【先生のぼや記】インター日本語教師の思う子どもの早期教育
巷に溢れる早期教育
(この記事に「How to」は一切出てきません。
1人のインター日本語教師が、1人のママとして、早期教育について思うことをつらつらと書くだけですので、この記事に何か「正解」を求める方は申し訳ありませんが、この先読んでもお時間の無駄になるかと思います。悪しからず…)
3歳の息子が最近、数字やひらがなに興味を持ち始めました。
先日も、無料であそべる「しまじろうクラブ」(ベネッセ)でタブレット学習をしていたのですが、今時のオンラインゲームには文字学習にとどまらず色々な学習コンテンツがあるのですね。
小さい手をシュッシュッと動かしながら、真剣に問題に取り組む姿を見て、私も例に漏れず「何か早期教育を始めるチャンスかもしれない!」と思ったのでした。
一口に早期教育といっても、色々なものがありますね。
ベネッセやスマイルゼミといった通信教育やオンライン学習をはじめ、ディズニー英語システムやKids Duoのような英語学習、プログラミング、運動系なら体操教室にスイミングなど、どこから手を出していいかわからないくらい様々なお教室や習い事で世の中溢れています。
みなさんは、そうしたお教室や習い事を目の当たりにした時、何を大切にして選んでいきますか?
習い事、どうやって選ぶ?
習い事に通うのは子どもです。なので、「この子がしたことをやらせてあげたい!」という親御さんは多いのではないでしょうか。
私もそう思います。息子が興味を持ち、「やってみたい!」というのであれば挑戦させてあげたいです。
・・・でも、待ってください。
もしお子さんが習い事を初めてすぐ「やっぱり行きたくない」「こっちの方がやってみたい」と言った時、毎回その要望に付き合いますか?
無料体験で楽しく参加できたとしても、実際に習い続けると様子が変わったり、実は大して好きなことではなかったというのは、あるあるとして考えていただいた方がいいかもしれません。
次に考えられるのは「最低楽譜は読めて欲しいからピアノを習わせたい」「英語で苦労させたくないから小さいうちから英語学習を!」という、親から見て子どもが将来苦労しないようにと習い事を決める意見です。
これもごもっともです。私も、小学校に入ってから苦労してほしくないので、習い事の選択肢にはKUMON(私は3歳~18歳までの15年間お世話になり、恩恵もあったと思っているので)をさせてみたいとか、インターで働いている環境から「やっぱり英語は使えると便利だよな~」とか、これまでの苦労を重ねてなるべく早くから子どもに経験させてあげたいと考えたりもします。
・・・でも、待ってください。(2回目)
ママがそう思っていたとして、パパは?
「○○できれば便利」「安心」なのはほぼ全部の習い事になっちゃいますけど大丈夫ですか?
そもそも、あなたのお子さんは将来本当にそのことで苦労する可能性が高いのですか?そのスキルはどれくらい必要なものですか?
最近の流行では英語の早期学習(今は幼稚園も(日本人家庭対象なのに)完全英語とか流行ってますよね)、超最近出てきたものならプログラミングやSTEM/STEAM教育を謳った塾や通信教育もたくさん目にします。どれも、幼い子どもの脳に早期に働きかけることによって習得しやすいうちに触れさせましょう!という理論で宣伝されています。そして、それは決して間違いではないと思います。
と、考えていくと、あれもこれもやらせたくなって、気が付けば子どものスケジュールが月曜日は公文、火曜日はピアノ、水曜日はサッカーで、木曜日はプログラミングで、金曜日は英語教室、土日は・・・
はい、全部なんかできないですよねー(遠い目)
あと、正直いっぺんに突っ込んだところで、すぐになんか効果でないですからねー(訴える目)
お金も時間も、ぶっちゃけ脳のキャパシティーも、限界がありますよ。
何より、家族の時間、無くなっちゃうのさみしくないですかね・・・(我が家は週末キャンプに行きたいのでスケジュールいっぱいは悲しすぎる・・・!)
