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映画みたいなそれ

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1本の映画をピックアップして書く映画エッセイ
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#あのこは貴族

Essay|「ひな祭り展のチケットがあるよ」

誰もが覚悟する修羅場みたいな場面だった。 まだ2021年2月が終わったばかりだけれど、今年ナンバーワンの邦画なんじゃないかと思うほど『あのこは貴族』は、これまで描かれてきた女性たちの全ての描写をアップデートした。 主人公の華子と、その婚約者と付かず離れずの美紀が青木幸一郎をきっかけに出会うシーンだ。華子の実家は開業医をする東京・松濤に住むお嬢様で、婚約者の女友だちである初対面の美紀に封筒を差し出すという、時を戻したくなるような時間。これから何が起きるのかと、2人のやりとり