環境を整えると子供との暮らしが楽になる-環境とのインタラクション

UXデザインについて書いている私ですが、子育ての中にもUXがあると思うのです。 

私はモンテッソーリ教育が好きなので、自分の子供には小さい頃からモンテッソーリ教育を受けさせてきました。その好きな理由のひとつに、日本的教育に有りがちな根性論「どんな環境であっても頑張れば報われる」的な、個人の意志力に頼るものではなく、また教師による詰め込みでもない、という点があります。

モンテッソーリ教育といえば、美しい教具がよく注目されますが、それはモンテッソーリ教育環境のごく一部でしかありません。

モンテッソーリのコンセプトに基づいた環境というのは、子供達が自然と自分で行動することができる環境であります。教具だけではなく、机の配置、教具の配置、置かれているものも、全てモンテッソーリ教育環境としてデザインされています。

まず、子供達が歩き回ることを前提に机が配置されています。子供達は一つの作業を終えると、歩き回って少し休憩をして、次の作業に移ります。このあ「歩き回る」ための通路的なものが、机や棚の配置でデザインされています。

教具は子供達の興味を引く色形をしていて、手に取るとどのように使うのか直感でわかりやすいデザインになっています。

そして、全ての道具が子供の手の届く場所に置かれており、子供達は大人に頼むことなく自主的にものを手にとって使うことができます。例えばほうきやちりとりといった掃除道具も子供サイズで、子供が自分で必要な時に使うことができます。水をこぼしたら怒られるのではなく、手に届く場所にある付近で拭いて片付けをするだけです。

モンテッソーリの子供達は、特別に意志力が強くて自分でなんでもできる、のではなく、環境が子供達の自主性を引き出すように整えられているのです。まさにアフォーダンスデザイン。

私は自分の自宅も、子供が小さな頃は子供の手の届く場所に、子供用のグラスやお皿を置いてきました。下に置けないものには踏み台を置いて手を届くようにしました。理由は「面倒だから」。いちいち水が飲みたいというたびに「ママコップとってー、お水くんで」といわれるのは死ぬほど面倒なのです。たまに旅に出てAirbnbなどで食器が全部高いところにしまってある(よくある)家などにとまると、本当にうんざりします。もう自分で勝手にやってくれ、と思うわけです。

これは私の精神衛生上良くないし、イライラしている親を持つ子供も不幸です。でも、私がイライラしているのは私の性質ではなく、大いに環境のせいなのです。モンテ環境を作ると、ほら、不思議。子供に「ママ〜」と言われる回数が減理、イライラする回数も減ります。

モンテッソーリ教育を始めたマリア・モンテッソーリは、イタリアで一番最初の女性医師でした。障害のある子供達を普通レベルに引き上げるためのメソッドを開発する上で、徹底的に子供達を観察し、子供たちのポテンシャルを引き出す環境を作ることをしました。そしてそれが障害のない子供にも応用されるようになったわけです。モンテッソーリは科学的で、観察に基づいて何度もトライ&エラーを繰り返して作りあげられてきたメソッドだと言う点で、個人的にとても好きなのです。

さて、娘はモンテッソーリ教育を6年以上受けてきましたが、別に特別賢いとか、特別しっかりしているとか言う感じは全くありません。でも、ふとした瞬間に「モンテっ子だなぁ」と思う瞬間が多々あります。

モンテッソーリ教育を受けさせて、自宅をモンテ風にして一番良かったことは「私が楽だった」と言うことに尽きると思います。



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