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【レビュー】BTalksインタビュー#1 熊谷尚也選手―優勝のために vol.1

私が参加してるオンラインサロンのメディア「BTalks」のインタビューレビューを始めました。初めてのライティングになるので読みづらい点もあるかもしれませんが御容赦ください!

【BTALKS 第1弾】熊谷尚也選手

14回。わずか17分のインタビューの中で「優勝」という言葉を熊谷選手が口にした回数。Bリーグが始まって丸4年のうちに二度の移籍を経験し、現在、強豪川崎ブレイブサンダースで激しいチーム内競争の中にいる熊谷選手の想いとは。

優勝チームからの移籍と苦悩
日本体育大学を卒業後、ルーキーで栃木ブレックス(現:宇都宮ブレックス)に加入。セカンドユニットとして欠かせない存在になった初代Bリーグ優勝の栄冠は、さぞ納得の結果だったと思っていたけれど、本人からは意外な言葉が返ってきていた。
「優勝できたことはもちろん嬉しい。嬉しいんですけど…。」

誤解のないように前置きしたうえで「勝たせてもらったというか、やってやったという達成感はなかった」と表現していた。
当時の栃木は得点源の古川孝敏選手(現:秋田ノーザンハピネッツ)が先発で出場していたため、なかなかプレータイムが伸ばせない状態だったことは事実。プレータイムを求めてチームを離れることも当然の選択ではあるけど、ルーキーから所属しているビッグクラブ、さらに初代チャンピオンにまでなったチームを離れるのには相当の決断だったはず。それでも試合にでたいという感情に任せて移籍を決断したという。

「正直、本当に勝てなかった。」大阪エヴェッサに移籍をして2シーズン、アスリートが負けを語るのはとても苦しいことだと思うが、熊谷選手は案外素直に受け止めているように見えた。SNSの厳しい意見を確認していたと本人の口から聞くのは心が痛む。熊谷選手のみならず、優勝メンバーの移籍には賛否の意見がでるのがつきもの。移籍先のファンはどうしても期待してしまうのも無理もないが、アスリートとは本当に大変な職業だ。
自ら望んだプレータイムの獲得、しかし勝利がついてこない。理想と現実のギャップにフラストレーションが溜まっていってしまうところだが、熊谷選手はさらなる強い想いを募らせていたようだ。
「この経験があったから次はちゃんと試合にでて優勝したいという気持ちになった。」

チーム内の熾烈な競争、それでも味方をいかす面白さ
昨シーズン川崎に移籍後、新型コロナウィルスの影響で途中終了になるまでのレギュラーシーズン全38試合すべて出場し、うち20試合でスタートを果たす。しかし強豪チームゆえ、チーム内競争は必然的に激しくなる。練習でもこれまでのチームでは経験したことのないハードな戦いをしているらしい。
熊谷選手の特徴といえば、恵まれた身長に長いウィングスパンで外国籍相手でもペイント内にアタックができる。さらには日本人選手では貴重なダンカーでもある。しかし大阪時代と比べて得点が減ってきているのは事実だが―。「このチームはどこからでも点が取れる選手がいるので得点に絡まないことのほうが多いです。」元々身体能力を生かして得点をとるスタイルのプレイヤーが、スタッツが落ちている現状にマイナスな気持ちは感じないのだろうか。「ディフェンスで僕の長所は生かせるかなと思ってます。チームメイトにシュートを打ってもらうための犠牲はそれはそれで面白い。」

また、今シーズンは外国籍選手の合流の遅れや怪我もあり、本来の3番ポジションではなく4番ポジションで出場することも少なくない。レギュレーションの変更もあり、マッチアップはほぼ外国籍選手になる。そのことについては「やりづらさもなかったです。」とチームのために体を張ることも厭わない。さらに今シーズンはスタートでの出場もなくなっていることについても気にしているわけではなかった。

▼シーズン前の激しいチーム練習はこちら
ドキュメンタリー『OVER TIME vol.1 REBOOT』

たしかにファジーカス選手を中心にインサイドで得点を量産することもできれば、辻選手のようなシューター、篠山選手や藤井選手のようなドライブで起点を作ってくれる選手がチームに存在する。どのポジションからも得点を取ることができるチームの中で、熊谷選手の強みであったオフェンスの武器を更に磨くことも当然必要。しかし、自身を犠牲にしてでもチームメイトを生かすプレイや、体を張ったディフェンスの強度をあげることが、強豪川崎をさらに強くさせているひとつの要因だと思う。

表には出さないと言うけれど、もう一度見たい熊谷選手の爆発姿
すべての質問に対して顔色を変えず淡々と答える姿を見て、とても客観的に自身の立ち位置を理解してるように感じた。自身の性格については「負けず嫌い」。それでもいいプレーがあっても吠えたりはしないと語っていた。
この言葉を聞いて、ある瞬間が頭をよぎった。初代リーグ優勝を果たした栃木ブレックス時代、チャンピオンシップも佳境のシーホース三河と対戦したセミファイナルGAME2。19点の劣勢だった後半の勝負どころで熊谷選手の7連続得点が決まった時、長い両手を広げて観客に向けて「盛り上がれ!」とばかりに上下に何度も振る姿に会場中が沸きに沸いた。

▼なかなか見られない熊谷選手のパフォーマンス

あの試合で熊谷選手は9得点とスタッツだけ見れば他の選手のほうが試合に貢献したと評価されるかもしれない。本人は「勝たせてもらった」と認識している試合でも、どうみてもあれは熊谷選手の試合だった。試合後に記者からパフォーマンスについて尋ねられると「あんまり覚えてないんですよね」と飄々と答えるいつもの熊谷選手に戻ったのも印象的だったが、あの一瞬の“爆発”は、最終的にリーグ優勝を引き寄せた言っても過言ではない。

バスケには「スタッツに現れない仕事」と表現することがある。どうしても得点やリバウンド数に注目が集まりがちだけど、それを影で作り上げているのが決してカウントされることのない泥臭いプレーの数々。そしてそれはどれだけ短い時間でも作り上げることができるのがバスケの面白さでもある。
プロキャリア8年目、かつてはプレータイムを求めて移籍をした熊谷選手が、いまはプレータイムやスタッツだけではない、どんな場面でも仕事を成し遂げる適応力を得ようとしている。すべては川崎で優勝するために―。

「やっぱり優勝したいですねもう1回。1回、2回、3回…現役続けられる限り優勝は何回でもしたいです。」

優勝が近づくその時に、横浜アリーナで観客を煽る熊谷選手の姿が見られることを楽しみにしている。

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写真提供:BTalks

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