見出し画像

酒蔵での仕事をざっくり振り返ってみた

2018年2月に入社。約4年半という期間でしたが、毎日本当に慌ただしく濃密な時間を過ごすことができました。
日々のプレスリリースの作成やご取材対応・記事チェックなど意外に、ファンを作る企画に多数携わらせて頂きました。少しだけ振り返ってみたいと思います。

※半分自分の備忘録としても書きなぐっているので時系列バラバラ、とにかくまとまりのない文章です。

2018年 入社からの怒涛のできごと

2018年2月 旭酒造に入社。「広報やイベントを担当してくれる人がいれば助かる。未経験でもいいのでなんでもやってほしい」と言われ入社。

Dassai design award

入社してからしばらくは銀座にある獺祭ストア銀座で勤務しつつ業務に慣れていきました。
1週間ほどしたころ、デザインアワードという企画をやる打ち合わせがあるから立ち会ってほしい、と言われ協力企業さんとともに宣伝会議社へ。全体のスケジュールや宣伝する場所など少しずつ詰めていきました。この企画は若者のデザイナーを応援しつつ、商品陳列にも動きを出したいという意図がありました。応募から審査、発表会と全体を通して業界が異なる方々と関わることができた最初の企画でした。

Joel Robuchon 来社

2018年5月、フレンチの神様Joel Robuchon氏が、パリにできる共同店舗「Dassai Joel Robuchon」のオープンに先立ち岩国市の酒蔵(=本社)に来社することになりました。
当然現地メディアは勢ぞろい。記者発表の場にはPR会社さんを間に入れることを検討していましたが2週間(1週間かな)ほど前に(知らないうちに)決裂。初めての記者発表が世界的大スターの来社とは・・・そもそもバタバタとあっという間にその日が来てしまい、今思うと事前準備が足りていない部分も多々あったのですが、前任がいない中で何とか乗り切ったものです。ニュースバリューや伝えたい強いメッセージがあることが何より大事だと感じています。

Dassai Joel Robuchonオープン

同6月、レセプションやメディアランチなどオープン前後のイベント等々のためパリ出張へ。レストランでのパーティだけでなく、出版社主催のセーヌ川に浮かべた船上パーティにお酒を出す、何てのもありました。
ヨーロッパのパーティって夜が長いんですよね。
NHKさんやテレビ東京さんも取材に同行されており、(今思えばロブション氏の体調も相当悪かったのでしょう)変更続きで大変でしたが、今思えば贅沢な経験でした。

2018年7月 西日本豪雨~「獺祭 島耕作」

これに関しては様々なメディアでも被災から「獺祭 島耕作」発売までの流れを取材して頂きましたので、詳細はそちらを読んで頂ければ。とにかくトップの動きが早いため、現場は力技でなんとか間に合わせる状態の連続です。
記者発表の日までにラベリングされた状態のボトルが用意できないので、100本だけ手で貼って前日の夜からトラックで運ぶ、とか。笑

個人的に思い出深いのは、「獺祭 島耕作」1本あたり200円、総額1億1600万円を山口、岡山、愛媛、広島の4県に2900万円ずつ寄付しに行ったこと。
島耕作等身大パネルを運びながら、各県知事へお渡し行脚をしました。被災という状況をいかに楽しく、ちょっとばかばかしくもポジティブにできる「飲んで応援」の力を感じました。(出張先ひとりで楽しんだ道後温泉も良かった

アートアクアリウム

日本橋の夏の風物詩、アートアクアリウムにも毎年お酒を提供していました。都会的で華やか、おしゃれな場所にあるブランドというイメージ付けに一役買ってくれました。
実際に店頭に立っていただくスタッフさんとしっかり仲良くなって、ブランドについて理解してもらうことで、お客さんひとりひとりとの接し方って変わってくると思うのです。

通年で担当していたもの(時系列はもう分からなくなってきたので諦めます)

「獺祭の会」

小さい規模の物でも300名、最大人数の東京の会では2日間1000名と、自社イベント最大のお酒の会が「獺祭の会」でした。
毎年5~6都市で開かれ、ほとんどの種類の獺祭とともにお料理を楽しんでもらう”ファン感謝祭”的なお酒の会でした。
会場の下見からお食事内容の打ち合わせ、ちょっとした企画を考え、集客し、当日の運営(場合によってはとても私はカリカリして他社員たちに当たり散らしたかもしれない)まで、一貫してやりました。
すっごく大変だし毎回の反省会も辛いのですが、お客さんの笑顔を見るととにかく嬉しいのですよね。
コロナ禍により2020年からはオンラインにしたり、延期を繰り返したり・・・どんな方法で開催しているか調べてみても、コロナ禍でアルコールの会をやろうとしている組織なんて見当たらず・・・
最初から最後まで全部やり抜く という力はここで鍛えられました。

最高を超える山田錦プロジェクト~オークション出品

酒米生産者さんを支援しつつ、お互いによりよい品質を目指して企画されたのがこのプロジェクトでした。生産者さんの田圃へ足を運びお話をお伺いする機会も多く、笑顔のしわに沿って日焼けあとが残るこのおじさん達が、普段口にしている私のごはんを作ってくれているのだな・・・と感慨深いものがありました。今でも地方産の美味しい野菜やお米を見ると、各地の生産者さん達の笑顔や訛りのきいた声を思い出します。
イベント運営としての責任者として、プロジェクトをいかに盛り上げ知らしめるかを考えました。
審査会に取材に来ていただいたり、発表会での企画を詰めたり、装飾を相談したり、やっぱり食事は特別美味しいものをご用意したり、招待状を作ったり、当日の運営責任をしたり・・・そして高額で購入させて頂いた酒米を、今度は海外オークションにかける際の盛り上がりの作り方など、やることがたくさんありました。
生産者さんから日本一のソムリエさんまで、お酒を取り巻く幅広い職種の方とお仕事することができ、知見が広がりました。(かなり今でも心残りなプロジェクトです)


