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親の介護で時短勤務をする場合、はじめに条件を確認しておきましょう

 こんにちは。認知症の母を自宅で介護しているケアマネージャーの “ 清見(キヨミ)” です。

  第二回目は “介護と仕事” について、お話ししたいと思います。

 介護を経験された方なら実感されているかもしれませんが、介護と仕事の両立って難しくないですか?  

 わたしも介護と仕事の両立にはずいぶんと悩みました。

 しかし、現在は正社員として働きながら無理なく認知症の母の介護をつづけ、ご覧のとおりnotoの更新もすることができています。

 そこで少しの工夫と知識があれば、仕事を続けながら介護できる方法があることをお伝えしたいと思います。

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時短勤務なのに帰れない。 わたしの失敗談 。

 平成21年に改正された「育児・介護休業法」では短時間勤務制度が義務化されています。

 後に述べますが令和3年4月の介護保険法改正で、介護職者の離職防止のため、この時短勤務者も常勤のひとりとして換算できるようになりました。

 つまり1日6時間、週に30時間の勤務に労働時間を短縮する制度がつかいやすくなったわけです。

 令和3年の6月からひとり暮らしだった母を自宅にひきとり介護しているわたしは早速この制度を使わせてもらったわけですが……。


仕事量は減らないのに働く時間だけ短くされても意味がない。

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 時短勤務者は1日6時間、一週間で30時間の勤務でよいことになっています。

 すなわち、正社員が週に40時間なので、その3/4に勤務時間が短縮されるわけです。それなら仕事の量も3/4に減らしてもらわないとこなせなくなります。

 しかしわたしが4月に施行された制度を6月に利用させてもらった当時は、まず社内で前例がなく「早く帰ってもいい」ということのほかには、何の取り決めもありませんでした。

 その結果、時短勤務者であるにもかかわらず要介護者36件、予防介護9件。そのほか認定調査や本部への提出物を抱え、引き継いでくれる交代人員もこないまま、だんだんと身動きが取れなくなっていったのです。


・給料はがいくら減らされるか、オンコールなどの手当はもらえるのかも不明? 

 これも後からふり帰るとじつに「うっかり」していたことてす。時短勤務に入る前に給料が何割減らされるのか、普通の社員との“差”はあるのか? など、を口約束でしか確認していなかったのです。

 骨折して入院している婆ちゃん(母)が、病院でコロナがでたので退院させられる。退院したら一人暮らしは無理!期限は5月末! という状況で、とりあえず待ったなしで時短勤務制度に飛びついてしまいました。

 まず前例がないので上司にも事務員さんにも制度自体がよく分からない。「給料は減らされない(らしい)」「130時間から160時間の間なら何時間でもいい(らしい)」という曖昧な口約束の条件でスタートを切ってしまったのです。


・睡眠時間は平均3〜4時間。朝夕は母を介護し、最悪夜中に事務所に忍び込んで書類作成に追われる日々……。

 たしかに勤務時間がフレックスに近くなり、朝は母をデイサービスに送り出して、昼間は利用者さま宅を訪問し、夕方はごはんの用意をして母や夫と一緒に食べられる。

 そういう生活を送れることは有り難かったです。しかしケアマネージャーの業務は利用者さま宅を訪問したり担当者会議を開くことだけではありません。半分は相談援助業務ですが、半分以上は書類仕事になります。

 50名弱の利用者さまを抱えていると……作成しなければいけない書類の量も膨大になり、期限を過ぎてしまっているものも溜まってしまいました。

 そこでやむを得ず、母を寝かしつけてから夜の8時以降に家を出て事務所に戻り、パソコンに向かう。深夜の2時3時に帰り翌朝はまたデイサービスの送り出し……結果的にそんな生活を、結果的には6月から9月まで4ヶ月続けました。

 「もう無理なので辞めます」そんな言葉が自然と口から漏れて上司に伝えたのは、2ヶ月目の7月の終わりのことでした。


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介護職者が時短勤務をするうえでの常勤換算数について 

 さてここからは、介護施設、訪問系サービスなど介護のお仕事に就いておられる方に向けてのご説明となります。

 介護士や生活相談員、ケアマネージャーだけでなく、介護サービス事業所で働く看護師さん、リハビリ士さん、栄養士さんなども含まれます。

 ご存じのとおり医療保険法は2年に1度、介護保険法は3年に1度、改正があり見直されます。令和3年4月の介護保険法改正で取りあげられたのは、深刻な人手不足に対する「介護職者の人材確保」でした。

