っていたのに。強がりのかわいい人たちなんだよ、Sexy Zoneって。

★⑤RUN

さて、これで終わり…なんだけど。オーラスにありがたいことに入ることができまして、ダブルアンコールも歌ってくれました。それは彼らがよく「第二のデビュー曲」として紹介している、『RUN』。この曲には彼ら5人のストーリーがこれでもかというほどに詰められているのだが、あまりにも長くなるので割愛する。
健人くんは「ずっとこの歌を歌いたかった!!」と大声で叫び、ちゃんと映像も作ってくれていたことから、ああ本当はどの会場にも用意してくれていたんだなって理解した。(風磨くんが「すぐに帰らないでよ!」と言ってくれたのが本当に申し訳なかった。そりゃどの会場にだって、ダブルコールは聴きたいよな。)
このライブ、『RUN』で終わるのが彼らの決意だなって、強く強く感じました。寂しいが、これは『Chapter II』なんだ。「第二のデビュー曲」とマッチしすぎている。「正解なんて意味ない 僕らだけの答えにたどり着けばいい」の通り、もしかしたらアイドルとしての/ライブとしての『正解』はあるのかもしれないよ。でもそんなの意味なくて、予定調和のストーリーなんて彼らには必要なくて、これが、私たちが導いてきた「答え」なんだなって、ペンライトと双眼鏡をぎゅっと握りしめて、考えた。

…え?長すぎない?自分でも少し引いてしまった。
冬のドームは、まさかの福岡PayPayドームからの幕開け!去年福岡まで行って、でも中止になっちゃって、たらふく明太子ともつ鍋を食べたのが昨日のことのようだ。健人くんの、あの真っ直ぐな瞳が忘れられない。覚悟を背負った瞳は、とてもかっこいいのだけど、それと同時に怖かった。そんな背負わなくてもいいんだよって、大声で叫びたかった。
今年のドームは、どんなストーリーを見せてくれるのだろう。それが楽しみで楽しみで、私は今日も、寂しさを抱えて生きていくのだ。

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