「交響曲 獺祭 磨~migaki~」

お酒に聴かせるために一から作曲していただき、それを聴かせながらお酒を造る。できたお酒は、曲と一緒に楽しみましょう!という大人のアソビ心が満載なこのプロジェクト。
足かけ1年半?以上の壮大なプロジェクト、コロナ禍に苦労する局面も多々ありましたが、関係者がみな山口県出身という、なんともローカルノリ(笑)な楽しい現場でした。夜遅く(朝早く?)まで皆さんと飲み交わした夜(朝)を忘れません。

ファッションウィーク

渋谷ヒカリエを中心に毎年2回開催されているfashion week tokyoのスポンサーを2021年までしていました。会社としては看板スポンサーがメルセデスの際から関わり、その後Amazon、現在のRakutenへと続いています。
ショー後のホワイエで、デザイナーやモデル、観客もメディア関係者も入り混じって、興奮を引き延ばすような熱気が懐かしい。獺祭スパークリングの大ファンになった、毎回お会いしていたカメラマンのおじさん(結構なメディアの方なのだけど)、元気かな?

関わらせて頂いたコラボ事例

×モスバーガー 「まぜるシェイク 獺祭」

きっかけは漫画家弘兼憲史先生が呼びかけてくださった週刊誌の対談にて
「君たちコラボしてみたら?」と意気投合したこと。
この取材後、立ち会っていた私はもしチャンスがあればと使えそうな食品やお酒をモス社へ送ったのでした。
モスバーガーさんは大手でありながら、社員お一人お一人ががっつきマインドを持った素晴らしい組織でした。皆さんフレンドリーで、試食会やデザインの打ち合わせなども和やかにすすみました。
「獺祭シェイク」として話題になり、近所のモスバーガーに看板が飾られたときは震えるくらい嬉しかったです。「これやった(メンバーの一人として)の私です!」って言いふらしたかった。笑
きっかけの対談記事はまだ読めるみたいです。懐かしい。↓

×MasterMind

恥ずかしながらこちらのファッションブランドを存じ上げなかったのですが、お問い合わせを多数頂いたコラボでした。
ボトルのデザインやLPを作らせていただきましたが、こだわりの強さとそれを押しだしていくスタイルに感銘を受けました。イメージの異なる二つのブランドが合わさるときって、意外な共通点を見つけてワクワクするものです。
初めての高額商品のコラボとなり、ちょっとひやひやしていたのですが、心配をよそにあっという間に完売。

×エヴァンゲリオン ミサトの部屋

こちらもたくさんのメディアに取り上げていただき(&SNS投稿も多々)ありがとうございました。突然蔵元の声で決まった企画でしたのでこれも本当にギリギリまでコロナ対策・お店のオペレーション・イベント・リリースetcetc.が激流のようでした。(朝3時くらいまでzoom打ち合わせやってた)所謂商業的なニュースはちょっと珍しかったため、記事の出方や波及効果の大きさに戸惑いつつ、日刊スポーツさんに大きく私も掲載してもらったのは面白かったです。(コスプレしていけばよかった)
コロナ禍でのイベント縮小が続出している中でしたが、いざ始まってみるとアニメファン・エヴァファンの方々のマナーの良さにただただ感激しました。運営に協力的で、一緒に楽しもうとしてくれる姿勢に本当に感謝・・・・酒飲みのマナー・モラルも多いに見習う点があると痛感したです。

コスプレしていくべきだった

×蔦屋書店 「革新しつづける者たち」

ミサトの部屋 と同時期に開催したことで非常に忙しい時期でしたが、中目黒蔦屋書店でPOPUPを行っていました。
派手!にぎやか!というものではないものの、静かに書籍やカフェを楽しむお客さんからの反応は新鮮でした。特に事前調査で明らかになった、「蔵元のイメージや意図とは異なり、20-30代は獺祭を正統派・保守的と捉えている。」という結果は納得感があり、同時に同イベントの素敵なコピーは私たちの心を打つものになりました。(同大学卒だった蔦屋書店の担当者さんがつくったコピー、すごくカッコいいので下記リンクからぜひ読んでみてください)

その他(もう分類が分からない)

・J2レノファ山口の協力企業として「夢の教室 Presented by獺祭」を開始。
・「令和アカデミー俱楽部」にて12か月連続の獺祭セミナーの講師を務める。
・隈研吾講演会「久杉橋完成記念式典」etc

力尽きたのでここまで!長文を読んでくださってありがとうございました。

思い出して思わず微笑んでしまうものや、もうちょっとやれたのかな・・と悔しいこと、コロナ明けのお酒イベントで嬉しそうなお客さんの顔に泣きそうになったこと。(そして思い出したくもないくらい嫌な思い出も)
どれも今の私を形作る貴重な経験でした。
数年前の自分の顔と見比べてみると、我ながら自信に満ちている感じがして、とても素敵に年を重ねていることを実感します。

次の私が何をできるか、楽しみです。