だから、結局のところ取捨選択していかなければならないんですね。
大切にしよう、親としての「価値観」
じゃあ、結局何を基準に選んだらいいのよ。
って、それはもう、冒頭にも書いた通り「正解」なんかありません。
「正解」はご夫婦、あるいは親である自分自身が、子どもに人生で何を大切にしてほしいと思っているかに沿った選択が「正解」なんだと思います。
子どもって不思議で、私は「親の鏡」のような存在だと思っています。
こちらが意図的にしろ、意図的でないにしろ、親の価値観がしっかり刷り込まれて、その通りに社会で行動するのです。行動や言動は、価値観が現出したものですから。
学校での授業態度も、近所の人に対するご挨拶も、優先席で席での振る舞いも、みんな親の価値観なんだと思います。
というわけで、子どもに対してきちんと「こういうことを大切にしてほしいから、このお教室に通うんだよ」ということを子どもに説明できることが大切かな、と私は考えるのです。
ある私の知人は、自身がピアノを習ってきたことで得たものが多かったと考えていました。音楽に対する知見は意図的にではないと触れられないし、練習を続けることの大切さや発表会での達成感などを通して成長してほしいと考えているそうです。そのため、娘さんにもピアノのお教室に通わせているそうです。
また別の知人は、スポーツ全般には体力や体幹が必要だからと、スイミングだけは外せないと考えていると話していました。スイミングがゴールなのではなくて、将来どのスポーツ競技をすることになっても困らないようにという考えが伝わってきます。
両者とも、その習い事をさせる目的が明確だなと思いました。
こうして親の価値観が明確である場合は、子どもがその習い事を辞めたいとなった時にその思いを受け止めつつ、辞めさせるか否かを子どもと話し合うことができますね。
一番危ないのは、目的もなく「もったいない!」と続けさせることや、子どもの意見を大切にするという名目でただただ子どもの気分に流されて辞めさせてしまうことだと思います。
一番必要なのは、親子の「価値観」のすり合わせ
もちろん、親の価値観を押し付けろと言ってるわけではありません。
子どもも1人の人間として、決める際には会話に参加してもいいと思うのです。
0歳~2歳はまだ難しいかもしれませんが、3歳ほどになると言葉も急激に発達し、自分が社会生活の中で何かを感じ取ることも多くなってきます。
だからこそ、きちんとした理由付け、価値観の伝達が必要なのです。
おそらく、子どもは「好き」「きらい」で答えると思うのですが、その「好き」「きらい」といった選択をするためには、その子の価値観が含まれていますしね。
親と子は別の生き物なので、こうして親の価値観と子の価値観のすり合わせていくことが必要だということでもあると思っています。
インター日本語教師ママは何を大切にする?
さて、では私はママとして何を大切にしたいと思っているのでしょう?