 自らの親や三親等内の身内の介護での離職者を増やさないよう、サービスに必要な人員基準が緩和されました。

 たとえば施設では利用者1人に対して常勤職員3人、訪問看護では、常勤職員が2.5人以上必要。ケアマネージャーも常勤が3人以上集まらないと加算を取ることができないなどの決まりがあります。

 この「常勤」に介護のために時短勤務をしている職員も含まれることになったのです。パートではなくて正社員として扱われるため、時短勤務者が管理者やサービス提供責任者、フロアリーダーなどの管理者になることも可能になりました。

 これから2050年までに訪れる“超”高齢化社会にむけて、介護をしながらキャリアを重ねることは当たり前になってゆくことでしょう。

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※令和3年度介護報酬改定に関するQ&Aより


介護(育児)のための、時短勤務とは何時間から?

 2009年に制定された育児休業法では、3歳に満たない子がいる場合、1日の労働時間を6時間、週に30時間とするとあります。その後、育児・介護休業法に改正され、介護サービス事業者に勤務するしないにかかわらず、月130時間から140時間程度のの範囲内で習得することができます。

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介護のために、時短勤務をした場合の給料はいくら? 

 時短勤務者の就業時間は、130時間から140時間程度の間で選択できるとさきほど述べました。

  しかし、就労時間により賃金はは差し引かれますが、130時間のひとと140時間のひとが同じお給料ではおかしいですよね? 

  130時間であれば週に40時間働く正社員の3/4ということで75%に減給。140時間であれば87%ほどが妥当でしょうか。

 また勤務時間が減っても在宅勤務が可能で仕事量がそのままであったり、歩合制の場合は、会社との交渉が可能でしょう。

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介護のための時短勤務者におすすめの副業とは? 

  介護のために時短勤務をしていると、フルタイムの頃と比べると必然的に自宅で過ごす時間が多くなります。

  介護する相手にもよりますが、手のかかり方はひとそれぞれです。常に付き添っていなくても、認知症で徘徊があるので、自宅にいて見守りをしていればよい。食事の用意やトイレ、移動だけ手助けすればよいという場合、実際の介助にかかる時間以外は手が空くこともあります。

  そんな時、収入も減ったし何かアルバイトや副業でも始めようか……。そう考えることがあるかもしれません。たしかに時短勤務とはいえ正社員(常勤)として雇われている以上、会社で副業が禁止! されていることもあるでしょう。

 深夜にコンビニやファミレスでアルバイトをして源泉徴収されていればさすがに会社にバレるでしょうが……。

 個人が少額の株式投資したり、ブログで有料記事を書くことさえ、はたして“副業”といえるでしょうか? 

 “副業”の定義は年々、多様化し、あいまいになっているのです。そこで在宅で可能な副業としておすすめしたいのが、わたしも経験のある以下の三点です。


・余剰資金を使っての株式投資


・webライター 有料ブログ記事の執筆


・美容モデル アンケートモニターなど


・まず株式投資は初心者にはハードルが高い、リスクが大きいと感じられるかもしれません。

 しかし、国内の安定株を安いときに底値で仕込んで利益がでたら売るなど、比較的安全な投資方法もあります。

 また日経225先物など海外の時差に合わせて夜間に動きが大きいトレードもあるので、時短勤務者には適しているかもしれません。

 あくまでも投資は基本の知識を身につけてから、感情や欲に走らず、リスクの取れる範囲内で始められることをおすすめします。

株式投資シュミレーション「トレダビ」などは、実際の株売買に近いかたちでトレードすることができます。実際にお金をかけて投資をするまえに疑似体験をして、自分に向いているかいないかを判断してみてもよいかもしれません。

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・次にwebライターや、有料ブログ執筆など、インターネット上での情報発信をするお仕事です。

