インタラクションデザイン修士の1セメスター目を終えて

今年の9月から(正確には8月中ばから)、ヨーロッパの二つの公立大学が合同でやっているインタラクションデザインの修士コースをとっています。ちなみに私はデザイン畑出身で、UI/UXを仕事としており、UXに入る前にオンラインのUXコースをいくつかとりました。

コースのストラクチャはこんなかんじ。120単位、フルタイムで2年間、パートタイムで3年半から4年のコースです。

Foundations of HCI (5 ECTS)
Interaction Design Methods (5 ECTS)
Developing Interactive Systems (5 ECTS)
Evaluating User Experience (5 ECTS)
Research Methods (5 ECTS)
Seminar I (5 ECTS)
Design Theory and Methodology (5 ECTS)
Design for All (5 ECTS)
Computer Supported Collaborative Work (5 ECTS)
Ubiquitous Computing (5 ECTS)
Sustainability in Interaction Design (5 ECTS)
Seminar II (5 ECTS)
Group Project (15 ECTS)
Thesis I (15 ECTS)
Thesis II (30 ECTS)

最初のセメスターでは、Design Theory and Methodology (5 ECTS)、Design for All (5 ECTS)、Computer Supported Collaborative Work (5 ECTS)の3つを履修しました(パートタイムです)。

最初の学期を終えての感想

正直言って、専門的知識の基礎及びそれを学ぶマテリアルはInteraction Design Foundationとか、Courseraで無料で受けられるコースなどの方が手軽に深く学べると思います。しかも無料。

たとえば....

Human-Centered Design: an Introduction by University of California San Diego
Accessibility: How to Design for Alls

新たに学んだトピックは実はそれほどないな、と言うのが正直な感想です。

インタラクションデザイン修士は比較的門戸が広く、コンピュータサイエンスから来た人、デザインから来た人、心理学から来た人などもいます。ですので、修士レベルとはいえ、インタラクションに関する基礎から始めることになるのだろうと思います。

良かったこと

1. 勉強する癖がついた
2. 論文を読むことに慣れてきた
3. 勉強している姿を子供に見せることができた
4. 無料コースだと面白いところだけつまんでおしまいになるところ、単位を取ること思うとつまらないところもちゃんとやった
5. 死ぬほど忙しい日常の中に大学院をやっているという自己満足(いいのかな?)

科目に対する感想

一番不満だったのはCSCL科目です。Computer Supported Collaborative Learning(コンピュータを使ってコラボレーティブ学習)という科目で、そもそもコラボレーションがトピックなのに、ほぼコラボレーションが機能していなかった。CSCLをうまく使うためにはコースデザインが大事なのに、全体的に課題を投げて何もサポートはなし、勝手にやって、と言う感じ。

Design and Theorのコースは、ユーザリサーチについて学ぶコースで、私はオンラインの無料コースで基礎は数年前に学び、実戦で使って少しづつ学んできました。ですのでまあたらしいことはないというのが正直なところ。でも、ユーザリサーチ自体は好きなので楽しんでこなすことができました。一緒にやったプロジェクトチームもよかった。

Design for allはアクセシビリティのコースなのですが、非常に基礎的な内容であり、また課題もあまり研究的要素がなくて若干物足りないというのが正直なところです。もちろん別の業界から来た学生にとっては学び多きものだったと思います。今まで試したことのないアクセシビリティチェッカーを試せたのは良かったなと思いますが、学びとしてはあまり深くなかった印象。自分も時間に追われて課題をこなすことが第一目的となっていたのも良くなかったと思います。

Google classroomが使いづらい

この大学院のコースではGoogle classroomを使っているのですが、とても使いづらいです。天下のGoogleさんの製品なのに、と悲しくなるくらい。いいところはGoogle Docsとインテグレートしていることくらいでしょうか。でもそれならどんな外部ツールでもインテグレーションはありますよね。

科目ごとにクラスルームがあってそこに教授人が課題やその他をポストし、そこでディスカッションがあったりするわけですが、なんとタイムラインを検索できないので、過去の発言にたどり着けない。

また、私は3つの科目を同時に履修していたのですが、サマリービューのようなものがないので、一々科目のクラスルームに入って他の人の発言を確認したりしなくてはいけません。SlackのAll unread的なものが欲しい。

なぜやっているのか、続けるのかと自問するに至る

tUI/UXに関して既に各種オンラインコースをとって、仕事としてやっている私がなぜわざわざ4年もかかるインタラクション修士をとろうとしているのだろうか、と自問しました。学ぶためではなくて学位のためだけなのだろうか、と。

では学位のためだけであれば1年で終わる別の学位でも良かったのでは? と言うツッコミも自らしています。

UX/UIのバックグラウンドが全くない人にとっては、学び多きコースだとは思います。ただ、ある程度仕事で使ったことのある身としては、焼き直している感が否めないのも事実です。

しかし、今までの学び、職歴と一貫した学位が取れると言う魅力は捨て難く、また現在の私の状況からして、1年で終わるフルタイムのコースで経済的に支払うのが可能なのは見つけられませんでした。

学びというのは自分次第でどうとでもなる、という思いもあり、とりあえず今のところは続けようと思います。




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