ここからもう、自問自答のターンです。
大切にしたい、「発信する力」
私が息子を育てている中で一番大切にしていることは、感じたことや考えたこと、お願いしたことを、必ず言葉で表現することです。
喃語を発する頃には身振り手振りでも意思表示ができるようになるので、どのように伝えれば自分の意思を伝えることができるのか、繰り返し教えてきました。また、できるだけ「嬉しい」「悲しい」「楽しい」「さみしい」「こわい」などの感情表現をできるだけ代弁してきました。そのおかげか、はたまた彼の言語センスが良かったのか、3歳にして理由付きでしっかりと自分の意見を言うことができるようになってきました。
日本語教師という立場上、このスキルを2言語同時に伸ばすには相当な覚悟と努力と、徹底したインプットを経て、しかも時間をかけて行わなければならないことを知っているので、「早期の言語教育」は無理にはさせなくてもいいかなと思っています。
特に我が家は両親ともに日本人で、息子の将来も特に海外に送ろうということも考えていません。本人が希望すれば話は別ですが、強いていうなら「日本語じゃない言葉が世の中にあるんだ。それって当たり前のことなんだ」くらいは知っててほしいかな、という程度。
この点を夫婦で話し合った結果、何か国語を話すかよりも、何を考え、何を感じ、何をどうしたいのかを表現できるようになってほしいという点が夫と一致しました。
というわけで、早期英語教育は選択肢から外しました。
うん。私もさ、英語が必要になって初めて英語話せるようになったよ(笑)
韓国語もさ、好きだから使えるようになっただけで、別に早期じゃなくてもなんとかなったさ。
息子よ、必要に迫られたらその時に頑張れ。
ひらがなカタカナの読み書き教育はどうするか
これも悩ましいですよね。
よく友人からも、「先生から見てどう?」と相談を受けることがあります。
でもこれも、結局は上記に書いたような「自分の考えや思いを発信する力」につながってると私は考えているので、その子の性格に合わせてかなと思っています。
息子の場合はまだ観察中ですが、今使っている無料のオンラインツールや書店で買える市販の幼児教材でも十分かなと思うくらい、知りたいし使いたいという気持ちがあるように思うのです。
まだ3歳なので、「数字には興味があるけど、ひらがなは名前の一部にしか興味を持たない」といったバランスはあるのですが、保育園でも意識的に名前を読ませる仕掛けを作ってくださっていたり、私が書くお手紙や、説明書に書いてあることに関心を持ったりはしているので、慌てて教え込まなきゃという感じではないかなと思います。
多くのお子さんは観察していると息子と似たような部分があるので、強いて早期教育に走らなくてもいい気がしますが、一番のポイントは家庭で子供が文字・数字に触れる機会を意識的にばらまいておけるかという点にあるかなと思います。
忙しいママさんたちや、ちょっともう何からしていいかわからないママさん、すでに就学前で切羽詰まってるというママさんは、通信教材や塾に通うことで補うことができるのではないかと思います。(とはいえ、一番効果があるのは家庭での対話なので、教材やらせっぱなしは絶対だめですよ!)
結局、早期教育どうするの?
というわけで、見出しの「インター日本語教師ママは何を大切にする?」の答えですが、現段階では「家で一緒にお勉強する時間をもつことから始めよう!」ということになりそうです!
結局、息子が楽しんでいるのは私が「しまじろうでゲームする?」とか、「かるた一緒にしない?」とか「絵本一緒に読もうか」とか「じいじにお手紙書こうか」といった声掛けをした時なのです。書店や100均で買える知育ノートも、一緒にすれば楽しそうにするのですが、1人でさせようとするとすぐに飽きてしまったり。
つまりは、お母さん(やお父さん)と一緒に何かをしたい、ということなのだと思います。彼にとって、勉強ではなく「ゲーム」や「遊び」なのです。その証拠に、息子は知育ノートのことを「ゲームの本」と呼んでいます。
もしそうなのだとしたら、ベネッセやDWEのような教材をお金をかけて集めても、「お勉強をさせられてる!」と思った瞬間手を出さなくなることは明白なのです。
そして、お金をかけている以上私自身も「もったいない!これやらなきゃ!」と躍起になることも明白なのです…(笑)
「遊びの中にこそ学びがある」とか「学びこそ遊びなのだ」とか、いろんな偉い人が言っていたと思うのですが(出典曖昧ですみません)、本当にその通りなのだと思います。
何を隠そう、私も何かを学んでいる時が一番楽しいのです。
生徒にも公言していますが、教えることより、学んでることの方が100倍楽しいのです。
学び、知り、発信できるようになる。
これがうまくいった瞬間、人生がとっても楽しいと感じられるようになると信じているので、息子にもその楽しみが伝わるといいなと願っています。
(おうち時間、もっと大事にしようっと。)
みなさんのお子さんはいかがですか?
みなさんは何を大切にしたいですか?
たくさんある機会や選択肢の中から、自分たちに合ったベストな答えが見つかるといいですね。
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