 介護を経験されている方であれば、少なくともその方面の経験や知識や、それまでの職歴や人生経験……何らかの発信できる有益な情報をお持ちのはずです。

 それを文章にして発信することで、少なからずの報酬を得る方法も沢山あります。

 お勧めなのが、クラウドワークスランサーズなどのお仕事募集サイトです。

 ライターに限らず、時間や場所の制限を受けずに自分のペースで請けられる在宅ワークが数多く掲載されています。


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・美容モデル アンケートモニターなど

 こちらも上記の在宅ワークサイトでもよく募集されています。

 モニターやアンケートは実際に送られてくる商品を使ってみての感想や写メを送るお仕事で、比較的短時間でこなせるでしょう。

 モデルや写メは顔出しするほど、単価が高い傾向にあります。

 基本、写メも動画も自撮りなので、カメラを向けられると緊張してしまうという方でも気楽にできるでしょう。



株式投資なら20万円、副業収入なら10万円までなら所得として会社に申告しなくてもよいことになっています。

 たとえ最初は少額の利益しか出せなくても、なにかを始めることで新しい世界は開けます。

 副業をすることで素敵な仲間と出会えたり、会社以外の趣味や交友関係が拡がったりすることもあるでしょう。

 普段は利用者様のQOR(生活の質)をあげるために働く介護職のわたしたちですが、結果的には自身のQOLがあがり豊かになれるのです。


さて最初に労働条件を確認せずに、正社員以上の仕事量をかかえ、とりあえず名ばかりの時短勤務をしていたわたしがその後どうなったかといいますと……。


 3ヶ月後に会社から労働条件が通知されました。内容としては 

・賃金は正社員の70% 

 ・仕事量は正社員35件にたいして介護25件 介護予防5件 

・ボーナスやその他手当てについては不明 


 と、いうものでした。

 3ヶ月間の賃金については、実際の仕事量が減っていないという事実があったため正社員と同様に戻してもらいました。

 その後ケアマネージャーが増員され、実際の仕事量が25件になったのは、認知症の母を引き取って介護が始まった5ヶ月後のことでした。

 いまはきちんと条件を提示してもらえたことで仕事を続けることができています。

 利用者様宅に直行直帰したり、持ち帰れる仕事はできるだけ在宅でするようにしています。

 ケアマネージャーのなかには「絶対に家に仕事は持ち帰らない」主義のひともいますが、わたしはガヤガヤした事務所でひっきりなしに鳴る電話を取りながら書類を作ることが苦手です。

 効率を考えると、ひとりの静かな時間に集中して書類に取り組むほうが短時間で終わるし、良い文面も浮かび帳票の質も上がるのでそうしています。

 限られた時間でしか働けないので、普通に社員でいた頃より仕事の段取りを考えるようになり、効率が良くなったことを実感しました。

 まだまだ介護事業所の大半はブラック企業が経営しており、サービス残業、時間外労働の温床になっています。

 しかし不足する介護の人材確保のために変えようとしている行政の努力は感じられます。

 ただ“辞めてやる”といっただけの投げやりな抵抗しかできなかったわたしが言うのもなんですが……ひとりひとりが自分たちにとって働きやすい職場にするために、行動を起こすことも大事ではないでしょうか?


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まとめ


・親の介護は “ある日とつせんに” 必要になることが多いもの。見切り発車せずに “時短勤務制度” を利用するときは、最初に労働条件を確認しておきましよう!

・令和3年に介護離職防止のため “時短勤務者” も常勤としてみなされるようになりました。いまのところ “三親等内の身内の介護” をしている介護事業所に勤務している職員に限られています。

・時短勤務者” の勤務時間は、介護・育児とも共通で1日6時間から7時間。週に130時間から140時間の範囲内で自分の働ける時間に合わせて選ぶことができます。

・会社により異なりますが時短勤務者の給料は、常勤社員の3/4で0.75%が妥当。ボーナスも3/4の賃金により計算され給付されることになります。

・自宅にいる時間が長くとれるため、減らされた賃金のぶん副業で収入を得ることも可能。おすすめは、クラウドワークスやランサーズなど大手のクラウドソーシングのサイトを利用すること。リスクの取れる範囲内での株式投資などです。

・“時短勤務者” はまたまだ他の社員の風当たりもきつく、ブラック企業が経営する介護事業所では条件も曖昧にされがちです。会社に負けずに勇気を持って “権利として” の交渉を!





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