ディズニー史上最高傑作「クルエラ」
まもなく梅雨も明けようかという今日この頃。1ヶ月あまりのご無沙汰となってしまった。
言い訳になるが、水星逆行の期間(前回は5/30〜6/23)はどうも消極的になりやすく気分が乗らない。我々地球人は大いに星の影響を受けながら生きている、ということを日々感じる。
さて、下書き保存のままにしていた映画「クルエラ」についての投稿を投下する。(公開から日は経過してしまったが、まだまだ絶賛上映中なので是非とも多くの方にご覧いただきたい。ディズニープラスでも観られるよ)
因みに先日は「グランシアター」にて「クルエラ」(2回目)を観てきた。
初の「グランシアター」体験は最高だった。9席限定の特別個室で(現在は間隔をあけて5席のみの運用)高級感のある空間。全席レザーのリクライニングシートで超快適。迫力のスクリーンとサウンド。しかもウェルカムドリンクとおつまみ付き。アルコールの提供は中止中なのが残念だったが、通常ビールはCOEDOというセレクトも最高だ!4000円と割高ではあるが、あのラグジュアリーな環境とひたすらVIP扱いしてくれるスタッフの対応など総合的に判断しても相当の価値あり。ほぼプライベートシアターのような超贅沢な時間を味わえるので、時々自分へのご褒美的感覚で足を運びたい。次回は必ずビールを楽しみたい。
大阪は「シアタス心斎橋」内にあります。どうぞ。
以下、時差投稿。
なぜ「クルエラ」は最高傑作なのか
ディズニー映画最新作「クルエラ」が公開になった。
先日、担当番組でもピックアップさせていただいたのだが、限られた時間の中では紹介しきれなかった見どころもまだまだあり、ここで改めて紹介したい。
私はディズニー映画史上最高傑作だと断言できる。くらいに大ハマりした。
クルエラほど観賞後に爽快感を味わえる作品もそうない。鑑賞後にぱあっと視界が開けるような何とも言えない感覚が味わえる。
「後悔も失敗も哀しみも憎しみも、過去も出自も丸ごと受け入れ肯定して、そして無敵な自分になる」
クルエラの半生を通して、こちらも無敵な自分に生まれ変わったような、ある種人生観が変わるような、それほどに強烈なインパクトを与えてくれる。
詳細は公式サイトなどご覧いただくとして。
簡単にあらすじを。
「クルエラ」とはみなさんご存知「101匹わんちゃん」に登場するヴィラン(悪役)だが、その誕生秘話、前日譚である。ファッションデザイナーを夢見る少女だったエステラが「クルエラ」へと変貌をとげるまでの物語。
舞台は70年代ロンドン。パンクムーブメントを始め、様々なカルチャーが生まれた時代。当時のロンドンのカルチャーが生き生きと目の前に広がる。個人的に最も憧れる時代なのだが、歴史上最もエネルギッシュな時代だったからこそこんなにも惹きつけられるのだろうと思う。その活気や空気感も疑似体験することができる。
しびれるサウンドトラック
The Crush,Deep Purple,Blondie,The Rolling Stones, David Bowie アンドソーオンといった当時の名だたるアーティストの名曲揃い。これらが劇中でBGMとして流れてくるのだから、音楽ファンはそれだけで十分心躍る。
エステラが出会うヴィンテージショップのオーナー”アーティ”というキャラクターが登場する。ボウイのような中性的で奇抜なファッションで独特の存在感を放つ。個人的に推しのキャラクターなのだが。
演じているのは John McCrea、劇中でも「I Wanna Be Your Dog」を歌っていてそのシーンがまた最高なのだ。以下プレイリストのトラック14に収録。(このプレイリスト一生聴いてるわ)
ファッショナブルな世界観
特筆すべきは、ファッション。
ヴィヴィアン・ウエストウッドがパンク精神をファッションで体現したように、エステラも自身の怒りや心の叫びをファッションで現しながら「クルエラ」へと変貌していく。彼女のセンスと才能が余すことなく表現されたファッションがため息が出るほどに美しく素晴らしい。
