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『夜の底は柔らかな幻』恩田陸 感想

『終りなき夜に生れつく』がこの作品以前の話だと聞いて、そっちを先に読んでしまいました‥。

たしかにこの本編以前の話なんだけど、先に本編読むべきだったなぁ~(笑)
番外編については、また違う記事でまとめます。

*あらすじ*

国家権力の及ばぬ〈途鎖国〉。特殊能力を持つ在色者たちがこの地の山深く集うとき、創造と破壊、歓喜と惨劇の幕が切って落とされる!

*感想*

いきなり物語の中の専門用語(イロ、在色者など)が出てきて、この世界に入り込むのにだいぶ時間が必要でした。
言葉の意味とか、この世界の”常識”みたいなものを掴むのがまた、ひとつのミステリーといってもいいと思います。
恩田陸の世界観がミステリー。

可愛いような見た目と裏腹に頭がきれる女性、美邦。印象は「麦の海に沈む果実」などの理瀬みたいだなと思いました。
でも、美邦の見た目のイメージは理瀬じゃないんだよなぁ、私の頭の中では。
見た目は理瀬の方が女の子らしいイメージ。

山が死をもたらす、地鳴りのような音を出す、、ってイメージは、どこで読んだかなぁと思ったら、同作者の『不連続の世界』でした。
その短編集の中の「悪魔を憐れむ歌」で、”山の音”は”死の象徴”とされていました。この話も印象的だったな~。山そのものが死者の眠る世界。

話は戻りますが、登場人物の美邦や葛城たちが、過酷な山の奥でたどり着いた真実とは・・。

本当に過酷(笑)

*言葉*

・「噂ってたいて一抹の真実が含まれているもんじゃない?」
・「理解したいという欲望は、不幸だな」
・そう、人は理解していなくても暮らしていける。幸福でいられる。何も知らないことを幸福と呼ぶのであれば。
・ソクはいっぱいいるけどひとりです。
・このせかいの、水晶の谷の、よるのそこで。ぼくはもうゆめをみません。

ありがとうございました!

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