ヘアメイクを担当したナディア・ステイシー氏が「ボウイはヘアとメイクでデヴィッド・ボウイからジギー・スターダストになった。クルエラも同じことをやっている」と語っていた。まさに。
私は、顔面に"THE FUTURE"とペイントしたファッションと、シンプルだがレザーのセットアップが好きだった。ゴミ収集車ドレスもインパクト大だったが。
主演のエマ・ストーンと、カリスマファッションデザイナー バロネスを演じるエマ・トンプソン。このWエマの攻防も非常にエキサイティング。常に頭脳戦で、あくまでも”ファッションで対決する”ところもかっこよかった。
意表をつくストーリー展開
クルエラにこんなにも複雑な過去があったとは。衝撃の秘話が明かされる。
しかもそれが二転三転と転がって意表をつかれまくるストーリー展開なのだ。ジェットコースターな展開だが、しっかり練りに練られた策士な脚本で非常に面白い。ゾクゾクするような駆け引き、登場人物たちのウイットに富んだ会話、ユーモアに満ちた演出、全てが痛快。全登場人物がキャラ立ちしていて、登場するワンちゃんたちまでも(彼らが実は重要な役どころだったりする)が個性にあふれている。(エンドクレジットにワンちゃんたちもしっかり本名の記載があって、ほっこりした)
ご存知の「101匹わんちゃん」のストーリーへ繋がる粋な演出もあり。終始「うわぁ〜洒落てんな〜」のシーンの連続だった。
因みに、エマ・ストーンのイギリス訛りの英語も素敵だった。「女王陛下のお気に入り」でもアクセントトレーニングを積んだそうだが、今回もアメリカ人とは思えないイギリス英語を披露している。(と思う。素人リスニング力だが)
単なるエンタメにとどまらないメッセージの深淵さ
彼女がヴィランに覚醒していく様子は、「怒り」や「自由」を叫ぶパンクロックスターの誕生そのもの。その生き様が示すのは、どの時代にも共通し、おそらく最も難しく最も大切な「自分を生きる」ことの意味。
ポスター劇中にも登場するキーワード" I am woman, hear me roar."
これはヘレン・レディの「I am woman」の一節だ。女性の地位がまだ低かった70年代にリリースされ多くの共感と支持を集めた、女性解放運動の先駆けのような歌だ。
「私は女。心の声に従え」
「I am woman 私は女」という部分を切り取ると、フェミニズム大嫌い芸人な人たちの反感を買いそうである。
でもこのフレーズは「I am man 私は男」に変換しても良いし、「私は私」に置き換えることができる、どの性別の人にも当てはめることができる懐の深い歌なのだと捉えている。
女性のプライドを高らかに歌ったこの曲とクルエラの生き方は、まさに合致するところがあって、どんな逆境にも負けず、自分の声を信じて突き進む姿勢は、大いに勇気をもらう。
自分の性別も出自も認めて、だからこそ「私は賢くて強くて無敵。何でもできる。自由なのだ」という誇り高い生き方。
胸の奥が熱くなるのを何度も感じた。
単なるエンタメではない。エステラ自身が自分の出自を認めることで、大きく変化していく姿から、「自分のままで生きよ」というメッセージを華麗に発信する作品であると思う。
クルエラこそ、現代にも通じる無敵な女性のロールモデル、そしてパンクロックスター。憧れる。
以下、89年の映像だが、ワシントンの集会での貴重なヘレン・レディ本人の歌唱映像もあったので貼り付けておく。
しかし、我々は(というか私は、か)なぜこうも悪役に惹かれるのだろう。
「JOKER」しかり「クルエラ」しかり。その狂気の裏側にある哀しみが人を惹きつけるのだろうか。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?